やらかしは勘違いからで 4
「穴が深いのか深まったのかは分からんけど動きは無さそうだ。思ったよりアッサリ済んだと見ていいかな?でもあんな剣士は危なっかしいから良かったよ」
穴の中を確認した後皆の方を振り返るとクリスが頬をつねってきた。
こっちがやってやりたい所なのだが
「もう!!あんな芝居やらせないでよ!!傷がモロに見えた時、正気を保つのが大変だったんだから!!」
あら、ちょっと半泣きっぽい、これはやり返し辛いぞ。でもそれ俺のせいじゃないんですが
「そうですよ、私は切られた傷を直で見た訳じゃ無いですがクリスの震え方とか見て尋常じゃないと分かり内心ヤバかったんですから」
バスティーに夢中でそっちに気が回らなかったがそんな感じだったのか
「でもよく倒したなのでぇす。あまり心配かけるのはぴーぴょなの」
皆心配させちゃったのは申し訳無いな
「悪かったよ、って言っても別に俺のせいじゃない気もするけど…それにしても皆ナイスだったぜ!おかげで結果的にはアッサリ済んだと言えるから良しとしようぜ」
心配させたのは確かだがどうしようもない事なのでここは偉業を喜んでおくべきとしときたい所
「確かに魔王軍将軍をまたしても討ち取るという偉業、ライオウ程の事と感じないせいか何処か軽く見てしまいましたがよく考えるとこの位の被害で済んだと見るべきかも知れませんね。それでも誰かが死にかけるのを良しとは出来ませんけどここは素直に喜ぶ所ですかね」
メロニィが冷静な判断を下してた時、つい見過ごしてたバスティーの付き人っぽいヤツが穴にめがけて叫び出した
「バスティー様ぁぁぁ〜……もはやこれまで!辛うじてでも息がある事を祈りまするぞ、お恨み覚悟です!お許しください」
俺達が決して経験豊富では無いというのが露呈した瞬間だった。
とっとと始末してしまえば良かったのだがつい見ててしまったのだ。
付き人のジジイは何やらクスリのようなものを瓶から穴に流したのだ、何のクスリかは分からない。
だが言ってる内容からしえ最終手段的なものだというのは分かった。
そして、気を入れた俺はジジイを葬ろうと踏み込んだ時、穴の中からバスティーが出て来た
「ドーラスよ、良くやった。あと少し遅ければ終わってたところだ。しかし……貴様、絶対に許さんぞ。この恨み晴らしてくれる」
このジジイ、ドーラスっていうのか。すんでのところで仕留め損ねちゃった訳だけど、どんな奥の手かは知らんがやり方さえ間違わなければライオウ程ヤバいとは感じないだけいいか。
斬られる怖さだけはライオウを超えてるのでそこは気を付けよう
「何をしたかは知らねーけど諦めんだな!ハッキリ言ってライオウよりは落ちるぜ、アンタは」
すると動きを止めて語り出した。隙は無いので攻撃し難い
「悔しいが認めてやろう、そのとおりだ。ボク、いや我は剣技以外はライオウさんよりは劣る。だが、だからこそこの価値がある。
冥土の土産に教えてやろう、今の秘薬は24時間経つと今ある力が1/10にまで下がってしまう劇薬だ。
だがその代償と引き換えに自分より強い敵と認知したものより強くなれるという秘薬なのだ。
貴様を倒した所で俺が将軍のままで居られるかは怪しいところだが貴様は確かに危険な存在だ。
貴様を殺す。この功績を持って魔王様に報告に行くとしよう」
今ボクって言った?まあそれは置いといてそんな秘薬があるのか?しかしいくら何でも1/10まで弱くなるクスリを使うのはもったいなくねーかって思う。
テキトーにやり過ごしときゃ逃げれたかもしれないものを…コイツ等って本当に何が目的なんだろうか
「それじゃその胡散臭いクスリの効果、試させて貰うか」
「う、胡散臭いとは失礼な!ワシの最高傑作を」
このジジイ、そういう役割だったか。だが間を取れたのは大きい。
ここでアエテックスパワーをキッチリ重ね掛けしておいて全力にて一気に畳み込むとしよう。
ダラダラと戦ってたら首落とされる危険があるからね
「行くぜ!」
踏み込みの裏を突くように動く。半歩手前でやるみたいな形にする事により相手の出鼻をくじくのも技量の一つにあるわけだが今回、それをやろうと踏み込む瞬間にバスティーは目の前に現れ剣を振るって来た。
だが間合いが詰まりすぎてるお陰でなんとか大事には至らなかったもののこれはヤバイ、確かに数段強くなってる
「クソっ!クスリの効果はどうやらハッタリではないようだな」
「フハハハハ、さっきまで我より早かったであろう貴様がノロマに見えるぞ!」
油断してたので間髪入れずガトぴょんを放ったが普通に躱されつつ反撃を食らってしまった
「テメー、背中ばっか斬りやがって」
傷は浅いがあんな油断してる所から反撃されるという事のショックが大きい
「くくく、どうしたどうした?手も足も出ないようだか?ライオウさんより落ちるとかなんとか偉そうに言ってたくせに」
コイツ、無駄に煽って来やがって。遊んでるのか?
