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New Eternity Online -PSだけで往く新世界-  作者: Amane Rinne
古代の枷は楽園を衛り、抑えられた羽根は再び拓いた
50/79

#47 戦い狂う移動中Assault

祝50話!!意外と続いてるっすね


これからも拙作の応援お頼み申す

 

 エリアボス戦が終了したものの、すぐ街に着くという訳では無い。

 

 ワイバーンを叩き落としたあと俺たちは、【蒼翠の森林】から続く一直線の渓谷の道をただただ歩いていた。

 

「なんもねぇなぁ」

 

 何も無い。ただただ渓谷が続き、そこを真っ直ぐ歩くだけ。今までエンカウントしたモンスターは2、3匹程度なのに、既に30分は歩いている。心を無にする修行かな?こんなんじゃ無になんねぇけどな。もっと辛い作業ゲー持ってこいよ。

 

 そうだ、歩いていて暇だし、今のうちに終深喰の詳細を見ようではないか。

 

「ヘラ、ちょっとそのキモイ刀かして」

 

「?はい」

 

 急になんだという顔をしながらも終深喰を手渡される。そしてウィンドウを操作し武器詳細を開示。

 

 ==========================================

 

 アイテム:【終深喰(ツイシンショク)

 

 効果:対深耐性付与、対深特効、形状変化、不明

 

 備考:少しよく分からない刀。永久帰属型。

 

 ==========================================

 

 おお、やはりなんか増えているな。少しよく分からんが。多分ステータス低下を無効化してたのは対深耐性付与って効果だろう。

 

 別に大して分かったこともないが、どうやら形状変化が出来るらしい。これは良いな。変えられる範囲にもよるけど、上手くやれば悪用出来るぞ。

 

「はいヘラ、ありがとよ」

 

「んーん、もともと私が借りてるからね」

 

「そうだ、その刀、形変えられるらしい。なんか試してみたら?」 

 

 だがまぁ使うのは俺では無い。彼女がどこまで有効活用できるかは分からないが、とりあえずは放っておこうか。

 

『マスター、街が見えてきました』

 

「お?マジ?サンキュー望遠鏡」

 

『望遠鏡じゃありません』

 

 どうやら俺の描写距離以上に先が見えるらしいシュヴィが街の存在を教えてくれる。俺のVR機器は企業用じゃないからある程度スペックの制限があるんだよな。

 まぁそんなにこだわりないからいいんだが。

 

『それとマスター、接敵です』

 

「お!マジか!暇潰しの時間だな」

 

 それと同時に接敵が報告される。単調な道に飽き飽きしていた俺には福音かつ朗報。血湧き肉躍る戦闘の始まり……とは行かなくとも少なくとも歩行作業に変化が出るのだから。

 

 が、しかし俺が接敵していたのは普通の敵ではなかった。というのは、渓谷の地理的な特徴が上手く彼らに合致していたからだろう。

 

 一本道で逃げ道はなし、通るプレイヤーは低レベルな初心者、ボスドロップ持ちと言われれば、まぁたしかにと頷かざるを得ない。

 

「よぉニイちゃんと坊主。ちょっと俺らとオハナシしねぇかァ?」

 

 薄笑いを顔に張りつけながら出現した3人の男。プレイヤーネームは血のように赤く染っていて、下卑た態度で話しかけてくる。PK(プレイヤーキル)というプレイスタイルでゲームを行う者たちだろう。

 

「いいぜ、オハナシ。俺もオハナシ大好きだよ」

 

 ニコォ、と笑みを浮かべる。なんだかんだNEO初めての対人戦となるだろうか、思いもよらぬ暇潰しが出現したことに気分が高揚する。

 

 なんだかんだ最近対人戦モノのゲームやってなかったなと思いながら武器を装備。フロスカはPvE系だし、その前やっていたゲームもRPGメインで、PvPはずっと前にやっていた格ゲーを辞めてからはやっていない。ちなみにRPGのやつの名前は「ヒーローズクエストⅡ」というのだが、バグり散らかしているかと思ったら実は仕様だったっていうトラウマシリーズの続編である。今作はなんとゲームクラッシュが仕様だった。なんだよそれ。

