イベントは来訪者からで 13
「明日も仕事だからこの辺で切り上げますか」
時刻はてっぺん回った頃になっていた。まだ色々と慣れないだろうからここはちゃんと寝てリフレッシュしといた方が良いだろう。
せいらさんはせっかくの機会という事で王都にある宿を手配していて秘書的な人と直接働く訳では無い関係者数名は宿に泊まる気満載っぽい
「遅くはなったけど帰れるっちゃ帰れるから俺は帰っておこうかな。部屋取ってないし」
「何言ってやがる!せっかくなんだからお前も泊まってけよ」
とはいえ部屋取ってないからなぁ
「姐御の部屋に泊まるという事ですね!流石みーさん、やることやってますねぇ」
「な、何言ってやがる!馬鹿が、誰がこんな変態と…だが他の奴に手を出されちゃかなわんから」
「部屋まだ空きがあるそうですが取りますか?」
秘書さん仕事早いな、んじゃせっかくなので
「では宿に泊まってしまいますかね」
「姐御、もしや余計な事しましたかね?」
「そ、そんな事ないぞ!相変わらず仕事が早くて助かるぜ」
姐御の部屋にお泊まりも良いんだけど…俺は鈍感系でも草食でもないから分かるが多分せいらさんと外泊で同じ部屋なんてなったら一線超える可能性が非常に高いと思う。
悪くはないけど、せいらさんは魅力たっぷりだし良い人だがその後の立ち回りを考えるとまだこの世界に来て1年も過ごしてないのでそんな責任重大な事は厳しいものがあるのです
「では我々は宿に」
「ちょっと待って下さい!話すタイミングが無かったのでアレなんですけどこっちの店の話を少ししても良いッスか?」
ルーミさんが1号店の話をしたいと言ってきた。ルーミさんは今日であっちに完全に戻るから確かにこのタイミングでないと主要メンバーと話す機会が減るかもだ。
という事で解散後ルーミさんとティッツ君、ガントさんも残った上で1号店の話をするべく宿のロビー的な所で話し合いが行われた
「まだ埋まってるとはいえこれから先は貴族の客はこっちに来る事が殆どになるでしょう、そうなるとかねてより目論まれてた一般人に視野を向けてく形になると思うのですが今の所その宣伝は全くされてないので1号店の方は客足が途絶える気がするんですけど何か戦略ありますかね?」
その件は俺とせいらさんとで結構話していたりする
「私の息のかかった冒険者連中に話はする予定だ。冒険者は金遣い荒いからハマるとは思うぜ、一般人に関しては口コミになってくるとは思うが」
「一応付き合いのあるクリーニング屋の人とかには俺から話してはあるけどあの人達視点からすると貴族御用達みたいに見えて敬遠してる節があったからね。そうだ、予約が途切れるのはいつ頃かな?」
「そんな話してたんすね、流石みーさんっす。予約が途切れるのが1ヶ月後位になるんですけど2号店で入れるってなったらキャンセルされたりしないっすかね?」
それはあり得るかもしれん、この転身の魔法陣があれば距離なんて関係なくなるがそれでも王都で予約ってなる可能性は充分にあり得る
「それは仕方ないと割り切って…そうだな、ティッツ君よ、出番だぜ」
「俺っすか!?ついに俺にも役回りが」
「冒険者に、直に営業かけてみてくれると釣れる気がするぜ。全員でなくてもいいから噂が広まるようにね。
それでいてこの件で受け答え出来る人物が営業かけてるなら話も早くなるでしょうよ。冒険者相手だと俺が絡むのはマイナスにしかならないから尚更ティッツ君の出番よ」
本当はガントさんが顔が利くので適任なのだが2号店の店長なのでそれは無理というもの。
なので冒険者では無いけどガントさんがよく連れてたティッツ君ならギリ話くらいなら出来ると思いたい。
俺が繰り出したい気持ちはあるが他の冒険者には嫌われてるから逆効果にしかならないと思うし秘密に出来なくなるからここはティッツ君しかいない
「が、頑張るっす!任せて下さい、きっと大繁盛に導きますよ」
良い心がけだ
「期待してるぜ、でも慌てる事も焦ることも無いからね。困った事とかあったらいつでも我々に相談して共有しましょう」
「荒事になってもこのみーさんに言えば消し去ってくれるから安心しろ。コイツにナメたマネすると海棲生物認定されて海に投げ出されるからな」
何言ってるんだこのおっぱいは
「そ、それはどういう事っすか?」
せいらさんがあの一件の話をしてしまった。こういう仕事の場ではやめてもらいたい。
せめてさっきの飲んでた空気の時にしてもらいたいとこだ
「いやぁ、流石っす。お、俺達にはやめて下さいね」
「姐御やみーさんがナメられないようアッシも気を付けますぜ」
「みーさんっておっかない人だったんすね」
ほら余計な事言うから俺のイメージが。荒くれ者扱いは困るのでちゃんと説明しておいた
「そんな事が…何かあったらアッシにも言ってくだせぇ!みーさんを助けるなんておこがましい事は言えませんがこれでもそこそこ顔は利きますんでお役に立てて見せますぜ」
