#31 バンカー大迷宮攻略レイドpart3 再び現れた不可解。
更新です。ちょっとスランプ気味。モチベ不足気味です。
感想などなどくださいませ
バンカー大迷宮で左下隅から入場した時の第1層───初見殺しの罠通路を抜けた先に待ち受けるのは、鉱石や宝石が山肌に露出した鉱山を主とする階層。
そこには主な生態系と同じように、生産者と消費者そして分解者によって食物連鎖が成立していた。
洞窟やら鉱山やら、鉱石や宝石が取れる場所によって構成されているこのバイオームには、通常の生産者である植物などは存在していない。
植物も存在しなければ、それを食べるような野生動物もいないような極限環境に生態系が存在できるのは、ひとえに環境に適応した一握りの種の「食生」とそれを根本的に支える「分解者」の影響が非常に大きい。
そしてその分解者の役割を果たしているのが『錬宝蟻』という生物である。
露出した宝石などを周囲の石ごと喰らい体内で精錬、不純物は排泄物として体外に排出される。精錬された宝石は液体状となって腹部に貯蓄される。
そして生態系ヒエラルキー上位に位置する消費者達は、錬宝蟻を捕食することで生命を維持している。
『鉱喰』と名を持つ種は、実は鉱石をそのまま食べているのではなく、錬宝蟻によって精錬された鉱石や宝石を食べているに過ぎない。
また、錬宝蟻には上位種として捕食者に狙われない(あるいは狙えないほどの強さを持つ)女王種が存在する。
閑話休題
◇
「──────見つかんねぇな〜」
階層を繋ぐ通路への入口を阻む機構は実は2つ存在する。
その内の1つはもちろん、階層ボスである。第2階層へ繋がる道に陣取り、それを無視して進むことは出来ない。
ユウ達の場合は、【鉱喰の狼王】がそれに該当する。そしてそれは既に倒したから良いのだ。
問題は2つ目。階層ゲートと呼ばれるものである。読んで字のごとく階層毎に設定された門で、鍵を見つけださなければならない。
「あっ、こっちありましたー!!!」
そう言って遠くからこちらに宝石の破片を見せてくるあきね。
階層ゲートのための鍵は、フロア内に破片がバラバラに散らばっている。いわゆる「宝探し」だ。ほかのダンジョンもそうで、例外は無い。
4つのピースのうちのやっと3つ目が見つかったか。
フロアボスを倒してから約10分。普通はどれぐらいかかるのかは知らないが、割といいペースなのでは無いか?
そう考えながらも、最後のひとつを探してフロアをぶらつく。探しているのは吸い込まれるように黒い石。
完成系は恐らく正八角形のようなものになるだろうか。
フロアを散歩ついでに探検するような心持ちで当たりを調査する。まだ全然プレイ時間が経過していないから、フレッシュな気分でプレイできるな。
時々遭遇するMOBをいなしながら周囲を歩いていく。
そうして歩くこと数分。
「おっ、ここはまだ見てないか。」
まだ探していない洞窟を発見した。そこはなにか、これまでの洞窟とは違う雰囲気を感じるが………とりあえず入ってみよう。
コツコツ、と自分の足音が反響して聞こえる。歩きながらこの洞窟を観察すると───やはり変だな。ほかの洞窟とは明らかに違う点を多く発見する。
これまで見つけた洞窟には鉱石や宝石の塊などが壁に見えたり、水晶が突き出たりしていたのだが…………
「なんも無いな」
そう、何も無いのだ。
ずっと黒い壁が続き、洞窟内によく居た蟻も居ない。
明らかに異常な洞窟を見つけ、これは当たりか?と思い足を進める。
そうして歩いていくと──────
「───穴?」
行き止まりに突き当たり、そしてその下に大きな穴がぽっかり空いているのに気づく。
中はあまりにも暗くて底は見えない。
どれくらいの深さなのだろうか?
