#19 通りすがりに斬り掛かって来んなよ。戦闘中に街頭アンケートするぞ。
なんか起きたらスペインに勝ってて草
最近更新なくてすみません!
更新どす。
いいね評価感想などなど待ってます。
でっけぇ門をくぐり抜け、なんのしがらみも無くようやく街にはいる。
ああ、やっとここまで来たのだ。まだ初めて1日経ってないけど。
「なんとも言えない開放感があるなぁ〜」
初めてからわずか数時間とは思えないほどの濃密さ。
いろいろなハプニングを乗り越えて到達した「最初の目標」はなんとも心地が良い。
周囲、街の構造を観察してみる。
最初に目に入るのはなんと言っても正面の広い道。そしてその先には、城のような外観の大きな建物が見える。
「うーんと、何があるのかな?」
周りを見渡してみると、割と入り組んでいて一目で分かりそうな雰囲気では無い。
マップを開いてみる。
十字にクロスする広い道路と階段を区切りとして、右上を一区、右下を二区、左下を三区、左上を四区というように分かれているようだ。
クロスの中心にある城が、この街の王的存在の住居なのだろう。
『冒険者ギルド』、『防具屋』、『武器屋』、『宿屋』などがそれぞれの区に分布しているらしい。
俺の現在地は、二区と三区の間。
区と区の間の道の先にそれぞれ門があるようだ。
マップのおかげで主要な施設の位置は分かる。
先にそのような所へ行ってもいいのだが。
この手のゲームで街に来て、最初にすることはただ1つと決まっている。
「探検じゃー!」
◇
俺がこの街に入ってから約1時間。
その時間をかけて俺は主に二区と三区を中心に探検した。
その探検の中で得た情報は様々ある。
詳しく言おうとすれば多すぎて言いきれないだろう。
そんな情報を大きくふたつに分けるとすると、まず1つ目は地理的な部分に関してだ。
この『始まりの街』の特筆すべき特徴。
それはなんと言っても、都市が明確に対称的に区分けが行われている点だ。それに加え、冒険者ギルドなどの重要であろう施設などもそれぞれの区に存在している。
なんというか、区ごとに独立して運営されているような、都市としての機能に対する違和感が少し浮かぶ。
対称的に区分けされたこの四つの区であるが、二区と三区を見比べてみたところ、区の形は対称であってもその中の分布は大きく異なっていたのだ。
それに加えて、冒険者ギルドについて。
このゲームにおいての冒険者ギルドは、他の創作物と対して違いは無い。
簡単に言えば、クエストを依頼、受注しそれに応じて金銭の取引が施設を介して行われる場所だということだ。
その冒険者ギルドについて気になったのが、その雰囲気。
どうせ後でまた行くだろうけど、ちょっと雰囲気だけでも見ていこう、と思って少し覗いて見たのだが。
「ひゅっ」と、なんとも情けない声が思わず出てしまった。ピリピリした空気に、偉そうな男の口から発せられる罵詈雑言。
そしてその中に聞こえた「三区の奴らに負けるとは何たる屈辱ッ……」という言葉。
なんというか、彼らは非常に仲が悪いようだ。
怖い話だ。
そして、大きく分けた内の2つ目。人々の態度だ。
俺は今、探検を終えて二区の中心地に来ている。
そこは割と大きめの広場となっていて、屋台やら露天商やらが並んでいる。
そこには割と大勢の人、プレイヤーやNPCが集まっているのだが。
「ねぇ、あの人………」
「アイツ、例のやつじゃね………?」
今もだ。
何故かよく分からないのだが、この街に来てからほぼずっと、周りの人からの視線を受けている。
主にプレイヤーからの視線のようだ。
探検中はNPCからの視線もあったのだが、露天商で買った『聖白の眼装』、端的に言うと白いカラコンを右目に付けてからは気にされなくなった。
「気にしてもしょうがないか。」
そう小声で呟き、座っていた噴水の縁から立ち上がる。
腹が減った気がしたので、すぐ傍にあった屋台で焼き鳥を2つ購入。気を取り直してとりあえずギルドに行ってみようとギルドの方面へ歩き出す。
照り焼きタレが染み込んだ鶏肉を噛むと美味しさと肉汁が染み出てくる。うん、いい感じにタレと絡み合う。うまい。
ザワザワ
少し歩き、広場の端まで辿り着こうとするくらいの所で妙にザワザワし始める。
どうしたのだろうか?
