イベントは来訪者からで 11
ギルドの職員が来た次の日の夜、俺はジェノサイダーズとしての任務を遂行した。
急だったような気もするが確かに前から言われてたから急でもないのか、加えてあの店の新店オープンが今週末に行う事になり予定が一転して埋まったのでタイミングは良かったとも言える。
来週でも良かったらしいが他国への依頼が入った旨をせいらさんに話したら前倒しする事になったのだ。
単純に花火大会の後、すぐに大きな仕事は入れないでおいたってだけで準備自体は万全だったらしい。
いきなりガッツリ予約が埋まって大忙しというよりは、軽く始めて店員さん達に慣れてもらうとい狙いでオープン時の予約はフットワークが軽い人と最初の常連位しか入れてないそうだ。
この事からも分かる通りせいらさんもこの商売に対して本腰入れてるのだと思う
とりあえず今は秘密基地にてジェノサイダーズの反省会が行われている
「はい、リリィちゃん。何故今ほっぺがこんなに引っ張られてるか分かりまちゅかぁ〜?」
「え、ええっと…それはみーさんが引っ張りたいからでは無いでしょうか?」
「違うわ!全く…最早まともな事は期待してないですけど、リーダーはリリィさんですし俺は助手的立ち位置ですから」
「相棒ですよ!」
「何でもいいわ!あのね、そりゃこだわりとかは分かりますしジェノサイダーズのお決まりみたいなのも今更多くはツッコみませよ。でもせめて、せめて侵入前はやめて!もう泥棒さんですら無いからね?彼等からしたら盗まれたではなく消滅させられたみたいな感覚になってると思うよ」
「そ、そんな!それは困りますぅ。私達は義賊なのですから、正義の義賊なのですから盗まれたという事実が無いとなんだか分からなくなっちゃいますよぅ」
もうリリィさんが分からない。通常時はあんなにお淑やかでいて頭も回ってる筈なのになんでジェノサイダーズになるとこんなポンコツになっちゃうのだろうか
「だから言ってるんでしょ!!何故最初っからぶっ放してるんですか!?幸いお宝はそれなりに回収出来ましたけど多分彼等は盗まれたとか思ってないですからね」
「ぅぅ……久しぶりの活動に嬉しくなっちゃってつい…でもこれでは確かに正義の義賊には見えないかもですね」
「そうです、分かってくれましたか!元からあんなジェノってる時点で正義には見えないというのは置いといて、せめてお決まりのルーティンは守りましょうよ」
「はい、気を付けますぅ!まずは華麗に侵入してお宝を取り、その後目に見える壁や建物もジェノりつつ決めの無惨業来という形ですよね」
「そうです!それです!まずはちゃんとルーティンを守るんです。目に見える壁や建物の破壊とか決めの無惨業来とか全く必要無いですがまずはそれは置いといて、ルーティンを守りましょう!そこから少しずつ義賊っぽくしていきましょう」
ジェノサイダーズは最早ただの狂人としか思われなくなると思います。
そしてこんなやり取りも一応はしてますが多分徒労に終わる事も分かってる。
次はどんな事しちゃうのだろうか
「ではお茶淹れますね。それとちょっとお話したい事もありまして」
話したい事?そういえば気になってた事がある。せいらさんのバツイチ子持ち発言の時、何か言いたそうにリリィさんは俺の方を見まくってた件だ
「もしやせいらさんネタかな?」
「そうです。話したい事があるアピールが伝わってて良かったです。実は私が直接話を通せる訳では無いのですが人探しを出来る人が居るんですよ」
なんと?そんな便利な人が居るのか。この件に関する情報はあの時の話だけな筈だとしてその時点でリリィさんは俺に何か言いたそうにしてるという事はあの時の情報だけで探し出す事が出来るって事か?だが
「それをせいらさんに直接伝えて無い所を見ると、何かあるんですか?」
「そうなんです。と言っても私が、私がいたパーティーがその探せる人に頼んだ事あるのは1回だけなのですが……迷信とでも言うのかその人の経験からの話で、依頼料まで払ってわざわざ頼んで来る案件の半分以上はロクな結果にならないって言ってました。
なのであの時躊躇ってしまったのですが、こういう時はどうすれば良いでしょうかね?」
なるほど、でもそれは考え過ぎ…なんて事はリリィさんのパーティーとて思う事だろう。
その上でこんな事言ってるんだからきっと本当にロクでもない可能性があるって事か
「たまたま、なんて思ってしまうのはリリィさんのパーティーでもそうだったとした上で悩んでるとなると、リリィさん達が頼んだ案件でもそうだった?って事ですよね」
「そうです。そこそこ強い魔物を退治した時に世話になった村の人から頼まれたのですが…その行方不明者は奴隷落ちしておりました」
