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イベントは来訪者からで 6

 

「そういや魔符ありがとね、大活躍でしたよ。思ったより儲かったからお礼を献上致しまする」



「ふふ、我を崇めよってね。でもお礼は大丈夫って言ってもくれるんだろうからありがたく貰っとくとして…今度変わったタイプの作ってみるからさ、ちょっと実験に付き合ってよ」



 それは面白そうな話だ



「良いですぞ、でも変わったタイプってどんなの?」


「多分大丈夫だと思うんだけど、でももし駄目だったらごめんって事で」



 ちょっと待て、それ実験台ってやつか?



「俺は実験動物ってヤツか…ちょっと怖いからこの話は」


「大丈夫だよみーなら…多分、ほぼ、確実とは言えないけど」



 まあなんだかんだと魔符でお世話になってるからなぁ



「んじゃまた転進ので欲しいからそれも融通してって事で」


 と言ったら被せるように魔符を渡して来た


「交渉成立」


「用意のいい事で。ところで今回の話ってゆっこさんも関係あるの?」



 てと君にゆっこさん、繋がりが見えて来ないが俺はそこまでこの人達の人間関係に詳しい訳では無い、かえでさんとゆっこさんは遠い親戚にあたるとかなんとかってのは聞いたことあるけど。

 かりんさんはかえでさん家の隣で小さい頃から仲良しでその繋がりでどうとかいう話だったな。 

 因みにかりんさんはかなり厄介な能力というか特技を持ってるらしいが秘密と言われた。

 トウ君達は知らず、ゆっこさんやかえでさんに聞いても教えてはくれなかった。この辺の口の堅さがまたヤマト村っぽい



「着いてからのお楽しみだね、私はそんなに深入りするかは分からないんだけどね」



 ゆっこさんと話しながらしばらく歩いてたどり着いた先には意外な人物が居た



「みーさん、祭りの時以来ですなぁ」



 クリスの親御さんが居た



「どうも、お二人も花火大会ですか?」



「そうなのよ、ヤマト村の人に観光のお試しを頼まれてね、ただ私はこの集まりには関係無いんだけど」



「みーさんや、ロックを…やる時が来ましたぞ」



「みーさん、僕達もロックやる事にしたんだよ」



 てと君が目をキラキラさせながら言ってきた。可愛い少年だぜ



「という事は…バンドを組もうって事かい?」



「そーゆー事。って言ってもみーは冒険者としても動いてるから負担にさせちゃ悪いから私達は私達でやりつつみーも合流する事もあるみたいな感じの形に、なんて話してたんだよね」



 そんな事になってたのか



「んじゃゆっこさんは何を担当するのかな?」



「私は笛とか吹く系でちょっと参加する的なのなら面白そうって事で話してるよ。個人的にはピアノも興味あるんだけど覚えるの大変そうだしね」



「ちゃんと話すのは久しぶりね、私はピアノと当然歌もやりたい所だけど…あなたが入るならコーラスとかでも良いわよ?」



 この人ははるさん、歌のスペシャリストだ。各国の催事にも呼ばれる様な程の歌姫といった所。

 年齢は聞いた所によると多分俺の実年齢とタメ位で、前髪で顔が隠れてて服装も黒比率が高く、暗い雰囲気を醸し出しててかつ、かなり独特な性格をして絡み辛い部類に入る人だったと記憶している。

 ただ、全くエロい格好はして無いのだが多分今まで見た中で一番の巨乳だと思う。結構肉付きが良くムッチリ系だが嫌いじゃない。うん、悪く無い。

 でも夜に見掛けたらビビるレベルだったりするその雰囲気や独特の性格から軽く絡むのもちょっとハードルが高いかな、なんて人です。



「はるさんが歌っちゃうとなると俺なんかじゃ恥もいい所だからはるさんがボーカルもやれば良いと思うの」



「何言ってんのよ、確かにあんたの歌は微妙に音程が安定して無い部分があるけど、ロックってそういう感じなんでしょ?逆に私には難しかったりするのよ、程よく雑にやる感じは下手に綺麗にやるより気持ち的にやり辛いのよ」



 一回歌声を聴いた事はあるが確かにこの人の力じゃ雑になんて出来なそうだ。てか音程が安定して無いのがロックと言うのは誤解だからちゃんと言わないと。

 それにしてもアレだ、絶対音感持ちだなこの人。俺が根本的には音痴だというのも見抜かれてるわ



「みーが言ってるバンドってヤツの楽器はおじいさんから軽くは聞き及んでるけど実際の所現物ってどんななの?」



「一般的バンドはだいたいギター、ベース、ドラムでそこにキーボードならぬピアノとかパーカッションなる変わった打楽器達を扱うパートに笛やラッパなどの吹奏楽が入ったりする感じかな。

 バイオリンとかも楽曲の中には使用されたり等でそういうのはバンドとは別にサポートメンバーとしてやるみたいな感じだったりしますね」



 結構熱心に聞いてくるのはきろ君という1個上位のちょい先輩にあたる人だ



「ドラムって太鼓をどうこうするって聞きましたよ」


「そうそう、ドラムとベースはリズム隊って言って実際バンドをやると欠かせない部門の人達になるよ」



 太鼓の事聞いてきたのはみりちゃん。確か…2個下位でまゆもの1個上だったか




 話がまとまって来たがどうしてもドラムだけは難しそうというのと現物が無い事を考慮し、魔力が持つか判らないが試しにねばのーる君でドラム的な物を作ってみた。

 って言っても俺もドラムに詳しい訳じゃ無いのでそれっぽい感じのを作るだけになるが




「あんた本当に意外と器用ね」


「ふふふ、やりよるだろ。ゆっこさん、良かったら鉄製の鍋とかその蓋があったらいくつか借りたいんだけどあったりする?」


「鍋?分かった。ちょっと待ってて」



 鍋でも打楽器には出来る。ねばのーるくんでは音がどうなるか分からないからイメージだけでも伝えられたらと思う次第だ

 


