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New Eternity Online -PSだけで往く新世界-  作者: Amane Rinne
古代の枷は楽園を衛り、抑えられた羽根は再び拓いた
78/79

#75 囚世:乖離虚域 part19

短いし中途半端だけどあげるわ


 溢れ出る光の奔流が、幻象を貫く。

 高さ40m、全長60mを誇る超巨大な身体の大半が削り取られる程、圧倒的な光量と攻撃範囲の砲撃。

 

 しかも広域の光であるにも関わらず、圧縮を重ね殺傷能力が高まったものであり、容易く目標とその直線上の全てを消し飛ばした。

 

 恐るべき体力を持ち合わせる幻象も、流石に光砲には耐えることが出来なかったらしく、完全に消滅することとなる。むしろ、よく耐えた方だろう。

 

 そんな力の奔流の反作用は巨大であり、落下のスピードを全て打ち消し、跳ね飛ばされた俺は壁の上へと着地。手から離れたシュヴィは、壁際に退避していたシーアの元へと転がる。

 

「キルスコア獲得ゥ!!」

 

「はは、えげつないねお前。なんだよアレ?」

 

 壁に斧を突き刺し、引っ掛けるようにしながら壁を滑り降りる。


 ピコン♪


 おっ、通知音。そしてスキル獲得と………壁滑り───そのままだな。

 

「俺にもよく分からん。そして分かってもまだ教えねぇ」

 

「ちぇー、ケチくさいよU。死んだと思ったのに」

 

「うっせ」

 

 軽口を叩きながらも、見据えるのは幻龍の方向。

 2対1となり、対龍の手札とあるこの状況、俺らが圧倒的有利なのは間違いないだろう。

 

 地面に落ちていたシュヴィを──────

 

「あ!!それが言ってた銃ってやつか!いいな!?ちょっと触らしてくれ〜頼む!後生!」

 

 あ、厄介なオタクになってる人いる。

 まぁまぁ、こんな超強力有能武器が心底羨ましいのだろう?分かるぜその気持ち!残念だったなその銃は俺ンだ。

 

「まぁちょっと見るくらいならいいぜ」

 

 だが、オタクくんが少し哀れなので貸すくらいはしてやろう。小声でシュヴィを喋らないように咎めておき、ほいと投げて渡す。

 

「おお!いいな、重厚でしっかり重くて機能美が───」

 

「まぁお前はそこで愛でてろや。その間に俺が幻龍をリストラさせてくるわ」

 

 気合いを入れて、肩を回す。元気十分、HPは未だ残っている。武器は深斧、スキルも大半がクールタイムを終えた。

 

 準備は良し。あとは覚悟を決めるだけ!よぉしと意気込み、1歩を踏み出す。

 

 

 

 























 

 






 

 












 瞬間、体が爆散した。

 

 〘称号【事故発生】を獲得しました〙

 

 ==========================================



 【Player Dead】



 リスポーンしますか?


  『Yes/No』



 ==========================================

 

「───は?」

 

 ◆

 

 

「Uが、死んだ?」


 テーブル上にてシステムが、1つの矢印の消失を告げる。

 最もレベルが低いものの、一番生存力が高い(しぶとい)という認識が、その死の衝撃を膨らませる。Lilyに驚きの感情を浮かべさせる。


「ふふ、幻獣は一体減りましたが貴方のところの主力も潰えた様ですね」

 

「なに、余裕そうね。それに一体じゃなくて二体でしょう?」

 

 冷静に返すLilyだが、心の中の焦りを聖女は見抜いている。


 そもそもLilyは最初から、幻獣をプレイヤー一人が倒せるとは考えて居なかった。

 

 だからこそ、最もPSが高いシーアとUを同じギミックに集め、2人で相手をさせた。だからこそ、大きな対価を支払ってまでAliceを補助した。補助するのに邪魔な窓もわざわざ対物砲によって破壊した。

 

 これまでのデータ収集によって幻獣の強さの序列を理解していたからこそ彼女は、幻龍に2人を充てたのだ。

 

 だがその状況も覆り、幻龍対シーアの1on1という形。

 形勢が一転二転し、結末が分からない。しかしひとつ確かなのは、再び形勢が悪くなったということ。必要なのは持ち直しだ。


(まだ、まだよ。大丈夫───)

 

「まだ大丈夫と思っているのでしょうが」

 

「───」

 

 Lilyが保ってきた冷静さという仮面が崩れる。心の中を言い当てられたことで驚愕が表情に出る。

 

「最悪なのは、ここからですよ。勿論貴方にとってですが」

 

 

 

 ◆

 

 

「こっからどうしよっかな、君たちなにかいい案だして」

 

 

 夏帆:街を探索してほしいです

 みろろろろ:神殿見るべき世界観とかもっと分かりそう

 コトネ:鏖殺鏖殺!サーチアンドデストロイや!!

 

「こいつら意見に纏まりがないわね……」



 ギミックをクリアし、崩壊した乖離虚域が消滅した。アリスは今、Lilyとシーアと同じフィールドに立ち尽くしている。各所では激しい戦いが繰り広げられている所ではあるが、それを彼女が知る由もなく。

 

 一旦目標をクリア、よく分からないまま幻鳥も消え去った今、彼女は暇なのだ。

 

「うーん、どうしましょ」

 

 迷っている表情。だが、案ずることは無い。






 理不尽は向こうから訪れてくると相場が決まっている。

 

 

『──────Pyooyoyo』

 

「───は?」

 

 尊:は?

 Kanon:え?は?なんで

 Jake102:は?

 

 

 残った火種が燃え盛り、響き渡るは焔鳥の鳴き声。

 背後を振り返れば感じるのは煌々と光る炎、その熱量が肌を焼く。

 

 伝説であるのだ。

 その鳥は、最後の火種の一抹が潰えるまで死ぬことは無い。

「不死」と呼ばれるその性質が、その理不尽をフィールドどに再び降臨させる。

 

 反射的に短剣を構えるアリス。手持ちの精霊は殆ど消耗し、効力の強いスキルはCTの最中。最初から薄かった勝ち目が、これにて消え去る。

 

 

 AliceVS幻鳥。


 延長戦、開始。

 

 

 



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[良い点] オワタw メンヘラ二人ほっぽって死ぬなんてカオスが待ってるぞ
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