マジか。てかこの世界は奴隷とかあるんだ
「えっと…この世界は奴隷とかあるんすね」
「大昔、奴隷制度は禁止になったとされてますがこの国やお隣のリンガー国はまずやってないとして、他の国では秘密裏にやっていたり別の形でやってると思われますよ。私が関わった時のはソウセン国でした」
ソウセン、前にもそんな名前を聞いた気がするけどロクでもない国な気がするな
「この国は大丈夫なのかな?」
「多分…極めて小規模かつ個人的なやり取りなんかですとなんとも言えませんが、奴隷制度やめよって言い出したのがヤマト村の創始者、ムサシ様って話ですのでヤマト村と陸繋がりであるこの国とリンガー国はそんな危険な事出来ないと思いますよ。
バレてヤマト村の人の逆鱗に触れたら多分3日も持たずして滅ぼされちゃいますからね」
ヤマト村恐るべし。ヤマト村に各国の要人がしょっちゅう来るって話は俺も見聞してはいるけど世界に相当な影響を及ぼしてるのかも知れない。
そりゃそうか、かえでさん1人出陣するだけでも3日持つかすら怪しいからな。俺も滅ぼされない様に気を付けよう
「まさか奴隷落ちは無いと思いたいですし一緒に逃げたのが同じヤマト村の人だって考えると酷い事にはなって無いと思いたい所ですがどうですかね?」
「私もそう思います、なのでこの話をしているんですよ。というのも今話しました探し人がロクな事になって無いという話、その人探しのプロの方が言ってたんです。
こればかりはオカルトと言いますかそういう星の下に生まれて来てしまったのか説明はつかないと言ってましたが。
なのでそれを知る人やその人の関係者は人探しをその人に頼む事は無いと言ってました」
つまりアレか、その人探しのプロが頼まれる案件はそんなふうに言われるほど見つかった人はロクな事になって無いって事か。
世界的に見ても有数な冒険者パーティーだったであろうリリィさんがそう言うんだからその通りなのだろう
「せいらさんから聞く情報を精査する限り、ロクでもない事になってる可能性はかなり低いので人探しのプロに聞いてみるのもアリにも思えるけど、それでもその人に頼む時点でどうなってるか分からない怖さがあるっと言った所ですね」
「そういう事です。ヤマト村の人達がそれなりには協力して探したりしてるというのであればその人探しのプロの方に辿り着くのも時間の問題だとは思いますが…みーさんはどう思いますかね?」
「難しいですね。俺も割とそういうゲン担ぎでは無いけどオカルト的なものって気にしないタイプではないので軽率には言えないですね」
「そうですよね、私もそういうの一度気にすると気になっちゃうタイプなので…でもやはり自分の子がどうなってるかとか気にならない訳が無いと思うんですよ。でもこれは余計なお世話かも知れないですね」
なんとも難しい問題だ
「せいらさんに直接言う…と絶対探すってなるのは当然として、ロクでもない事になってた時の事考えると…それでも知らないよりはいいか」
正論はそうなのでこれで話が済むなら簡単ではあるが
「私もそれは分かります。ただ、そういうのを沢山目の当たりにしてきたであろうあのプロの人探しの方は、知らない方が良い事もあるって言ってました。
こういった経験する事が無いので分かりませんが、相応の数を見てきた人が言う事を無下にも出来ないって思ってしまうんです」
でしょうね。俺もなんとなくは分かるよ。そんな経験はした事ないけど知らなきゃ良かったって事が存在する事はね。
でも自分の子供っていうのはやはり知らなきゃダメじゃないかとは思うけど…そんなふうに考えた上での事なのだろう。
やはりあまり軽率には言えないな
「正直俺は色々踏まえた上でも、やはり知るべきだって思いのが強いです。でも知らなきゃ良かったって話もわかります。なので、余計なお世話かも知れませんが…ジェノサイダーズの仕事として調査、してしまいますか?」
あまり良い趣味とは言えないが先にこちらでどうなってるか偵察をしようって話だ。
これもどうかとは思うが…どうなのだろう?
「そうですよね、私も実はそう考えておりました。流石相棒です!」
何やらウキウキ感を出して来るリリィさん、確かに気持ちは分かるよ。
一人で勝手にやると趣味悪いってなるけど二人ならなんか大義名分を分かち合える感があるし、せいらさんの為になるってんなら悪い事ではない…と信じたい
一応考えが先走った一時的なものだったという可能性や倫理感的な物の事を今一度考える間があったほうが良いと言う事で、十中八九動くとは思うがこの件は一旦保留となった。
次回のジェノサイダーズ案件の時かゼストさんと会う時にでも改めて話し合った後に行動しよう




