夏祭りはヤマト村で 22
盆踊りだ
ほぼ盆踊りだと思う。明確な決まりがあるようにも見えないがそれっぽい踊りをしている。
太鼓と三味線の音に笛の音色、日本の夏によく似てるねぇ、何か魂に来るものがあるよ。
前の人に合わせてそれっぽくやってると後からちょっかい出してくるクリス
「ふふふ、みーくん隙だらけだよ」
クリスの前は失敗だったか、やり返したいが流れを止めるのはよろしく無いので後で仕返しするか。
という事で前にいるまゆもにちょっかい出しとくか
「ぴにょ!?な、何するでごじゃるかぁぁ」
「リーダーからの伝達です。ボクもやられたので我慢して下さい」
「ぴにゅぅぅ」
俺と同じくやり返したいけど流れを止められない葛藤にやられてるな。
しかしまゆもの前は…エルフさんですかね?知らない人なので手は出せないな。
そんな事を繰り返しつつ踊る俺達、と思ったらターンしだした。
これはチャンスだ、と思ったら
「ぐはっ!?」
「まゆもタックルなのでぇす」
まゆもめ、地味にいいところ入って苦しいけど我慢。
さて、この元凶たるクリス様に
「わ、私はそろそろ疲れたからやめようか…ひゃぁぁ!?み、みーくん…みーさん、その辺にして貰ってもよろしいでしょうひゃぁぁ!みーくんやめろよぉ〜」
「あれれ〜?クリス様どうしたんですかぁぁ〜?」
「くっそ~、こうなったら」
今度は八つ当たりする様にクリスの前になったメロニィにイタズラしだした
「や、やめて下さい!後で仕返しする事になりますよ?」
「そういうのはみーくん担当だから大丈夫」
勝手に担当にするな
「……では夜な夜なみーさんの部屋に行って仕返ししますかね」
「ちょ、ちょっと!?そういうのはダメなんだからね!あのお家は皆の家なんだからぁ」
流石メロニィだ、仕事の出来る人は切り返しも見事なもんです。
だけど実際夜な夜なメロニィが来て何かして来たら俺はどうするのだろうか…このジト目っぽくて可愛い見た目はロリのメロニィちゃん。
うん、多分なるようになるね
一通り踊ってせっかくなので晩ごはん代わりに色々買って広場で食べる事にした俺達
「今日で終わりですね、ヤマト村の旅行、とても楽しかったです。明日は家でのんびりして明後日から店はやりましょうかね」
どうやらお得意さんにもその日程で伝えているようだ
「私も明日はグータラするかな。きっとみーさんが何か作りに来てくれるだろうし」
何いってんだこの変態は
「それならお二人は今日家に泊まってしまえば良いですよ。明日の夜くらいまでゆっくりしてって下さい」
リーダーはノリノリだ
「そうですよ、せっかくですので」
「いいんですか?それでしたらまだやってなかったと思うので私が食事の支度しますかね」
ひゃっほー!リリィさんの手料理だ!一気に楽しみになって来たぜ
「私も絶対泊まる!何があろうとキャンセルだ!!リリィ様の手料理なんて……どうしよう」
そう言ってリリィさんにくっつくせいらさん。いいなぁ、俺もリリィさんにくっつきたいなぁなんて思ってたら後から誰かが声をかけて来た
「あ、あの、先程クリスと呼ばれてましたがもしかして魔王軍の将軍を倒した冒険者パーティーのリーダークリス様ですか?」
それはもう可愛らしいエルフさんが声をかけてきた
「そ、そそ、そうですます。私がクリスです」
慣れない声の掛けられ方をしたせいか焦って声が裏返って返事するクリス。
それにしても俺達は結構有名になったのかな?