「これならどうだ」
みー弾を放とうとした時、間合いを詰めて斬り掛かって来たのでなんとか応戦した訳だがパワーが凄い事になっとる
「くくく、弱い、弱いわ!しかも剣は素人だな?素養はあるのだろうがそんなでは話にならんぞ?」
ヨウさんにも言われたが俺は剣の才能はあるっぽい。
日本男児としてはこれは素直に嬉しいのだが…そんな場合ではない
「や、やっぱ素養あるかな?ヤマト村1の侍さんにも言われたんだよねぇ〜」
「そ、そうなのか」
アレ?なんかバスティーが若干呆れてる感を出してるが何故だろうか?
「みーくん、こんな時に何ニマニマしてるんだよぉ!」
そんなに顔に出てたか?
「みーさん、流石にそんな場合ではないですよ!」
「う、うるさい!日本男児は剣の才能がなんて褒められたら皆こうなるんだよぉ!」
「褒められて喜ぶのは別に悪くない、うん、悪くはない。我はちゃんと話の分かる将軍なのだ」
呆れ感満載のバスティーの攻めが緩んでるお陰でなんとか対抗出来てはいるが 何一つ戦況が良くなった訳ではない。
どうしてくれようか、あの手で行くか。
と思ったその時!我等がまゆもくぅんが動き出した
「アチキの出番のようだねぇ。行くのです!ぼーるくぅん」
なんかデカいボールが現れた。いったいどういう事だろうと思ったらバスティーに突進しだした
「な、なんだこれは!?こんなモノ……結構な突進力じゃないか」
なんかダメージ受けてるっぽい
「ぼーるくぅぅぅん〜、がんぼるのじゃぞい」
まゆもが楽しそうに応援してるが地面に当たる時の衝撃で俺達の顔は引きつった。
地面にめり込んでますやん
「くっ、小賢しいわ!!」
遂に切り刻んで来たバスティー、だがぼーるくぅんは分裂してひたすらバスティーに襲い掛かる
「やめ、やめてぇぇぇ!!」
どうやらかなり痛いようだ。相変わらずエグい魔法をやりまするなぁ
「ふぃなーれぼぅん」
そういうと上空に上がったボールが一軒家くらいまで大きくなりだした。
これはこのまま勝てるのではないだろうか?だが一応このチャンスに俺も準備しておこう
「ちくしょう!!!死剣極!」
まゆもの魔法も凄いがそれを両断したコイツはやっぱやべぇ。
ここで天帝波を放ったが果たしてどうか?
「みーくん、まだだよ!」
何処までパワーアップしてやがるんだ?ねばのーるくんをかなり使ったからこっちはもうそんなに魔力に余裕はないんだよ。
多分あの鎧かなり強いんだろうな、となるとやはりあの手しか無い。
もう一回。接近戦やるか
「ガトぴょん!」
「ダメージを負ったがそんな技食らってたまるか!」
そんな技扱いはやめて欲しい。なんとか剣で攻撃をするがやはり当たる気がしない、とその時メロニィとクリスの会話の中にこうなったら一か八かなんてフラグ丸出しな会話が聞こえたと思ったら足に矢がカスりつい後ろに倒れ込んでしまった。
メロニィめ、なんて奴だ
「あっぶないわ!俺までやる気か!?」
「ご、ごめんなさい。活路を開こうと思いまして」
あれ?
「お、お前等は味方とか本当に気にしないのか……いや、分かった!分かったぞ!」
何を分かったというのか?だが見えて来た、コイツはやれるかもしれん
「後でメロお仕置きだな!」
戦闘を再開しようとするとバスティーが何やら語り出した
「安心したまへ、お嬢さん達よ。思えば最初からおかしかったの。
戦闘に参加するかと思えば放棄しようとしたり味方をするかと思えば妨害したり……おそらくやむなき事情で仕方なくこの外道と組まされているのだろう。
だが会話を見るからに脅されてるという程ではないのである程度義理立てもしている。
と、そういう状況なんだな、我は魔族だが誇り高き剣士であり武人、ライオウさん無き今では魔王軍随一の武人であり魔王軍でも一二を争う程の貢献者でもある我が、お嬢さん達を解放してみせよう。
大丈夫!確かに我々にとって人間は敵ではある。だが少なくともこの場においてはこの鬼畜外道を討ち取った後にまで手出しはせぬ。
もっともお嬢さん達が御礼をと言うのなら仕方ないとは言え付き合いはするがね」
このバカは何言ってるのだろうか?だが勝手に自分に酔って語り出してくれたお陰でこちらも仕込みは完了だ。
これがうまく行けばいかに強くなってようとなんとかなる可能性は高い




