はじめての弟子は王子様?で 2
いよいよリンガー国へ行く日がやってきた。
ギルドへ行き向こうの使者と挨拶を交わすや否や早速転身で向こうの城へと辿り着くのだった。
なんていうかもう少し向かう為の移動とか道中を楽しむとか多少の味わいが欲しい気もするが楽出来てるだけ良いとしておこう
「ここがリンガー国か…随分立派な城だねぇ〜」
「我々の国と同じ位の歴史がありますからね。相応の威厳が感じられます」
「こういう所は相変わらず落ち着かぬぼぅん」
まゆもさんと同じく俺もなんか落ち着かない。
借りてきた子猫のように大人しくしておこうかな
「皆様改めて御足労ありがとうございます。要件なのですが単刀直入に申し上げますと、王子が皆様と話をしたいとの事です。他にも何名かおりますゆえ待合室にて待機して頂けたらと思います」
「王子様がですか?こちらの王子様というと…」
メロニィが何やら思案している、何かあるのか?てか名前忘れたけど貴族が依頼主じゃなかったっけ?
「メロニィ様はある程度はご存知でしょうがご安心下さい、噂に関わるような事を頼むと言った話ではないので。ではこちらも準備しますので暫くお待ち下さい」
「ではお客様、こちらにどうぞ」
流石王宮の案内人、秘書とかメイド的な位置の人なのか?かなりなべっぴんさんだ
「みーさん顔に出てますよ?早速セクハラですか?あまり将来の嫁の前で節操無い行動は慎んで下さいね。終いには泣きますよ?」
「何が将来の嫁だ!てかメロニィ迄俺を無節操なセクハラ男扱いするようになったな!ところで王子様の噂って」
「私もそこまで詳しい訳ではありませんがコチラの王位継承問題とでも言うのですかね、第二、三王子の派閥が結構強いとかで揉めてるなんて噂があるんですよ」
そうなのか、王位継承問題とかなんか物語とかで聞いたことはあるが実際はどんななのだろう?と、待合室に入ったら既に何人か居た。
向こうに白服っぽいのが見えるがこの国の白服さんなのか?それとアッチは日本で言う所の神職の人が着てるような装束とでも言うべきか?黒い装束っぽいのを着てる男と白と赤の装束を着た女、それから若干巫女服っぽいのを着た女性がおる…なんて見てたらこっちへやって来た
「もしかして……みーさんかい?」
誰だっけ?いや、そもそも知り合いは限られてる筈だが
「ええっと…どちらさんで?」
「ほら、初対面の人にいきなり名前で呼んだら怪しまれるでしょ!はじめまして、私はキリカっていいます。コイツはタイマ、それでこちらがレーヌです。
私達はジハン国の者です。ヤマト村の方々とは仲良くさせて貰ってるので先日の祭りにも参加してたんですよ」
そうだったのか?それなら知られてる可能性はあるな
「みーソバ美味しかったぜ!神輿の時のパワーも凄かった。ライオウを討伐したという話で遠目で見てたけどこうして会えるなんてな。何にしてもよろしくお願いします」
中々感じの良い好青年だ。何より服が…カッコいい!俺もそれ欲しいな
「こちらこそよろしくお願いします!ヤマト村に来てたんですね、この子がヤマト村の子でまゆもって言うんだよ。それとこちらが白服の貴族さんでメロニィ、先に言っておくと隙あらば俺の嫁とか言い出すギャグを掴みとしてるけど気にしないで大丈夫です。そしてこの御方が我等がパーティのリーダーでクリス様です!」
「ちょっと、掴みのギャグってなんですか!?私は本気で言ってるんですけど!」
本気なら尚更質悪いわ
「ちょっと、クリス様はやめてって!」
「ジハン国の方達なのですね。アチキもいつか旅行で行きたいと思っておるのじゃよ。その内みーくんが連れてってくれる予定なのでぇす」
何勝手に決めてるのか?だがまゆもが旅行で行きたがるという事は相応に良い場所なのは間違い無い