「やっぱりそうだ!ヤマト村でクリス様って呼ばれてるからそうだとは思ったんだ。よ、良かったら握手して下さい」
「ふ、ふふ、私達も有名になって来たんだねぇ〜、このパーティーのリーダーのクリスだよ。よろしくね!」
「ありがとうございます!私はエルフのリッタって言うよ。よろしくなのです!あのライオウを倒すなんて凄いです、私達も間接的にはなりますが助けられました。ありがとうございます」
詳しい事は分からないが助けられたって人達も居るもんなんだな
「トドメを刺したのは私って事になるけど倒したのはそこのみーくんって人だよ」
おいおい、そんなふうに言っちゃうと格好が良すぎて
「ふわぁ、わ、私はリッタていうよ。みーくんっていうんですね、凄いです!握手して下さい!」
何この可愛い生き物、純真無垢な笑顔がなんというか癒やされます
「ふ、冒険者として当然の事をしたまでさ。キミのような可愛らしいエルフさんを助けられてたってんなら冒険者冥利にって何する!?せっかくエルフさんが声掛けてくれてるのに邪魔すんなよ」
せいらさんが服を引っ張って来て首が絞まる
「黙れ!おいリッタさんと言ったな、気を付けろよ。この男はこんなスカしたように喋ってるが本性はエロ丸出しのセクハラ鬼畜男たぞ」
なんて言い草だ、初対面の時ぐらい変な言い方やめてくれまいか
「このド変態め!リッタさん気を付けるんだよ〜、この人はさも自分が良識ある人かのように語ってるけどただの変態暴君女ですからね〜」
「やはりテメーとは決着つける必要があるようだな!」
「上等だ!今度罰ゲームで絶対服従の刑にした上であんなことやこんな事して外歩かせてやる」
「ひぃぃぃ!?」
「ほら、みーくんが馬鹿なこと言ってるからリッタさんが怖がっちゃったじゃないか。ごめんね、このお兄さんはセクハラしまくりでどうしようもないけど…どうしようもないんだ」
「おぉい!何だそりゃ?もう完全に救いようが無くなってるじゃないか!リーダーなんだから少し位フォロー入れろよ」
「では巫女服好きだって入れれば良いのではないでしょうか」
「なぁんのフォローにもなってないからね、それ。メロニィならもっと良い案浮かぶはずだから頑張れ」
「みーくんはいつもアホ毛が立ってるのじゃ」
「それも何のフォローになってないわ!ほら、リッタさんが俺に対して戸惑いつつあるよ、何かこう、ないの?どうしようもないけど……からの!こんな時はリリィさんしか居ない!」
「え!?ええっと…みーさんはやさしいですよ」
「それだよそれ!そう、なので」
「布団になれとか家具になれとか言いますけど」
駄目だ、いよいよもって誰もフォローしてくれなくなってる。
どうしてこうなった…このままでは可愛らしいエルフさんに変な目で見られてしまう
「おい、あんなことやこんな事ってどんなのだ?何をして私は外を歩かされるんだ?」
こっちのほうがどうしようもないだろ
「ふふ、ふふふ、あはははは。ライオウを倒した人達ってこんな楽しそうなんだね、なんだか私も楽しくなって来ちゃったよ」
なんとまあ純真無垢な子なのでしょう
「リッタさん、気を付けないとこの男は最早なんでもいい疑惑まであるからね、きっとキミにもセクハラしだすに違いないよ」
「ひぃぃぃ!?」
なんて素直で可愛らしいのでしょう。こういう感じの可愛い子は周りに居ないからなぁ…強いて言えばクリスに憧れてるエリサさん…いや、俺の勘ではちょっとそれとは異なる
「そうやってあんまりセクハラ男扱いしてるといつか手痛い反撃をするからな」
「じゃあ私は行くね、会えて良かったです!もし私達の郷に来る事があったらその時は声掛けてね」
エルフさんは行ってしまった。行きたい気持ちはあるが…その郷が何処かは言ってくれなかった。
言い忘れてるだけか?
「全く、キミってば本当、女と見たら見境ないんだから」
「おかしいから!俺は別にそんなつもりじゃないしそういう事しようとすらして無かったたろうが」
そんなエルフさんとの出会いもありつつご飯も食べて踊りも堪能したのでそろそろ帰るということで、せいらさんの実家とまゆも家に挨拶に行こうかと思っていたらその面々は既にこちらに来ていた。
祭りに参加してた事もあって挨拶出来るよう櫓の隣りにある仮設休憩所で飲み食いしていたようだ、村長達なんかも居るな
「んじゃ私達はそろそろ帰るぜ。って言ってもまた花火大会にも来るから畏まって挨拶する必要はねーけど」
「いつでも帰って来るんじゃよ」
「まゆも、体には気を付けるんだぞ。それとこのお兄さんに変な事されないように気をつけるんだよ」
まっさんめ、何言いやがる
「何言ってるの?無いから、俺は極めて紳士的なみーさんなんですぅ」
「まゆも、もし何かされたのならお母さんに言うのよ。ちゃんとその後の事は上手くいくようお母さんも動くから」
この人も何を言っちゃってんの?俺もまっさんも困惑してるわ
「うにゅ、まゆも報告するでぇぇす」
「そう言えばクリスさんや、みーがライブしてた時におじいさんとおばあさんが来ておったな」
村長がクリスに話し掛けて来た。まさか俺のアレを…いやそれはないか
「はい、お邪魔させて頂きました」
