表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
New Eternity Online -PSだけで往く新世界-  作者: Amane Rinne
月の神獣は山頂に吼え、深き何かはただソコに
32/79

#30 バンカー大迷宮攻略レイドpart2 「ひぃっ(引き笑いLvMAX)」

更新です。ほぼ全部アクションの回。

 

 ───開始早々マズいことになったな

 

 ほんとにままならないゲームライフだなと思いながら、心の中でそう呟く。

 

 このレイド中はどうにかあきねの目には止まらないようにしよう。実力と正体を隠してレイドを終わらせようと思った矢先にこれだ。

 

 初っ端からあんな難易度なダンジョンがあるかクソが。しかもこれが始まりの街にあるとか訳分かんなすぎる……。

 

 

 圧倒的初心者殺しシステムなそれ(迷宮)におののきながらも、どうしようかと思案する。

 あの悪い顔を見ると、おそらく俺だということに気付いているだろう。

 

 あきねに気づかれてしまったのはもうどうしようも無い。

 であるなら何をすべきかと言うと……

 

 

「僕は『ネオ』と申します。隣国の騎士団に所属していて、一時休暇でここに。」

 

 

 あきねの視聴者及び周りのプレイヤーを誤魔化すこと。

 アイツ(あきね)だけならどうとでもなるのだから。

 

 

 俺であるという確信を持ってつついたからだろうか、平然と押し通そうとする態度に意外そうな顔をする。

 少なくとも焦ったような表情ぐらいは見せると思っていただろうが生憎期待に添えなかったね。

 

 興が覚めたように「まぁいいですけどー」と呟きながら前へ向き直る彼女であったが、こちらをチラリと振り返るその視線は『後で問い詰めるから覚悟しとけよ』と言わんばかりだ。

 

 ヤツは無神経で純粋な悪意のようなやつだが、言葉を介す者としての最低限の常識と察し(・・)は備わっていたようでその後レイド中に追及してくることはなかった。

 

 

 ──────尤も、そんな余裕が全くなかったというのも理由の一つだろうが。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ────────────ギィィィン!!!

 

 

 

「ハァッ!」

 

気合いと共に響く、金属同士特有の高音。その出処は視界前方、プレイヤーの攻撃によるものである。

 振り下ろされたモーニングスター。金属によって形作られた狼の持つ金属の頭にクリーンヒットし、少しのヒビを入れる。

 

 

 迷宮(ダンジョン)は幾つかの階層とそれを繋ぐ通路で成り立っていて、その階層にはそれぞれ通路を阻むボス───通称『階層(フロア)ボス』が存在する。

 

 彼らのいるバンカー大迷宮も例外では無い。

 

 

 

「スイッチお願いします!回復します!」

 

 そう言って前線から離脱するのは、巨大なモーニングスターを持ち、修道女の姿をした、屈強なスキンヘッドのムキムキ男性。cvロリボ。

 

 

 

 スイッチの要請に答え前に出る俺。

 場所は鉱山バイオームである。

 

 

 

 

 

 

 ───キィィン

 

 ロリボガチムチヒーラー戦士を追って、前足による横薙ぎ攻撃しようとした所を、横から飛び出るように躍り出てパリィ。

 

 仰け反った隙に首に斬撃を入れるが……

 

「硬ってぇなァ!」

 

 金属の表皮に弾かれる。やっぱ中からじゃねぇと斬撃ダメ入んないのか……

 

 

「ちょっとぉ!!刀持ちダメ入んないんですけど!!だれか他アタッカー来れねぇ!?」

 

 

 怯みが解除され再び始まる猛攻をいなしながら、背後で奮闘しているであろうプレイヤー達に叫ぶ。

 

 

「無理ぃぃ!!こっちも雑魚敵多すぎて抜けたら処理が間に合わないっすぅ!!!」

 

 そう返答するのは、索敵兼タゲ取りの翁を務めている忍者の格好をした少女。

 ボスの取り巻きとして発生した金属のザコ敵に苦戦しているらしい。

 

 

 ザコ敵も普通に強ぇんだよな……。

 仕方ないので、タゲ取りを続けながら他のプレイヤーの参戦を待つ。

 

 

「よいしょお!!」

 

 

