#16 今更だけどゴミジョブでクソゲーだったって話する?
ちょっと遅れたけど更新でーーーーーす
俺がインベントリ内及びこの世界において初期装備以外で唯一所持していた武器、終ノ光刀。
レアモンスターの鹿ちゃんに賜った、ボス特攻と夜間バフまで付いていた序盤にしては超優秀武器。
割と思い入れ(数時間)あったそんな武器がインベントリから消失している。
そして今インベントリ内に唯一存在するのは、これまた禍々しい一刀。そう、俺の目を貫いた刀だ。
死んだら戻ると思ったけど、そのままなの?
あの目ん玉の怨念のせいで黒かったんじゃないの?
怨念がまとわりついてたから禍々しかったんじゃないの?
と様々な疑問が浮かぶ。
「え、クソ武器化してたら割と詰みなんだけど。武器俺それしかないんだけど」
……見てみるか。
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アイテム:【終深喰】
効果:不明
備考:よく分からない刀。永久帰属型。
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「ゴミ武器じゃねーかッ!!!!!」
思わず再び地面に叩きつける。
効果不明ってなんだよ!
よく分からない刀ってなんだよ!!メタメタのボッキボキにしてホンマによく分からなくしてやろうか!?
しかも永久帰属となると、ずーっとインベントリを圧迫することになる。
「くっそ、使えねぇくせに無駄にかっこいい名前しやがって……」
地味に心がくすぐられる名前だな……。
取り敢えず装備。愛しの終ノ光刀こそ失われてしまったものの、人間は前に進まなければならないのだ。それに武器は街行けば買えるしね。うん。
〘スキルを発動しシミュレーションMOBを撃破してください〙
地面に落ちた(叩きつけた)終深喰を拾い上げ装備すると、虚空にホログラム状の敵性MOB─ゴブリンか?が出てくる。こいつを倒せばいいのか。
視界の端のクエストUIに、〘『穿刃』を使用してゴブリンを撃破(0/1)〙と書いてあるのがみえる。
現れたゴブリンの方へ無造作に近づき、石の手斧で斬りかかってきたゴブリンの腹を蹴る。そして体勢を崩したゴブリンの右目に『穿刃』をぶち込む。
ストレス発散じゃ。
右目を貫かれ、ポリゴンとなって散ったゴブリン。
チリン♪という音と共に、(0/1)が(1/1)となる。
そして次のゴブリンが現れると同時にUI更新される。
『乱斬』を発動。四肢が切れ、無惨な姿でポリゴンとなる。
チリン♪
〘『弐抜断』を使用してゴブリンを撃破(0/1)〙
恐らく最後であろう更新がされる。
チュートリアルだし、初期スキルだけでいいだろう。
このゴブリンをスキルで撃破すれば終わりだ。
「とっとと終わらせよう」
『弐抜断』
〘スキルが発動出来ません〙
「は?」
〘『弐抜断』は二刀流専用スキルです。ステータスを開き武器を装備してください。〙
え?
は?
あれ?そうだ。最初にそんなこと考えてたな。発動出来ないかもって。
あれ?でもそしたらどうするんだ?
ッふぅーーーーー
うん。
一旦整理しよう。
・初心の刀は目玉を倒すのに消費した。
・現在所持している武器は終深喰のみ
・『弐抜断』を使うには武器が2つ必要
・『弐抜断』を使わなければチュートリアルが進まない
「なるほど。」
あ──────────
詰んだ\(^o^)/
え、嘘だ。嘘でしょ。詰んだ。マジで詰んだ。詰んだ詰んだ詰んだ詰んだ詰んだ。
なんで?のんびり神ゲー楽しむはずだったのに。なんで?
始めることすら出来ないんか??
……………………………………辞めるかぁこのクソゲー。
なんでこれが神ゲーって言われてんだ?