 

「王道なゲームもの的な名前をしたシリーズが実はクッソイロモノゲーだった心の痛みを20文字で述べよ。」

 

「は?何言ってんだ?」

 

 おっと、心の苦悩が漏れてしまったようだ。そんなことは忘れて目前の快楽を楽しもうでは無いかワハハハハ。

 

「それで?何が目的?まぁ検討はつくけどさ」

 

「なァに簡単なことだ。金1000モネと装備と武器を1つずつを寄越しやがれ。そしたら見逃してやるよ」

 

「取ってる時点で見逃してないんだよなぁ……」

 

 まぁいい、こんなヤツらなら心置き無くブチコロ出来るだろう。ブチコロブチコロ。

 

「あー、じゃあ俺も武器1つ貰うってのはどう?物々交換はコミュニティの基本よ」

 

 

 怯えたような顔をして、最大限の譲歩を振る。もともと俺はサラサラそんな気はないし、なんなら今すぐにでも飛びかかっても良いのだが、一応体裁を整えておこうということで。ちゃんと譲歩し、出来るだけ平和的解決を望む姿勢を見せることで過剰防衛に対する言い訳を用意するのだ。

 

 戦闘狂(バトルジャンキー)と思われるのは心外なのでな……。

 

「ちょっと今の状況が分かってねぇみてぇだから教えてやっよ。おめぇは今追い剥ぎに会ってんだよ!!命が惜しいならとっとと置くもの置いて消えろォ!!!」

 

 某猿系主人公みたいな口調で定番の脅し文句を吐くPKer三人衆。

 

「ひぇぇ、怖いめぅ。逃がしてケロ」

 

 怖がるふりをする。これで俺は完全な被害者だ。そろそろブチコロの時間にするか。

 

「おめぇ、おちょくってんのか!?おいおめぇら、かかれっ!!」

 

 真ん中のPKerがそう号令をかける。武器を取りだした横2人がニタつきながら近づいてくるのを見ると、こう……胸に来るものがあるな。こいつら三下ムーブが板につきすぎなんだわ。

 

 まぁ、そんなことは置いといて…………よぉし、襲われたんなら仕方ねェや!正当防衛だね!

 

「武器をもう1つ、サービスでお送り致します」

 

「何を言って───ぶげっ!?」

 

 両手の斧を投擲し、横のふたりを牽制する。そのうち1つは顔面に命中し、HPが大幅に削れている。

 

「ヘラ、1人あげる」

 

「了解!!」

 

 HPが削れたやつはヘラに任せてしまおう。

 両手が空いたのでインベントリから三本目の斧を取り出す。

 

  ==========================================

 

 アイテム:【鋼鉄の小鬼長斧】

 

 効果:装備STR上昇、耐久値減少率大

 

 備考:単純な構造で、最もスタンダードに近い斧。しかし、流通の過程でゴブリンによる改造が数回行われているため強度が低下している。

 

  ========================================== 

 

 長いリーチかつ高い攻撃力。耐久値が低いことがネックで今まで温存してきたが、エリクサー的なポジションになっても仕方がないので使うことにする。

 

 相手3人の獲物は、左から弓、盾、長剣となっている。長剣は斧に被弾し若干出遅れているので、まずはセオリー通り遠距離攻撃から潰していこうか!

 

「『スプリントダッシュ』!!」 

  

 ワイバーン戦終了後に獲得したスキルを発動。直線的な短距離を移動する時に補正がつき、弓使いの前に高速で移動する。有効距離は5mくらいだが、近接戦闘(インファイト)で重宝出来そうな優良スキルだ。

 

「っ!?『カバープロテクト』!!」

 

 急接近に焦り、盾をかまえスキルを使用する男。どうやら名前を聞くと、いま弓を攻撃してもダメージは入らなそうだと察しがつく。というか俺は、そもそも攻撃をしていない(・・・・・・・・)。急接近とはいえ、反応するくらいの時間はあるならスキルが発動できるだろうし、事実守るスキルを発動した。俺はそれを最初から予想し攻撃に遅れ(ディレイ)を入れたのだ。