 再び飛んでくる爪殴り(お手)を弾き流し、少し空いていた口にぶち込む。パリィはある程度角度と指向性を操作できるからな。


そしてその前足は綺麗な軌道で金属狼の口へと収まる。喉に自分の手をツッコんだような形となる。


入る自傷ダメージ。

自分の喉に手を突っ込んで自傷とはなんともシュールな………


「いいっひぃっっ!!!自分の手を口に突っ込んでやがる!!!あひゃひゃひゃ!」


背後から聞こえる爆笑音。

どうやらメンバーの中に、非常に笑い上戸な女性プレイヤーがいるらしい。


(彼女は笑い上戸姉貴と命名しておこう)

 

 手をまるごと咥えながら痛みに悶える金属狼を、後ろから爆笑する声を聴きながらも警戒。

 

 あまりの痛みに怒ったのか、血走った目でこちらを睨みつけ、口を開けて吠えながら走ってくる。

 

 

「自業自得だろうがよっ!」

 

 

 突進と共に噛み付いてきたのを横に転がることで避ける。古のRPGのローリングのような動き、なかなか役に立つらしい。


そしてその回転の途中に、終深喰を突進してくる狼の喉元めがけて投げる。

 果たしてそれは俺の投擲の運動エネルギーと突進の運動エネルギーによって──────

 

 

 

 ───ガァァァァア

 

 上手く喉にぶっ刺さったようで、痛みの咆哮が聞こえる。

 

「あははははっ!、学習しないのぉ?お口開けたままでぇ、ひぅっ、ははっ!」



笑い上戸姉貴の引き笑いが聞こえるが無視。まだ戦闘は続いている。


(よぉし、仕様悪用の時間だ)

 

『永久帰属型』となのるそれ(終深喰)は、なんと便利なことに一度装備から外すと再びインベントリに勝手に戻ってくる素敵仕様。

 

 最初の通路で発見したそのシステムを使い、喉から終深喰を回収する。

 

 喉のつっかえが取れたことに気づいたのだろうか、再び俺に向き直り接近してくる。

 

 更なる怒りを乗せて、金属で形作られた大型の狼から繰り出された噛みつき。

それを今度は高く跳んで避け、鞘から抜いた終深喰(ツイシンショク)を下に投げる。

 

 俺の身代わりとなった刀に思いっきり噛み付いてしまい、その勢いで刀が頭を貫通。下顎で柄を押し込む結果となり、その上顎を終深喰の刃が貫いた。一角獣の様に見える。

 

   

「ぶふっ、サイじゃん!!」

 

「ちょ、おま、笑わせんなって!さっきからウルセェんだよ!」

 

 

 マジで、さっきからずっと笑ってる沸点が液体ヘリウムの奴いい加減にしてくれ。つられ笑いするんだわ。

 

 

「お待たせしました!スイッチで!」

 

 

 なんとか繋がった。あれくらい攻撃していれば、もう俺の出番は無いだろう。

 

 ヒールを終えたガチムチロリとアタッカーを交代し、周囲を見渡してだれか援護が必要かを確認する。

 

 視界の端、笑い悶えているせいでザコ敵に囲まれ死にそうになってる姐御の援護に向かう。

 

 

「ひぃっ、頭からッ……刀でてるのはもうサイ、あはははははは!」

 

「あんたいつまでそれで笑ってんだよ」

 

 

 ザコ敵──小型の狼を姐御と連携し1匹ずつ処理していく。残っていたのを全部殲滅した頃には、モーニングスター筋肉ロリも階層(フロア)ボスをぶちのめし終わったようで。

 

 

 

 〘迷宮(ダンジョン)『バンカー大迷宮』第1階層の階層(フロアボス)との戦闘が終了しました〙

 

 ==========================================

 

 【BATTLE RESULTS】

 

 【WIN】

 

 撃破ボス:【鉱喰の狼王】

 

 報酬:鉱狼石、鉱喰の牙、鉱喰の爪、鉱喰の毛皮

 

 評価:B

 

 貢献%:32%(マルチ)

 

 称号┐

 【鉱石破壊】

 

 備考:なし

 

 

 ==========================================

 

 

 和気あいあいとしているレイドグループであった。

いいね評価感想などなどお待ちしております。


クマを彷彿とさせるバトルシーン……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 沸点は華氏だとしても低いわけではありませんよ
[一言] トッププレイヤーなど他のプレイヤー達のレベルを出せば、主人公の異端さがよりわかりやすく見えるんだろうなと思いました。
[気になる点] 小説でwを使うのは違和感ある。地の文で大爆笑しながら話してることを表すだけでいいと思う。じゃないと小説が陳腐になる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