初っ端からこんなゴミ職業勧められるし、変な所にリスポーンするし、最初の戦闘から高レベルMOBだし。
職業はまだ俺のリサーチ不足で片付けられるけど、残りはどうにもならないんだよ。
くっそ、なんか腹立ってきたな。
超頑張って黒い化け物倒して、理不尽に死んでもまた頑張ろうかなって思ってやってんのに。
初日からくっそハードな戦闘して、1度死にはしたけど街まで辿り着けそうで。
やっとここからこの世界の俺の冒険が始まるというのに。
チュートリアル如きに阻まれるとか、あぁ。
(ガチでイライラしてきた)
疲労により不安定になった精神。今の俺は少し短気らしい。
「クソが!なんか癪だからどうにかしてでもチュートリアルを終わらせてやる!!」
考えろ。こんなクソみたいな終わらせ方してたまるか。
なんかねぇか?剣の代用品となる何か。
剣の形をしたような何かが。
周りを見てみる。何の変哲もない林だ。
上を見てみる。明けかけの青い空だ。
足元を見てみる。細長いひし形の石が転がっているのが見える。
これだッ!!!
閃いた!見えたぞ活路!!
石を拾い上げ短い方を持ち終深喰と共に構える。
そして
「『弐抜断』!!!」
〘スキルが発動出来ません〙
「クソがッッッッ!!!」
思わず石をあさっての方向にぶん投げる。
完全に行ける流れだっただろうが!!!
……切り替えよう。
チッ、他に何かねぇか?
絶ッッ対チュートリアル終わらせてやる。
◇
「なんも装備出来ねぇ……」
地面に伏し、台パンならぬ大地パンをしながら呪詛を吐く。
まだ朝の早い時間だ。誰かに見られたら確実にそういう類の呪いかと思われるだろう。
まぁ呪詛も吐きたくなるものだ。
ああ、いっぱい試したのだ。チュートリアルエリア内にあるものほぼ全てを試したと言っても過言では無い。
雑草や樹皮、ゴブリンの腕なんかを切り取って試したりもした。
なのにひとつも発動条件として認識されない。
あー思い出しギレしそう。
なんでだよ!!!1個くらい剣として認識されろよゴミ物質共が!!!!!
「はぁ……」
地面に寝転がる。芝生がフサフサと俺の体を包み込み、自然がもてなしてくれているようななんとも言えない心地良さを感じる。
「いい世界なんだけどなぁ……」
ずっとキレ散らかしててもしょうがないよな。
諦めてログアウトするか〜。
ボーっと上を見上げていると、風に揺られる小枝が目に入る。
ん?そういえば木の枝試してないな。
「これ試してみて終わるかぁ。」
体を起こし立ち上がり少し伸びる。
木を登る。小枝をちょんぎって掴み、下に飛び降りて着地。
一縷の望みをかけて、終深喰を右手に、小枝を左手に持ち構える。
「……『弐抜断』」
〘スキルが発動出来ません〙
「はぁ……」
まぁそうだよな。他のやつが出来なくて、小枝でできるわけが─────
〘武器を1度格納し待機状態にしてください〙
うん?
これまでとは違うアナウンス。発動出来ない原因は小枝そのものでは無いのか?
格納、格納ねぇ……
あー
「もしかして、これ抜刀系スキルか?」
抜刀系スキル。剣士系統の内の派生系、刀を使う職種にのみ存在する、刀を鞘に入れた状態で発動するスキルである。
ならばと思い、終深喰を一度鞘へ戻し小枝を腰に戻す。
じゃあ今度は行けるか!?
「『弐抜断』!」
〘『弐抜断』を使用してゴブリンを撃破(1/1)〙
〘チュートリアルが終了しました〙
〘街へ移動しましょう〙
「来たァァァァァ!!!やってやったぜゴミゲーが!クソみたいなチュートリアル用意しやがって!」
今度は無事に成功し、腰からクロス状に一閃しゴブリンを討伐。
あまりの喜びに思わずガッツポーズ。
「これでついに往けるッ!」
待ってろ悠彩!
ストレスフルだったチュートリアルをクリアし、気分は上々。
スキップするようなふわふわした気分で街へ駆け出して行くのだった。
主人公君の精神は後数話は安定しません。
疲れてるんです。
乙!頑張れ!
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