 

「よいっ……しょォ!!!」

 

 スキルエフェクトが消えるのに合わせ、盾の側面に横薙ぎを入れる。カァン!という音ともにパリィ判定が発生し、結構重量がありそうな盾に引っ張られ男も吹き飛ぶ。

 

「『差乱れ撃ち』!」

 

 スキル発動中の盾役が稼いだ時間で離れていた弓からの連射攻撃が到来する。空気を切り裂きながら到来する多数の矢をくぐり抜け、弾き、避けながらも近づいていく。どうやら弓に連射機構がついているらしく、20本くらいの矢が連射されたものの、あまり精度が良いとは言えないためノーダメージで目の前へ肉薄する。

 

「『アクセルスラッシュ』ゥ!!」

 

「くそっ、『スイッチパリィ』!!」

 

 斧を振りかぶり水平にスキルを発動し、体を真っ二つにしようと思ったのだが、復帰した盾がスキルを発動したらしく、弓と盾の位置交換が行われていた。目の前に、体に矢が刺さった盾役が現れる。巻き添えになってたのか。

 

 アクセルスラッシュを発動したものの、盾によるパリィが決まり攻撃が無効化された。こいつら、ただの三下かと思ったけどめちゃくちゃ連携とりやがる……。

 

「は!?マジかよ、クソバケモンじゃねぇかッ!!」

 

 しかし驚愕の声を上げたのは俺ではなく盾役の方だった。

 

 攻撃は無効化された───が、それで終わる俺では無い。スキル名を聞いた瞬間にスキル効果の可能性を全て考察し、そして大体の効果に検討をつけた俺はこのスキルへの対抗策を実行したのだ。

 

 後方をチラ見すると、首を長斧に貫かれた男のポリゴンが目に入る。

 

 その対抗策とは、パリィによるベクトル反射をコントロールすること。アクセルスラッシュにより加速した斧をパリィされたので弓野郎を殺すには十分な勢いと攻撃力が乗っていると判断した俺は、パリィされて跳ね返ってくる時にわざと斧から手を離し、盾の場所とスイッチした弓に向かって反射させた。

 

 正直調整はクソムズイが、できないことは無いし成功させたので賭けとしては上々だろう。

 

「こっからは徒手空拳だ、仲良く殴り合いしようぜェ!!」

 

「ッ!狂ってんなクソが!!こっちは防御力偏重だわ!」

 

 狂ってるとは失礼な、俺を引いたお前らのリーダーを批判したまえ。

 

「潰れろ!『バッシュタックル』!」

 

「『跳躍』、『フラッシュリフレクト』!!」

 

 跳躍で脚力強化、フラッシュリフレクトで判定強化を行い、盾を前に構える突撃攻撃をパリィする。こんどは上に跳ね上げられ、腕を取られた盾役の懐へ潜り───

 

「───『飛牙』!!!」

 

 流離人の唯一の体術系ジョブスキル、『飛牙』を発動。喉を穿たれクリティカルが入り、恨めしそうな目をした盾のHPは0になった。

 

 なんだかんだ、吹き飛ばされた時の落下ダメとか俺に対する連射攻撃の巻き添えになったことでHPが減ってたんだな。

 

 さて、こっちは終わったけどヘラはどうかな?

盾くんめっちゃ優秀で草


弓くんも一応上手いです。たぶん


いいね、☆、感想などなど下さると嬉しいです

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― 新着の感想 ―
[一言] パリィの慣性利用えぐ。自分の体の長さとかめっちゃ正確に把握してそう。 50話おめでとうございます! これからも応援してます。
[良い点] やっぱ戦闘シーンがかっこいい作品は良いわ でも個人的には広場の戦闘が一番好き 焼き鳥的なの齧るところがカッコ良過ぎる
[良い点] えっぎぃ [一言] ニイちゃんと坊主…ヘラっておにゃのこじゃ?
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