4話 本物の銃
高層ビル群のちょうどど真ん中にあるとある一つのビル
彼女が言ってたホテルの住所はここだ
「本当にこんなとこで合ってるのか?」
半信半疑でビルの一階へと入る
家一軒分くらいありそうな太い柱、5つ並んだエレベーター、床はお世辞にも綺麗とは言えず壁には落書きがある
1階は大勢の人で溢れており、いくつか露店も建っている
「ええっと、このビルの17階か」
9人くらい乗っているエレベーターに乗りボタンを押す
あのヤブ医者の建物とは違いこっちはボタン一つで届けてくれる優れモノだ
エレベーターから降りたら受付の人が話しかけてきた
「あ、もしかしてリオンさんが言ってた、珍しい面白い顔してるって人ってもしかして貴方ですか?」
もうちょっと包み隠さんのかね
「まあ、はい多分そうです」
「話は聞いてます、6号室はこの道の奥です」
「わかりました、ありがとうございます」
俺はドアに着きカギを回して部屋に入って驚いた。
少し汚いし埃っぽい、清掃後かは知らんけどこれは酷いな、どうりていつもガラガラなわけだ
机の上に案内の紙があった
‘‘水道供給はありません、トイレは共用、シャワーは19階にございます。‘‘
正気か?まじかよ、まあタダで住めればと考えれば文句はいうまい今日はもう寝よう
翌日、ビルの一階に彼女は居た
「あら、よく眠れた?」
「はい、おかげさまで」
「昨日の事忘れたの?敬語禁止!」
「あ、ごめん忘れてた」
「おいで」
彼女は階段を下りて手招きしてきた
今から仲間に俺を紹介するらしい、犯罪組織のお仲間は、すごく緊張するな、
着いたのは港の倉庫、ここが拠点らしい
彼女がドアをノックしたらすぐにドアスコープから男の声がした
「誰だおめえ」
「リオンよ」
「合言葉を言いな」
「そんなもんないでしょ、いいから開けて」
「なんだよ、おもんねえ女だな」
リオンはダルそうにやり取りをし倉庫の中へと入ってった
中に入ると3人の人が居た、その中でも大柄の男が言った
「よお、そいつがお前が拾ってきた奴か、なんというかそいつ、、」
大柄の男の言葉を遮って門番をしていた男が言った
「ひょろがりだな、そんなあそこの毛すら生えて無さそうなガキ連れてきてどうする?」
ひでえ言い様だ、これでも16なんだけどな。まあ挨拶しよう
「初めまして、ナオトです。これからお世話になります!」
「おい、リオン!こんなふざけた挨拶を教えたのか!」
門番がそう言った後、大柄の男が門番の頭を叩いて言った
「お前も大概だろ、初対面で『新大陸で鍛えた俺の腕だ』って言って銃を抜いて3発撃って綺麗に外したのはどこの誰だ」
「だから何度も言ってるだろ!そこで殺しちまったら俺の腕を見せれねえじゃねえか!」、、、
二人が仲よさそうに言い合いをしてる横でもう一人黙っていた女の人が言った
「こんな奴らだけど悪い奴らじゃないんだ、仲良くしてくれ」
「はい、普段もここにいるんですか?」
「まあね、仕事以外は本当に暇だから、自己紹介はまだね、私はリウィア、あのデカいのがニックス、小さいのがジェリーよ」
「私はナオトです。組織の方はこれ以外の人もいるんですか?」
リヴィアさんは笑って答えた
「組織なんて、そんなマフィアでもギャングでもないんだからこれで全員だよ」
「そうなんですね、」
リオンが男二人を割って言った
「ニックスなんか仕事ってある?」
「何もないぜ、そうだ、暇だしお前のガキを鍛えてやるよ」
ニックスは俺を指さしてそう言った
「は、はい!お願いします」
だいぶ急だが、俺はニックスに銃の使い方を教わることになった
射撃場へと行き、出てきた的を撃つシンプルな奴だ
「こいつは1211だ、使ったことあるか?」
「いえ、銃自体撃ったことないです」
「んえ、銃を使ったことないなんてとんだ田舎者だな」
ええ、まあおそらく都市部は治安が悪いから銃が無いと生きていけないってことなんだろうな。
「まあ、見てな俺が手本を見せてやる」
そういうと彼は銃をホルスターに入れた
ピーという開始音と共に勢いよく銃を抜き手際よく的を撃っていく
10発打ち切ったところでクルクルと銃を回してカッコつけて戻した
「どうだ?いかしてるだろ?」
「は、はい!かっこよかったです、西部劇みたいで」
「は?なんだそれ」
おっとまずい、伝わらないか、カウンターの方からと機械音がした後音声が流れた
「命中6発、10点命中は0」
あれ、意外と外してる?