「気を付けて下さいね、この男は隙あらばセクハラするし鬼畜でどうしようもないって言われてるから」
「おいクリス!初対面でいきなり何言ってるんだ!?これか?この口がすぐ俺の悪口を言うようになってるのか?」
流石に初対面からそれは酷いのでほっぺみょーんしてやった
「や、やめろぉぉ、そんな引っ張るなよぉ〜」
「スルーさせませんよ!私の嫁発言は掴みのギャグじゃ無いですからね」
「みーくん、ジハン国いつ行くなのか?」
せっかく自己紹介してくれてる初対面の方々を前に何やってるんだろう
「す、すまんね。見ての通りどうしようもないメンバーだけど頼りになる?なるのか…」
「ああーー!何その言い方!?私達だって頼りになりまくりじゃないか!」
「ははは、皆さん仲良しですね。私達もドタバタしてるなんてよく言われるけど流石に皆さんほどでは無いかな」
「す、すいません。お見苦しい所をお見せして」
流石に大人しくなったか、ここでまだはしゃぐようならリーダー失格もいいところだからな
「いいんですよ、それにタイマの奴もまあ、しょーもない奴なので」
「ええ!?初対面でいきなりそれかよ?それ言うならお前らの方が面倒くさいじゃねーかよ!」
「ちょっと、私達の何が面倒くさいのよ!」
ああ、端から見ると俺達もこんな感じか…楽しそうではあるが気を付けないとだな。
一歩間違えると痴話喧嘩にしか見えん
「そういえば皆さんも王子から呼ばれたって話」
「お前等うるせーんだよ!!それよりお前か?ライオウ討伐に関わった転生者は?」
メロニィが喋ってるのを遮ってもう一組の男が声を掛けてきた。
メロニィ先生の邪魔するならジェノるよ?
「転生者?」
ジハン国組はピンと来てないようだ
「俺がみーだけど、あなたは?」
「お前がみーか、何処の出身だ?」
「出身……日本の事?」
「そうだよ、俺様は東京出身でタワマン暮らしだったんだぜ。親が社長でな、いずれは俺も継ぐ予定だったんだよ!東大卒で自分で色々やってたんだ。お前はよ?」
元の世界の肩書きを語る意味は分からんが…見るからにアホそうだ
「俺は埼玉出身でこれと言って語る肩書きは無いかな」
「ぷっ、コイツ庶民じゃん、NPCじゃん。そんなお前がよく魔王軍将軍を倒せたな?レベルはよ?」
「3だけど」
「はぁ!?3だって?まじかよ……分かった!確かさっき話し声の中にヤマト村の子が居るって話だったな。
お前ヤマト村の人に集る寄生虫だな?居るんだよな〜そういうヤツ!運よくライオウだかを倒した場に居たわけか。
姉ちゃん達も騙されんなよ?こんなの相手にしてても何の意味もないぜ、今なら俺が面倒見てやるからこっち来いよ。因みに俺はレベル15でちゃんと戦えるし着実に強くなってるから安心しろ」
「「…………………」」
俺を含めパーティメンバー達は皆無言だった。
実際俺はいきなりこんな言われ放題みたいな事は生前からそれなりにあったりする訳だが普通はそんなにこういう事は無いらしい。
というのを歳経てから知ったんだけど、いざこういうのに直面すると言葉が出なくなるんだよ
「なんとか言ったらどうなのよ?せっかくたけし様が誘ってるのに」
今度は仲間の魔法使いっぽいのが喚いてきた。面倒だからそろそろ帰る話をしようとしたら王子の使いの人が来たようだ
「お待たせしました。これより王子との謁見になります」
こうして連れてこられたのは広間…とかではなく別の客間的な場所だった
「はじめまして。たけし殿率いるパーティの方々は御存知かと思いますが私がこの国の第一王子、コルトです」
何やら可愛らしいというか中性的な、それでいて何処か弱々しい王子だった。
似てる訳ではないが感じ的にはテト君っぽいな、って俺達普通にしてるけど礼儀とか大丈夫なのかな?
