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New Eternity Online -PSだけで往く新世界-  作者: Amane Rinne
月の神獣は山頂に吼え、深き何かはただソコに
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閑話 Uの居ないボス戦

大した意図はありませんが乗せます。あのサメ、どんな感じのボスか気になるでしょ?


短けーです

 

「あんにゃろー、どこ行きやがったんですかね……!」

 

 ピキピキと青筋を立てながら静かに呟くあきね。理由はとある身勝手なNPCのせいである。

 

「フゥゥゥッッ、スゥッ、ゴホン。えー、皆さん!とりあえず先進みましょうか!」

 

 総プレイ時間は1500時を優に超えたような猛者たち。それほどの時間をかけて積み上げてきた彼らの平均レベルは約160だ。

 

 現在プレイヤーの最高レベルは178で、全プレイヤー平均が60レベル程度なのを考えると相当な数字だろう。

 

 トッププレイヤーに相応しいレベルとプレイヤースキルと経験を兼ね備えた彼らは、バンカー大迷宮の第2層階層(フロア)ボス───【環境制魚:殺滅】に挑もうとしていた。

 

 

 ボス戦が行われるフィールドを発見したレイドメンバーの1人が、ゲーム内グループチャットによって連絡を行うのがレイドの基本。それまでは各自エリア探索を行うことが多い。

 

 このレイドもその慣習に則るはずだったのだが───面倒な例外やろうが面倒な行動に出たために彼女の頭を悩ませていた。

 

 (NPCとして出てきただけでも傍迷惑なのに……)

 

 ──────まさか失踪するなんて

 

 あのやろー、後でシバきますということである。訳分かんねータイミングで入ってきたくせにまた訳の分からないタイミングで所在が分からなくなるとはこれ如何に。ゲーム外部からの連絡も試みたにも関わらずなのだが。

 

 

 

 ◇

 

 

 ボスエリアに入る。

 侵入者の存在を感知したのだろうか、ゆっくりと回遊していた鮫がこちらへ向かって泳いでくる。

 

「ほんとにネオさん置いてっちゃっても良いんすかね……?死んじゃわないか心配っす……」

 

 戦闘態勢に入り、武器を構えたりバフを発動したりしていると後ろから声が聞こえる。

 

 どこか自分と同じ雰囲気を持ちながらも、根っからの善性気質なのであろう忍者の少女がそう問い掛けてくる。

 

「大丈夫ですよー!どうせ死にませんし、あんな人なんて死んでも構いません!!そんなことよりボスに集中お願いしまーす!」

 

「えっ!?あ、はい!了解っす!」

 

 有無を言わせないような雰囲気でそう伝えるが、自分とは違い好感触な彼女は結局気にするだろうなと思いながら鮫へ視線と思考を集中させる。

 

 

 

 

「───来るよッ!」

 

 

 ──────ギギャァアアアアア!!!

 

 鳴くはずのないサメ()の鳴き声がその場に轟いた。

 

 

「『反魔術物理蓄積守護障壁マジックプロテクト』!!」

「『祟リ目ヲ呪エ』!!!」

「構築開始───『土9』」

 

 挨拶のように発動されるスキルや魔術の数々。魔術師系ジョブの「魔導師」によって発動されたデバフを付与する強力な物理バリアと、魔術師系ジョブから派生する「呪術師」のデバフ反転効果を纏いながら前線へ躍り出る男。

 

「魔法剣士」という魔術系と剣士系を同時に育成する必要がある特殊ジョブを持つ彼は、タンクやアタッカーを同時にこなすことが出来る。

 

 サメのターゲットを取り、前線で蝶のように舞う魔法剣士。

 どうにか彼を喰らおうと急加速による猛突進を仕掛けるサメ。

 

「っしゃオラァっ!『属性付与(インストール)』ッ!!『紫切(シギル)』!」

 

 持っていた剣が纏うオーラの色が変わる。燃え盛る焔のようなものから盤石な大地のような雰囲気になり、その大きな牙を受け止めた。

 

 

 ──────ガァン!!!

 

 剣と牙から生まれた衝突音が戦場に響き渡る。STRに物を言わせる競り合いでは分が悪く、多少押されて引き下がる。

 

 が、勝負に負けても何とやら。発動していた雷属性の魔術によりダメージを受けたサメとただ押されただけの魔法剣士。

 

 雷属性由来のスタンを受け停止するサメから、押された勢いを利用し離脱する魔法剣士。

 そしてその隙を突き──────

 

「『土9』!!!」「『セイクリッド金床』!!」

 

 

 予め魔術を準備していた魔法職の猛攻が襲いかかる。お互い、名前をどうにかしろとか思っていたがそんなものは露知らずに追撃するアタッカー達。

 

 

 (これなら余裕かな……)

 

 良いペースでダメージが入っている。未だ序盤だが、集まったトッププレイヤーの実力は本物。そんな有利状況によって勝利を確信したあきねだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ────────────ドォォォォォォン!!!!!

 

 飛来する複数のミサイル。尾の部分を爆発させることで縦横無尽に高速移動するサメ。ヒレに備え付けられた大型ガトリングガン。サメの周りを回遊する小銃を持った魚の群れ。口から見える超巨大大砲からは煙がモクモクと上がっている。

 

 

 結果から言おう。負けた。

 

 

 (サメやろーの癖にメカメカしすぎます…………)

・反魔術物理蓄積守護障壁


魔力関係のステータスを0にする代わりに、そのステにスキルの発動分の魔力の過剰使用パーセンテージ分を掛けた物理関係のステータスが加算される。要するに、魔力を防御力に変換する魔術。自分にも他人にも使えて、魔力ステの低下はデバフ判定となる。


・祟リ目ヲ呪エ


対デバフスキル。他人にしか使えない。デバフを反転させる。例えば、魔術がマイナスになるデバフなら魔術のプラスのバフになる。


・増加相乗


バフの効果を増幅するスキル



↑のコンボは割と有名な連続技で、スキルチェインと呼ばれるテクニックのひとつです。効果の上手く噛み合うスキルを同時に使うことで、イロモノスキルやマイナスのスキルを有効活用できます。



ちなみに魔術の名前についてですが、根本的におなじ魔術があって、プレイヤーはそれの名称を各自設定することが出来ます。だから「ファイアーランス!!」って言いながらシールド開いたり、「回復!」って唱えながら自爆魔法打ったり出来ます。本人の指定次第です。

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― 新着の感想 ―
[一言] あきね「勝ったな」 あきね「ぐえー」 負けフラグ建てるからー(´・ω・`)
[良い点] 勝たせる気なし [一言] ミサイルは浪漫。
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