そんな話をしつつ翌日も問題無く店を切り盛りしてせいらさんをアジトに送りちょっとくっちゃべってから家路につく道中、ある場所に立ち寄る
「お待たせしちゃいましたかね」
「いや、大体時間通りだぜ。今回はどうだった?」
「問題無くいきましたよ。早速いなさんに依頼が入ったので言伝お願いします」
「早速来たか!んじゃいつもの。俺はまた一杯引っ掛けてくがみーさんもどうだ?最近見付けた店は中々どうして、可愛い子が多いぜ」
「俺はなんかボロ出ちゃいそうなんでやめときます。いつか隙があったら行ってみたいんすけどね、ではまた次回発注時にお願いします」
この人はデンさん。ヤマト村の人でこの件の見届け人、または密偵的な立ち位置でせいらさんにも秘密にしてる人だ。
最初にことのほか上手くいってる流れを伝えた時にヤマト村男性陣の要望がダイレクトに届くよう、せいらさんに全て握られないよう配置された人員でもあり、俺個人がコレで遊ぶ為の魔石も持って来たりしてくれる最重要人物の1人でもある。
せいらさんは色々鋭いので絶対にバレないようにする為の切り札的な人物でもあるデンさんは当然ウデも立つ。
ヤマト村の人曰く器用貧乏の究極系なんだとか。因みに実年齢でも2個上だったりする
「おう!魔石もっと欲しくなったら言えよ」
俺もイナさんに頼んで色んなタイプの作ろうかしら、具体的にはリリィさんとかリリィさんとか
時間は21時位、まだ皆起きてるのはそうなのだが帰宅するとテーブルに3人黙って座っていた。
アレ?何この空気…俺なんかやらかしたっけ?
「た、ただいま帰りましたぞい。あの、おかえりぽんの挨拶が欲しいみーくんなのだが」
沈黙が続いてる…いったい何があったのか?
「みーさぁぁぁん〜!!」
何やらメロニィが泣き付いてきた。クリスとまゆもは神妙な面持ち…コレはアレだ、前にもこんな事あったな。
さてはコイツら何かやらかしたな
「では、一人ずつ話を聞きこうか」
泣き付いてきたメロニィがメロにゃんのように俺の膝に寝付いてても何も突っ込んで来ないクリスを見るに結構なやらかしをしてしまったと予想されるのでメロニィが落ち着いた所で緊急サミットが行われた。
まずはクリスからだ
「実は昨日…」
なんでも3人で飲み屋に行き晩御飯も済ませつつ飲みましょうといった流れになったらしく、クリスは覚えてないそうだが知り合いらしい男達に絡まれまゆもにまで手を出そうとした所で喧嘩になったとか。
まあいつものクリスといったところだ
「相変わらずのクリス様って事で、んでまゆもは?」
「あ、アチキは……」
どうやらその流れでクリスが複数名の男に羽交い締めにされ変な所を触られたりした事に怒りを覚え魔法を発動してしまったところ、店も結構壊してしまったとか
「まゆもさんの魔法で更地になってないだけマシと見るべきか。んで、メロニィさんは?」
「私はその……昨日カジノに行きまして……気付くと2千万負けてしまいました」
「はぁ!??に、に、に、2千万!?あ、え、えぇっと……その、ごめん。ちょっとタンマ、落ち着こうぜ」
「ふぇぇ〜ん、みーさぁぁん〜」
またしてもメロにゃん抱っこ状態に。それにしても一番驚いた。
響きだけ聞けば圧倒的にやらかしてる訳だが…ライオウ討伐の件とかで各自金はあるので一番やらかしてそうな内容ではあるが自分の金という点では自己責任であり誰にも迷惑は掛けてないといえば掛けてないので何とも言えないな。
それにその額は流石にショックデカいだろうからここは変に責めたりはしないでおこう。
それにしてもメロニィがここまでぶっ飛んでるとは…普段は一番キリッとした常識人な感じなのに
「い、一応確認だけど…メロにゃんはお金は大丈夫なのかい?」
「グスッ…家に入れたお金と預けたお金以外はほぼスッカラカンですぅ」
良 かった、金額がデカ過ぎるってだけで取り返しがつかない事まではやって無かったようだ
「当面は俺がお小遣いあげるからそれで大人しく過ごそうね、大人しく過ごせば平和なもんさ。ほら、メロ元気出すんだぜ」
「ふぇぇん…みーさぁぁん!もう今すぐお嫁に貰って下さいぃぃ」
とりあえずスルーしておいて
「クリスとまゆもの方は、ちゃんとお店の方には謝りに行ったのかな?」
「それがあまりの剣幕で二度と来るなって怒られたからまだ何も出来てないんだ」
そりゃそうか
「よし、明日行こう。金で解決するしか手は無い。お店の弁償と休業期間の保証、それと色付けて夏休み分の金って所か。
リニューアルみたいな感じで治すって所まで話せば丸く収められると思うぜ、金はかかるけどこの場合仕方無い。
まずは俺だけで行くからその後、皆で謝りに行こう。必要なら大工さんの方は前回ここで世話になった人達に頼もう」
明日朝イチから動くことにしよう