「ぜぇぜぇ……見た目はこんな感じ。ちょっと休んでいい?」


 頑張ってドラムセットっぽいのを作ってみたが位置とかが意外と気になって来るものだったので結構頑張ったら魔力切れ手前くらいになってしまった。

 ねばのーるくんの燃費は油断するとすぐこうなるから気を付けないと



「ほら、コレ飲むと魔力少し回復するよ」



 回復ポーション的な物をくれたのはせんちゃんという1個下と思われる子。結構な美人さんで生粋の剣士的なノリだったがこんなもん持ち歩いてるのは意外だな。

 それにしてもこのポーション良いな!凄く楽になった。

 いい感じに回復したのでここでちょっとドラムを叩いてみた



「軽く刻んでみるからクリスのじいさん、リズムに合わせて適当にギターお願いします」


「よし来た!」



 意外とそれっぽくなったがドラムの太鼓の部分はどれも音が一緒になってるのでゆっこさんの持って来た鍋と蓋の余りで使えそうなのをドラムセットして違いを作る



「おお〜!!これは、なんて言えばいいか分からんけど…良い感じだ!」



 ドラムを叩きたいという事で皆に叩いて貰った所、リズム感と打感が良い感じだったのがきろ君だったのでちょっとリズムを刻み続けて貰い、俺はギターを借りて演奏する事にしてみた。

 いわゆるセッションというヤツだ。他の鍋を使って音を好きな時に入れるもよし、笛でそれっぽい音を入れるも良しという自由度満載の形でセッションが行われた。

 簡単かつ音がそんなに多く使われてない曲をやったが流石はヤマト村の人達、センスの塊とでもいうのか難なく合わせて来るわコーラスが神がかって来るわと初めてのセッションはかなり面白い物となった



「す、すげー!これがロックか」


「ここにウッドベースで低い音が加わると更に重厚になるんだね」


「ヤバいわ……私ロックになる!」



 皆の反応も上々。半年もしたら多分俺抜かれるね。でも良かった、なんていうかこの世界に何か元いた世界の痕跡を残せた的な気分になるぜ





 この後話し合いの結果、まず楽器を集めたり作ったりする、各パートを決める、本格的にやる曲を決める等が決まった



「それじゃあリーダー、やる曲の楽譜的な物頼むね」


 え?


「ちょっと待って、俺がリーダーなの?」



「当たり前じゃない…とは言ったものの普段村に居ないから進捗が分かり辛いか。早く転進覚えてよ」



 いや、俺がリーダーはちょっと…そんなフリをしてくるゆっこさんこそリーダーをやるべきかなと


「俺だって早く覚えたいんだけど、てかリーダー俺は無いでしょ?そんなに顔も出せないだろうし…名誉顧問はクリスのじいさんだとして」



「ワシ?名誉顧問…うん、悪く無い響きじゃ。でもワシに出来るのはギターをちょっと教える位のもんじゃよ?」



「それがもう凄い先導者になってるから間違いなく名誉顧問はクリスじいさんしか居ないよ。それに音楽は自由だからね、下手に縛られる必要は無いんだぜ」


「楽譜なら任せな、歌詞はキチンと聞き取りきれなかったけどアンタが前にやった曲のならだいたい出来てるわよ」


 マジっすか!?はるさんパねぇな


「マジっすか?アレだけで出来ちゃうんすか?」



「私は一回聞けばその曲は覚えちゃうからね。アンタがやったコードの手癖というか音足してる部分もちゃんと抑えてるけど解釈の仕方次第でルート音が変わる気もする箇所があるからその辺はちょっとアンタと違う解釈かもしれないけどね」



 うわぁ…俺理論とか全然詳しくないんだよね、楽譜を覚えてる位なもんで。

 言わんとしてることは分かるけど俺がついて行けなくなるわ。ヤマト村恐るべし



「ええっと、では俺が先駆者的なのはそうなんだけど…リーダーははるさんでお願いいたします。僕は合流した時に加わるメンバーみたいな感じで」



「え?わ、私?何言ってるのよ、私そういうのは」


「いやぁ~はるさん以外あり得ないわ、はるさん凄すぎです。もう現時点で俺ついて行けないもん。一回聞けば覚えるとかもう訳分からんもの」


「やっぱり音楽といえばはるさんだよね。私も賛成」


「音楽ではるさんに文句ある人なんかあり得ないから俺も賛成」


「ちょ、ちょっとみー、私はそういうの苦手というかなんというか」



 あら、不気味な雰囲気から一転して可愛い生物になって来てるはるさん、もう一押しか



「はるさんの存在が最早……ロックですぜ」


「ロック……」


「そう、ロック。ロッンロール、ロックンロール!」


 テキトーに言ってみたら皆も合わせて言ってきた。どうやらコイツ等もロックがロックだな



「ふっ、仕方無いわね。ここで乗るのもまたロックって事ね」


 なんやかんやとノリ気になってくれたはるさんを筆頭に今日、この村で、或いはこの世界で、初めてロックバントが結成された



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