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6話 初仕事2

「ふざけないで、契約は先払いだったはずよ、ラトニクの顔に泥を塗るの?」

「そういうことじゃねえ、だから手ぶらはおかしいだろう?手間賃をくれよぉ、ちゃんと誠意ってもんを見せてくれりゃ俺たちは何も言わねえからよ」


緊張が走る、リオンの怒った声、男の嘲笑するような声、さっきの犬の鳴き声が建物全体を伝い、どんどんヒートアップしていく

護衛の奴らも最初は気味の悪い笑みを浮かべていたが、だんだんと無表情でこちらを見つめていた。獲物を狩る時の顔だ


「よく見るとお前、かわいいなあ、、この組織は男臭くてよお、丁度暇していたんだ、、、」


男がリオンに近づいていく


「気持ち悪い、これ以上近づくなら頭に穴が空くわよ」


男は足を止めて今まで以上にあざ笑うように言った


「おめえ本気か?そんなちっぽけなガキ連れてきて、2人でここのメンバーを全滅させれるって思ってるのか?」


男たちが銃を抜いた、嘘だろ、やるつもりなのか?ああもう、さっきから手が震えて心臓が鳴りっぱなしだ、戦闘になってもまともに撃ちあえる自信が無い


「おい、あのガキもビビッてさっきから小鹿みてえにプルプル震えてるじゃねえか!」


男がこっちを指さして煽ってきた、しかし俺に返す余裕当然ない、そんな中リオンがため息をつきながら金を渡した


「ふん、これで十分かしら」

「おお!なんだよ、あるなら最初から払えば良かったのによ!」

「そんなことしたらあんたたち舐めてくるでしょ」

「まあな、分ってるじゃねえか」

「ナオト!乗って!行くわよ」


え、金払っちゃっていいの?それも見るとそれなりに厚さのある札束だった、まあいい彼女の言った通り俺はついていくだけだ、そう思って助手席に乗ろうとした時リオンが強張った表情で言った


「あんた、運転できるって言ったじゃない」

「え?」

「いいからっ!早く運転席にのりなさい」


言われたがまま俺は運転席に乗ってハンドルを握る、初めての車の運転だ、俺はカギを回してエンジンを吹かす、レバーへと目をやるとMTだった、ATのRだのPだのは分からなかったので慣れないとはいえわかりやすいこっちの方がいい、思わず声が漏れた


「よかったあ」

「まだ油断しちゃだめよ」

「そうだね、ごめん」


俺はシートベルトを締め1速へ入れアクセルを踏んだ

まだ慣れてないためかカーブは怪しかったが一応運転に問題は無かった。


「ナオト、スピードを上げて」

「え?久ぶりで運転が不安だからゆっくり行きた、、」

「あいつらに払ったのは偽札よ、そろそろ感づかれて追手が来てもおかしくないわ」


は?まじかよ、どうりてあれだけの金を惜しげもなく払うわけだ、


「あいつらは基本追うときはバイクを使う、下道だと不利だから高速へ逃げて」

「わかった」


俺は言われた通り高速へ車を走らせる、スピード軽の針が一気に進む、アドレナリン上がってくぅ!

そんな俺が気持ちよくなってるとき邪魔が入った


「わ、渋滞だ」

「そういえば今って帰省ラッシュだったわね、ついてないわ」


お前のせいじゃねえか!と言えるくらいの度胸は俺に無いため、怒りは心にそっとしまっといた

退屈な渋滞の最後尾でちょびちょび走ってたら恐れていたことが起きた。

ブルンと環境に悪そうな煙をマフラーから出し不協和音を奏でるバイクが3台来たのだ、あのマーク、どう見たってさっきの追ってだ


「やばいあいつらよ、このままだと追いつかれるわね」


なんでそんな冷静なんだ、どうする、このままだと死ぬ、、考えを巡らせるんだ、周りの状況を見て、、ハッ!

俺は気づいた、帰省ラッシュ、なら反対車線は!

そう考え俺はふと目をやるとやはりガラガラだったあれならスピードを出せる、何もまっすぐ帰らなくたっていいのだ


「ねえナオト、どうする?」

「掴まって!!」

「えっ?」


丁度ガードレールが切れている場所だったので俺はUターンをしてアクセルを思いっきり踏んだ


ブーーーーー


「ナオト危ない!」

「クソっ!」


俺は慌てて車線を変えて後ろから来た車を避ける


「おい!コラ!マテやコラ!」

「逃げるな!卑怯者!」


バイクも俺たちについてきて車線を変更をしUターンをする、しかし一台が失敗しその場に転げ落ち、無残にもトラックが奴をバイクごとひき潰した


「コラァ!仲間の敵討ちだあ!」


そういって2台のバイクは追いかけてくる

あれだけ煽る割に銃撃ったりとかしないのか

考えている余裕はない、俺は3速へ入れ思いっきりアクセルを踏む、逃げる事だけを考え、前の車を避けながら車を走らせる。


どれくらい走っただろう、高層ビルが見えなくなるくらいには走った。追ってもいつの間にか消えていた


「ふう、もう大丈夫かな」

「ええ、2時間もお疲れ様、下道にいってご飯でも食べましょ」

「ああ」


そういって高速を降りた、そしてびっくりした

かなりの田舎まで来てしまったのだ、一面に広がる小麦畑!

窓を開け外の澄んだ空気を鼻いっぱい吸ったときなんかは幸せの絶頂だ、なんて素晴らしいんだろう


「今日はどうする?どこかで泊まる?」

「ダメよ今日中に帰りましょ、こんな装甲車を路上で置くなんて盗んでくださいと言ってるようなもんよ」


どうやらこの後もコキ使われるらしい


「にしても良かったわ、」

「なにが」

「反対車線に行くってあの判断よ、とっさの判断が求められるからね」

「ありがとう」


初めて褒められた、それだけで今回の仕事には意味があったのだと思う

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