「ま、まあまあの結果だな、俺はショットガンが愛銃だからこれくらいでも問題はねえ、さ、さあ、お前の番だ!」
彼は早口でそう言った、焦ってるな
ニックスは俺にピストルを渡して背中を押した、痛っ!力つよっ!
俺は受け取ったピストルを片手で構えて的に対して撃つ、
バーーン!
銃口から硝煙が出て火薬が燃えた匂いが鼻に来る。
FPSはそれなりにやってたしエイムには自信があったのだがこれ、反動ってこんなにデカいのか
「銃は両手で持て!反動で顔がやられちまうし、狙いがぶれる!」
言われた通り持ち直し的を撃っていく
大きな発砲音で耳鳴りがする。ゲームとリアルじゃ違うな
命中3発、我ながら頑張った方だが結果は散々だ
「ほぉ、初めてにしてはなかなかじゃねえか、銃と相性がいいインプラントは沢山あるが最後にモノを言うのは技だ、5発命中がそれなりに出るまで練習してな」
そういってニックスは弾を大量に持ってきて店を出て行った
もっとコツとか聞きたかったんだけどな、
俺は最終的に6、7発は出せるくらいにはなった。
まあこれだけのスコアを出せれば問題ないだろう、もう夜だ帰ろう
バーン!
帰ってる途中突然大きな銃声がした
撃ち合いだ、交差点のど真ん中で戦闘をしている。
こういう時、直ぐに逃げるべきなのだろうが俺はどうしても気になって戦闘を見ることにした。ちょうどその場が坂になっていて俺は物陰に隠れて顔だけだして上から戦闘を千里眼で覗いた。
どうやら警察と赤に黄色い小麦のマークが描かれたを旗掲げている組織がドンパチしていた。銃声の合間に「革命万歳!」や「国家の犬を倒せ」と叫んでいるのが聞こえる。
前リオンがこの国は不況って言ってたし恐らく赤旗の奴らは共産主義者だろう、この世界にも政治闘争があるのかよ
その戦闘は凄まじいものだった、銃弾と手榴弾飛び合い、恐らく何人かは死んでいる。こっちまで心臓がバクバク鳴りっぱなしだ。
そんな中突然大きな音が聞こえた
「グッオオオオォォォッッッ、、、」
地面にまで響く大きい重低音だ、
それは何かの怪獣とはまた違う本能を根本的に恐れさせるような鳴き声だった。
ふと共産主義者サイドへ目をやると彼らの顔が真っ青になっていた。
逃げるわけでも戦う訳でも無く皆その場で伏せて手を頭に置いている。降参のポーズだ。
警察側も歩道に寄り車道を開けていた、そして「奴」は現れた
4本の脚、2本の太い腕、装甲で覆われたデカイロボットだ、しかもそれが4台もきている
凄くカッコイイ、この世界はああいうのもあるのか、いつか乗ってみたいな
そんなことを考えているうちにそのロボットは「処刑」を開始した
ダダダダダダダダダッ
腕から特徴的な音をしたガトリングを発射して共産主義者共に弾丸の雨を降らせていた。
辺り一帯が血塗れになり、バリゲートや車もズタズタになっており、人は見るも無残な姿に変わり果てており、辺り一面に飛び散った血だけが彼らが確かに居た証拠となった。
やがて銃声もやみ、1番前にいたロボットの上から1人の男が体を出し白と赤の旗を取り出しそれらを上下に振っていた
そしてロボット4体は180度回れ右をして来た道を帰っていき、警察も捜査に取り掛かっていた。
俺は吐いた、ここまで酷い有様を見たのは初めてだ。いくら危険な組織だったとしても降伏していた人たちに制裁を下す様はどうも慣れない
人が殺される場面はなにも初めてではないが慣れるもんじゃない、銃声がしたとき時おとなしく逃げとくんだったな
俺は重い足取りでホテルへと戻った