「では私フィールが今回皆様をお呼びした経緯を話させていただきます」
この国はどうやら魔王軍との争いが結構激しいらしく第一王子としては見た目に似合わず根本的になんとかしたいと思ってるらしい。
これだけ聞くと至極当然の話な訳だが事はそう単純では無いらしく魔王軍が拠点としてるのは国の一番端でセーレ王国とは真逆の位置だそうだ。
そこで問題なのがその魔王軍の拠点の先なのだがそこがどうやらグラン帝国の領地とでもいうのか、中々に面倒くさい所らしく魔王軍の拠点が無くなると侵攻されかねない問題があるとかないとか。
というよりそちらも隣接してるのでこちらが優勢になろうものなら便乗して魔王軍を潰しその辺りの土地を奪われかねないという問題があるそうだ。
両国で板挟みにすればまず人間側の勝ちは見えてるがそういう事があるので長年拮抗したままらしい。
加えて言えばそれを狙ってるかのように向こう側は魔王軍拠点には威嚇する為の拠点はあれど一切仕掛ける気はないらしく魔王軍もまた向こう側にはわざわざ手を出そうとはして無いらしい
「王子の予想ではそれこそが魔王軍の狙いであり、この状況を放置するのはいずれ良くない事が起こるのではと懸念しておられるのです」
なるほど、中々に賢い気がするが色々合点が行く。
ある主の革新みたいな事言ってるから王位継承問題に拍車が掛かっちゃってるというのも想像がつくな
「見ての通り私は戦い等は向いてない王子です。そのせいもあり王位継承問題を拗らせてるのも事実です。なので実績ある猛者である皆様に意見を聞きたく呼んだ次第です。お忙しい所お呼び立てして申し訳無いです」
「王子、いけませんぞ!王子が簡単に頭を下げては」
「よい、この者等は…たけし殿のパーティは別ですが他の者達は本来我が国には無関係な者達。身分の事など気にするこ事ではない」
出来た王子様だなぁ〜、なんて思ってたら
「王子!そこの珍妙な格好の田舎国の連中はともかく、そこの隣国の転生組、というかそこのみーって奴はどうしようもない雑魚らしいですぜ。ヤマト村の人を利用してる寄生虫ってところっすわ」
本当俺って初見でよくもこう嫌われるよなぁ、フィールさんだっけ?その人もなんか怪しんでる目を向けてくるし…このまま帰れるなら帰りたい
「そちらのパーティのリーダーは確かクリスさんと言いましたな。今の話は事実ですか?」
「事実なわけ…ってちょっとみーくん?何故止めるのさ?」
ここで止める俺。こういう扱いされると本当心底どうでもよくなるので早く帰りたい…というか旅行に切り替えたいというのが本音です
「仮に事実だとしたらどうするんです?」
「その時は、実績自体は本物ですのであなたには退室願おうというところです」
「ほら、場違いな庶民は早く出てけよ!目障りだ。だがせっかく来たのに即帰宅も可哀想だからな。ほれ、その金貨くれてやるからこれで観光でもして帰ればいいさ…貧乏人」
酷い言われよう。コイツこの国の管轄だよな?尚更帰るとしよう。せっかくだから金貨は貰っておく
「ぷぷっ、プライドねーのかよ!?これだから貧乏人は。まあ、これ以上イジメるのは可哀想だから勘弁してやるよ、みー貧乏君!」
「ちょっといいっすか?俺多少は知ってるんですけどそこのヤツが言ったような事は少なくとも無いので話進めて貰っていいっすか?」
なんと?まさかのタイマ君がフォローに…でも俺としてはこのまま帰るのも吝かでは無いのだが
「みーさんどうします?あの頭悪そうな人はこの国の管轄です。白服さんも止めに入ってないですし先程から見られる無礼はそのままこの国の我々パーティに対する態度と言う事になります。なのでみーさんがもう帰りたいと言うのであれば我々も帰りますが」
「そうだね、私の仲間を馬鹿にした以上は相手してもらえるなんて思わない事だよ」
「この場にいるジハン国の人達以外全員消すぴょ?」
あら、ウチのパーティ達は怒ってらっしゃるようだ
「それじゃお言葉に甘えて帰りましょうか。んじゃ失礼します、因みに観光はしてくつもりですけどそれは大丈夫ですよね?」