先程までは差程騒がしくなかった広場に、驚きの声と歓声が瞬時に広まる。
「ねぇ見て!あれFlannelギルドの『Iris』様じゃない!?」
「やっぱり、懸賞金の件かな……?」
近くにいた女性プレイヤーが、隣の友達らしき女性に興奮したように話しかけている。
それに応じる女性は、少しこちらを見た後に懸賞金がどうとか応答している。
なんか有名で人気あるプレイヤーが来たようだ。
懸賞金ってなんのことだろうか?
5000モネ弱の値段の聖白の眼装を買ったせいで今は金欠もいい所。素寒貧だからお金関連は少し興味がある。
まぁでも冒険者ギルドのクエストで稼げばいいだけの話だが。
俺が向かおうとしていたギルドの道の方から、群衆を切り裂いて歩いて来る集団が見える。
見えるのは6人の女性。少精鋭のギルドなのだろうか?見るからに豪華で強そうな装備。人気があるということはそれ相応の強さが有るのだろう。
なんというか、覇気的なものを感じなくも無い。
む?こっちに近づいてくるな。避けなければ。進行の邪魔だろう。俺以外の人達は既に脇にはけているようだし。
「ねぇ貴方、ちょっといいかしら?」
こちらの方面へ進んでくる彼女らの進路を邪魔しないように、右に避けて迂回して群衆の中を通りギルドへ行こうかなとか考えながら横を通ろうとする。
先頭の女性が誰かに話しかけていたようだが、そんなに気にすることでもないだろう。
ああ、焼き鳥うまい……なッ!?
奇襲!?
視界の端に剣が迫ってきているのを捉え、慌てて立ち止まり頭を逸らし避ける。
その剣から放たれた斬撃は、俺の目の前を通り越してその奥の壁を大きく切り裂く。
立ち止まっていなかったら間違いなく縦に真っ二つだったであろう。
少し立ち止まり、剣を放った主を見てみる。金髪のツインテールに、つり上がった目。そして何より不機嫌そうな顔。
なんというか、ツンデレキャラってこんな感じの見た目だよな、と思わせるようなルックスをしていた。
うーん……………まぁ何かの間違いだろう。金髪ツインテの数秒見つめあったものの、目を逸らし無視して再び歩き始める。
「ッ!あんた私を無視するとはいい度胸ね!!」
後ろから金髪ツインテであろう声が聞こえる。何か機嫌を損ねてしまったのだろうか?もちろん接点など無い。初対面の人に斬り掛かる野蛮な人なようだ。
というか、斬り掛かっておいてスルーしたら無視って……マナーがなって無さすぎだろ……。
一応警戒して後ろを少し見ておく。
ブォォォン!!
警戒しておいて良かった。今度は横の斬撃が俺の首を絶たんと飛んでくるのが見える。
後ろへ振り返り再び避けようと……
「『居合術壱の型
む、背後から声。ツインテたちの方を見ると5人しか居ないことに気づく。袴を着た黒髪のポニーテールの人が居ないようだ。
いつの間に回り込んだのだろうか?
そんな疑問を心に浮かべながらも、対処のために体を動かす。前からは斬撃、後ろには居合術。どうするかと言うと────
「『跳躍Lv5』」
体を倒しながら捻り、斬撃を避けつつも居合を発動しようとする刀の柄に足を置く。
そして
飛雷』」
居合スキルが発動される。
居合が発動するタイミングに合わせて柄を蹴り離脱する。
跳躍効果と居合の勢いが合わさることで弾丸のようにはじき出された俺は、数十mほど吹き飛びちょうど先程座っていた噴水の縁に着地、と言うよりは打ち付けられるように停止する。
何とか水に入りはしなかったものの、このまま襲われていてはたまったものでは無いな。
台無しにされては勿体ないと、何とか死守したもう一本の焼き鳥を、縁の上で彼女らを見下ろしながら口に含んだ。
なんか戦闘シーンばっかだな。
時々戦闘シーンを描写しないと死んでしまう病気なのかもしれない。




