#54 後光を湛えし守護者
バトルシーン
短
3話くらいに分けようかと
『聖母に捧げる大聖堂には、掃除や祈祷を行う光の聖女が存在する。囚われた空間内で永久を彷徨う彼女は、元々は彼の大切な妻。そんな彼女を護る為、騎士として大聖堂の守護者になった彼は──────完全な別離の後も過去に縋るようにそこを現在も護り続けている。そして彼は、未だ光を追い続けているのだ。(追憶の聖典 前章より)(外歴194年発行)』
◇
「つまり──────光がある場所に行けばいいのかな?」
『キルスコアを稼ぐのも、ですね。どうやら騎士はここの防衛機構として存在しているらしいので。』
何故か知っていたシュヴィの提言により、暗いこのエリアで「光」を探すことになった。
なんというか、抽象的ではあるが言わんとしていることは分かる。
このエリアを覆う曇天の、割れ目から出ている光の元へ行けばいいのだろう。
幸い空を見ると、一筋の光が向かう先がとても分かりやすい。
そして光の先へ向かい、歩くこと数分。
「うっわ。なんだこれ神々しいな」
雲間から覗く光が差す場所には、大剣を地面に突き刺して微動だにしない騎士がいた。
大きさはおよそ2.5mで全身がスラッとしたプレートアーマーで覆われている。顔には仮面のような兜を被り、背中にはマントをたなびかせたその姿は、構えているからこその威圧感がある。
そして何よりの特徴なのが、騎士の背後にある光の輪。その近くに浮かぶ3対6枚の羽がその神々しさを際立たせていた。
「──────強そうだな、楽しめること間違いなし!」
怯むことは無い。神々しいのがなんだ、こちとら神の叛逆者やってるんでね!背信行為はお手の物なんだよ。
我の行いに一切の曇なし!ってな。このエリアは曇りまくりだけどな!あははははは。
「……よし行こう。あ、ヘラはまだ眠いだろうから待っててな」
「はーい」
スタスタと歩いていく。
そうして距離が10m程になると───ゆっくりと動き出した。
『【追憶の騎士】に感知されました。規定値以上のキルスコアを確認、戦闘を開始します。』
大剣を地面から引き抜き構える騎士。持ち上げられた大剣は、模様を一巡して光を放った。
睨み合いの時間が始まる。
─────────!!
まず最初に仕掛けたのは俺。
斧を投擲し、それを騎士が大剣で弾いた瞬間に接近する。
「横ォ!!!」
アクセルストライクを発動し、首を目掛けて破鉄を撃ち込む。が、しゃがんで避けられた。
空中の俺に向かって大剣の振り上げ。それを俺は兜を足場に離脱する。
うーむ、意外と軽快な動き。
すかさず行われる追撃の連続。重そうな大剣をいとも容易くぶん回している。
ステータスの差だろうか、騎士の攻撃はあまりにも重いのでなかなかパリィが出来ない。受け流して精一杯だ。
「有効打がッ、入らん!」
隙をついて攻撃をしようとも、どうしても上手く決まらない。というか、下手に攻め込めば体が一刀両断されること間違いなしだから踏み込みにくい。やりにくい!
攻撃を避け続けて上手く隙を見つけろ。
右から来る横薙ぎをしゃがんで回避しながら接近、掴みモーションが発生した右手をパリィ、
「──────ッここだァ!!」
若干の隙!!【天ノ叛逆】からのッ、なんちゃって寸勁!!!
バゴッという音と共に腹部にクリーンヒット、騎士が吹き飛ぶ。好機!ここで畳み掛ける!!
地面に倒れ込んだ騎士。直ぐに起き上がろうとしているが、させん!
破鉄を頭目掛けて投擲し、行動を抑制。そしてェ、【跳躍】からの蹴りィ!!!
────────────ギィィィン!!!
クソ、大剣で直撃を防がれた。だが、数メートル吹き飛んだから正味誤差!ダメ狙いじゃないからなッ!
強化された脚力と『スプリントダッシュ』を併用して接近!!迎え撃とうとする騎士の上段振り下ろしを『サイドスライド』で回避ィ!!!
スキルによって回り込んだ俺は今死角。
「沈めやコラァ!」
脚力強化による強制膝カックンが炸裂。ブリッチの時間じゃあ!!
そして鋼鉄の小鬼長斧に持ち替えてェ、腹部目掛けてスマァァァッッシュ!!!!
─────────バリィィィン
ちょくちょくかさんでいたダメージと寸勁とスマッシュによって、腹部のプレートの破壊に成功する。
フハハハハ、このまま──────ッ!?
「【光ヨ】」
今まで無言を貫いていた騎士が一言。唐突に動き出した背中の羽によって吹き飛ばされる。
「ガッ───くそっ、第2形態ってか!?」
幸い、吹き飛ばされた地点にさっき投げた斧があったので回収しておく。
アーマーが割れた腹部からは漆黒の何かが見え、先程まではただ動きに沿って揺れるだけだった羽が自立して動き出した。
2度目の見合う時間が始まる。
………………………?なんだ?
1番最初の状態のように、大剣を地面に突き刺した騎士。
それと同時に背中の輪が上へ上がって、横向きになって騎士に収まった。そして、6つの羽が剣の形になって──────飛んできた。
「うおっ!?」
まずは一本目、驚きながらも焦らずに破鉄で打ち払う。
そして次々と到来する2、3、4本目の光の剣を横に飛んで避け、5本目を正面から一刀両断。
6本目を寸のところで回避、そして7本目を斧を投擲して消し去る。
「は!?7本目!?」
無限生成かよ!──────いや、輪の幅がすり減ってる!?時間耐久系か!
別のVRモノ書いてたら楽しくなって一日で6話くらい書いた。
1話1話短いけど
騎士のイメージとしては、ゲートガーディアンとオルドビス混ぜた感じ