「実はうちの村はこう見えて観光にも力を入れたいと常々思っておっての、じゃが来るには転身が必須ゆえ自ずと決まった所からしかほぼ来ないんじゃよ。なので良かったら我が村に来て観光的なものを定期的にしてもらいつつその意見を聞いてみたいのじゃが頼めたりするかのぅ?」
「それはいい、一般客の視点がどんななのか知りたいし良い機会だ」
「勿論その際の滞在費は大丈夫ですよ。でも、下手にもてなすと逆に気を使わせちゃうのでタダの旅行だとでも思ってくれれば良いですので」
なるほど、これが熟練のしれっとってやつか
「そんな待遇良くしてもらって良いんですか?ウチの2人は旅行好きなので大歓迎ですよ。ありがとうございます」
「確かにこの村は一般客が少ないからな、祭りや花火大会なら獣人、エルフ、ドワーフの一般客は来るが人間の一般客はあまり来ないからこれを期に観光客が増やせるってもんよ。だから遠慮なく招待してやってくれ」
「姐御〜、ありがとうございます!帰ったら伝えときますね」
色々おかしな所もあるがやはりこの村の人達は良い人だ
「花火大会も来るんだろ?」
「そりゃもう行きますぞ!夏のうちは暑いから戦い挑んで来るなよ〜」
「俺は暑くないしなぁ〜、どうすっかなぁ〜」
周りの人皆暑いからやめてあげて
「それより今度お前ん所遊び行くからヨロシクな!」
「頼むから家壊さないでね、買ってすぐ壊されてショックデカかったから」
「トウと一緒にすんな、俺はそんな事しねーよ」
いや、レン君は確かに無闇やたらに喧嘩しようってキャラではないがやるやらないで言うとやらかす寄りだから油断ならない
「大丈夫だよ。俺達はもう充分大人さ!それより楽しみにしてるよ、一緒の部屋で一晩楽しもうじゃないか」
コイツ…本気でホモっ気あるんじゃないだろうな?彼女さんもいてバカップルっぽいクセに
「みーの家がどんなのか楽しみだな」
なんだろう、ドン君が一番マトモに見える。トウ君よりエロいくせに
「あー、そろそろ帰る頃だね!良かった、間に合ったよ」
かえでさん達が来てくれた、本当面倒見が良いと言うか世話好きとでも言うのか。
事前の話を聞いてなかったら気があるんじゃないかとモヤモヤしちまう所だ
「今回も色々とありがとうございました!また来ますので、皆さんも家の遊びに来て下さいね」
「ゆっこねぇさんと一緒ねーる!」
「そう言えば結構前にそんな話してたね。まゆもちゃんとお泊りは初めてになるかな」
あ、泊まり込みは確定しちゃってるんすね
「かりん様が行くんだからちゃんとおもてなししろよ、みー!」
散々人を弄り散らかしといてこのアマ
「お前いつの間に女を家に連れ込もうとしてんだ?」
「誤解を招くような言い方しないで下さい。ただ家に招待しようってだけですよ。せいらさんだってもう普通に泊まってるじゃないすか」
「私はアレだよ、姪も居る訳だし、お前みたいな危険人物が変な事しない様に見張ってやってるんだよ」
セクハラに危険人物って酷い言いっぷり
「かえで様、助けて下さい。せいらさんがどんどん酷い事言って来るのです」
「はは、残念ながら否定は出来ないかなぁ〜、なんてね」
「この筋肉フェチめ」
「ちょ、ちょっとアンタ何言ってるの!違うからね、私は別に筋肉フェチとかじゃないからね!みーめ……覚えてろぉ〜」
隕石だけはやめてくださいね
「はやくはやく〜」
かりんさんがゆっこさんに催促している、例のアレか
「ちょっと、なんかもう晒されてるみたいで嫌なんだけど。ええっと、なんか定番にされちゃったから気にしないでね、はいコレあげる。花火大会はすぐだからその時は渡さないからね」
今度は扇子をくれた、ふふふ。実は俺もあるんだな、しかしちょっと驚いたが理由がある
「ではそんなゆっこさんにはコレを」
ごめんなさい、まさかとは思ったけど被りました。扇子です
「ええ?みーも扇子なの?」
ヤバい、周りの視線が
「この2人、そういう事だったのか」
「えぇ~そんな本気っぽいと私弄れないよぉ〜」
かりんさんが弄れないとか言い出しやがった
「ちょ、ちょっと!違うからね。そんなんじゃないから!みーもなんでそんなそこそこ良い感じのちょっとしたお土産みたいなの選んじゃうのよ」
「ゆっこさんこそもう少し雑にしてくれないと……それともまさかこの俺に!?」
「何バカな事いってんの?」
即答された
「こういう時は一瞬くらいでも戸惑ってくれないと男心がどーのこーのですぞ」
「はいはい、戸惑いましたよ〜」
「くっ、そんなテキトーに…それじゃあそろそろ行きますかね。皆さんお祭り楽しかったです、ありがとうございました!花火大会にも顔出しますので、それじゃあまた」
「うむ、いつでも来るが良い」
「来年のライブも期待してるぜ」
「また屋台やってね」
ヤマト村でのライブに祭り、それはもうとても楽しくて、ライブの成功なんかも考えると奇跡とも言える幸運だった気がしてしまうが、そんな良い事ばっかりだとなんか反動があるんじゃないのかなんて不安が出るのも人の性。
そしてその不安はすぐに現実の物となった。
時系列がわからないので反動なのか同時なのかはわからないが、メロニィの転身で家に帰ると……
俺たちの家にゴミが投棄されてたり落書きがされていた




