9話 大きな仕事2
「ぐあっつ!」
「うっ!」
パタリと一人が、二人が倒れ敵が次々へと死んでいった、陽動にしては大成功だ
俺も顔を出しアサルトライフルを乱雑に撃つ、自分が引き金を引くと同時に敵の悲鳴と絶命音が聞こえる
「これでもくらいあがれ!」
そういってジェリーがグレネードを数個投げる
ドカーンという音と共に衝撃波と埃が俺の目を襲う、ものすごく痛いが、頭に穴をあけられるよりはましだろう
数分間、戦闘を続けていくうちに、敵が弱ってるのが見て取れる
ふと工場の屋根へと目が行った何か細長い物を運んでいる奴がいる、俺は千里眼でそいつを見た、奴が持っていたのはFPSでよく見たものだった
「RPGだ!全員車から離れろ!」
俺はそう叫んで近くのコンテナへと避難し皆も別の遮蔽物へと移る
ズキューン!!
RPGが放たれ、俺たちが乗って逃げる予定だった車は見るも無残な姿へとなっていた
「おい!嘘だろ!」
「ちくしょう、計画が狂っちまったぜ」
「お返しだ!」
俺がそう叫んで屋根の上に居た奴に銃を撃った、一発足に当たり奴は前に倒れ、グチャっという気味の悪い音を立てて俺の耳へ最後の抵抗を行った
遮蔽物に隠れふと左を見たらニックスが笑っていた
こんな状況でも笑うなんてよほどの猛者か狂人しか居ない
「仕方ねえ、おもったより敵が弱いしこのまま突破するぞ!」
「あいよ」
俺たちはそのまま撃っては隠れ撃っては隠れを繰り返し、敵を確実に倒していった
そして外に出ていた最後の一人が命乞いと言わんばかりに両手を万歳して出てきた男に銃弾をプレゼントした後、工場の中へと入った時、俺の頭に痛みが走る
「へへへっ!」
酒の空瓶をもったその男は俺を殴り笑っていた、やばい!俺、ここで、、、
グサッ
見ると酔っぱらいは倒れ、階段の途中でリオンが左手に男を持って立っていた
「大丈夫?けがはない?」
「うん、助かったよありがとう」
俺がそういうとリオンは笑顔になった
3人が工場の中へと入ってきてニックスが言う
「リオン!どうだった!」
「大丈夫よ、何も問題ない」
そういって彼女は男の頭を高く見せつけた
「よかったぜ、今回は成功ってとこだな!」
「よかったあ、、」
皆ため息をつき、生きていることを実感する。全員無事、そしてちゃんと義手もある、今回は大成功と言っていいだろ
「それじゃ、あの黒いデかブツにのって帰りましょ」
「ああ、それなんだがな」
そういってニックスが燃え上がる車を指さして言う
それを見て彼女が顔を一気に青ざめ、ターゲットを手放して車へと駆け寄った
「あーー!2万フランがあああああ!」
この世界の通貨はフラン、1フランおおよそ100円だからあれは大体200万ということだ
そう考えるとだいぶ高いなあれ
「どうしましょう、ラトニクが買ったのよね?あれ、一応返す予定だったはずよね?」
「まあ、壊れちまったもんはしかたねえ、奴らが持っていた車で帰ろうぜ」
ニックスがそう言って適当な車の窓ガラスを割って中から鍵を開けて乗り込んだ、とてもワイルドな施錠方法だ、ト〇バーじゃないんだから
そうして俺たちはターゲットを布で包みトランクに乗せ気味の悪い廃墟だらけのこの地区から去った
依頼主がいるバーへと入り護衛が待ってましたと言わんばかりにプライベートルームへと案内する
「ラトニク、例のブツだ」
「ああ、確かに受け取った」
「報酬は?」
「後日医者に渡してちゃんと摘出できたら約束分渡す」
淡々と話が続いていく
「それと、、お前が用意してくれた車なんだが、、」
「壊したのか?」
「ああ、すまん」
「問題ない、廃車寸前の車だ、むしろ処理代が浮いてラッキーだ」
結果としては初の大仕事は大成功だった、なにより全員無事だ、それだけで成功と言ってもいい
その後皆と飲もうとバーのカウンターへ行った。生前では打ち上げの類は嫌っていたが今なら皆が行きたがる気持ちが分かる、はっちゃけたいのだ、酒を飲んで嫌な事を分かち合いながら忘れて、最も俺は未成年なので飲んだのはお茶だった
もちろんお酒を飲みたい気持ちはあるのだが、どうしても生前お父さんからもらったノンアルビールを飲んだ時を思い出すのだ、とても苦い麦ジュースの味を
「かんぱーい!!」
ニックスがそう言って全員がグラスを叩き、一気に飲む
「っおっえーー!」
なんだこのお茶、とても苦い、コーヒーの比じゃない苦さだ!
ジェリーが笑う
「へっへー!未成年だからって遠慮した結果だ!」
「おい、お前罰ゲーム用の飲ませたのかよ」
「ひっでえなおい!」
そうして皆で談笑し笑い合い成功を祝ったのだ