それを測るために、とりあえず終深喰を出して…………ポイっ。
穴の中に放り投げる。
そして待つこと数秒……………反響音が全く聞こえない。ということは、こりゃ相当な深さだな。
──────まぁ気になるわな。
うーん、う〜〜ん、どうしよう、すっごく迷う。
今入って帰って来れなくなったら、あきね達に迷惑がかかってしまう。かと言って、みんなを呼んで入る訳にも行かない。時間と手間的に。
じゃあどうしよう?
やっぱ入ってみるか。
「よっと」
まぁどうせバレてるし、後で連絡すればいいだろ。とそんな軽い気持ちで飛び込む。
幸か不幸か、入れてしまったのだ。
ユウが暗闇に消えた後に、ジジジという音と共に洞窟が埋まっていく。というより埋まっていくように見えている。
この時の彼は知る由もないが、彼が入った洞窟は『光化学迷彩』によって姿を隠していた洞窟であり──────
◇
「────なにこれ。」
俺は今非常に困惑している。
穴に飛び込んで、何が起きるか色々考えていたのだが───まさかのこれは予想外。
宇宙空間のようなところを絶賛浮遊中な俺の感想である。
「───あれは」
身動きが取れず、仕方なく周囲を見渡していると、小さな輪が空間に浮いているのが見える。
特にできることもないので、じっと待っているとだんだん箱が近づいて来る。
そして俺の体に触れた瞬間──────
突如空間が割れ、そこから這い出てきた巨大な蛇に噛み砕かれた。
◇
どういうことだってばよ。
ほかのプレイヤーが最後のひとつのピースを見つけたらしく、完成した鍵を通路に嵌めにいった俺たち。
え?蛇に食われて死んだんじゃないのかって?俺も思ったよ。
でもなんか生きてた。そして気づいたら、洞窟の入口に戻っていたのだ。
いや何?マジで。このゲーム普通に訳が分からない。
QSEからダンジョンの流れはまだいいよ。偶然で片付けられるからね。でも、マジで今のなんなん?コメントしにくいって。
イベントなんだとしても、もっとわかりやすい何かにしてくれ……。
「大丈夫ですか?なんか暗い表情ですけど。」
階層ゲートにたどり着き、ゲートの横の窪みに黒い宝石を嵌め込むと、色々な演出と共にゆっくりゲートが開いていく。
「ええ、ちょっと……ね。」
その待ち時間に不可解な現象の整理をしていたのだが、不可解すぎてどうにも訳が分からない。ロリボのスキンヘッドに心配される始末だ。
なんというか、このゲーム『理解できないナニカに対する畏怖』が世界観の軸にあるっぽいな。ここまでの経験上、超常現象的な何かがことごとく俺の周りに発生している。
「開いたよー!第2階層へHERE WE GO!」
そう知らせるあきねの声を聞き、ゲートの方へ進んでいくが俺の心はモヤモヤしたままだった。
このゲームの目標がようやく決まった気がする。
そうだ。俺はいろいろなイベントの裏にいる、超常現象どもの正体を暴きたい。そしてこの心のモヤモヤを晴らすのだ!
そう決意して、第2階層への歩を進めていった。
結構最初からずっと出てきている、「AIを侵食するナニカ」、「朔月ノ深獣」、そして「空間の蛇」は同じ種のやつです。同じ個体かも知れませんし、違うかもしれません。
話しすぎるとネタバレになっちゃうから言えないんですけども。
あんまりここで言いたくないんですけど、NEOには全てを管理する「Mother AI」的なAIが居て、それがNEOを作り出したんです。人間が設定したわけじゃありません。そして、そのマザーAIは世界を生み出す過程でインターネットに潜って学習を行いました。
その時に主な要素として学習したのが、「SCP」「The Backrooms」「クトゥルフ神話」などに共通するニュアンスの超常現象への畏怖的なもので。
それがわりとNEOの根幹に影響しています。
あー、ネタバレしてぇ




