#11 鬼ごっこしようぜpart5 勝敗決定
ボス戦最終話!
あと数話したらチュートリアル始まります
他の人も出てきます。
登場人物一覧出しといて誰も出てこないのは何とも言えないので……
【天ノ叛逆】とはなにか。
とある希少なモンスターの若い個体を倒すことで獲得出来る、特殊条件に基づいて発動されるスキルである。
その効果を端的に表すとするならば、「集約」と「倍化」、そして「拡張」の3語が適切であろう。
今回について言うならば、終ノ光刀に込められた太陽光のエネルギー。 それが刀身の先に集い、輝きが強まり、そして薄く大きく広がり、剣の形を形成する。
まぁ簡単に言えば、巨大化バフだ。
「どォ?ビックリしたろ」
黒獣は額の眼を大きく見開き、身動ぎもせずに虚空を見つめている。
なにせ地面を蹴って認識できないはずの、ステータスにものを言わせた猛スピードで俺に飛びかかったところを、眩い光を放ちながら急激に巨大化した剣で串刺しにされたのだ。
反応されるはずの無い攻撃に反撃されたらまぁ困惑するだろう。
俺がした事は簡単だ。格ゲーでも良くする、操作性がある戦闘ゲーでは定番の行動、相手の動きを読んで攻撃を置くこと。
だがまぁ少し特殊なのは、【天ノ叛逆】の発動タイミングをコンマ1秒でもミスったら剣ごと喰われてしまう。そこは上手く合わせるしかない。
先に穿刃を発動した後で【天ノ叛逆】を使うことで、太陽光の刀に慣性を持たせる。
その慣性が最大になるタイミングを計算して合わせるのだ。
ここまでは実力。
そして少し伸びた判定をちょうど黒獣の口に合わせれば黒獣の串刺しの完成だ。
ここからは読みだったが……
「ピッタリだったな」
目の前で止まった牙が、その結果だ。
煌めく光に貫かれ、宙に釘付けにされている。
そして【天ノ叛逆】が切れ、黒獣の身体が解放され両者の自由落下が始まる。
そのまま力が抜けたように地面に叩きつけられる黒獣を傍目に、枝を足場に着地、そしてそのまま枝の上を走り距離を離す。
黒獣が起き上がって急襲してきても対応出来るかつ、成り行きを観察でき、そして逃げる場所への逃走経路が確保できそうな位置へ移動する。
そう逃げる場所。今の対処はその場しのぎであり、複数回できるかと言えば難しい。
主にクールタイム的に。『穿刃』はまだしも、【天ノ叛逆】のクールタイムは馬鹿にならない。
このゲーム、スキルの効果に応じてクールタイムが設定されているので高火力がでる【天ノ叛逆】はそれ相応の待ち時間が必要だ。
それに終ノ光刀の特攻ゲージだって、溜める時間が多少は必要だ。さらに言えば、太陽が出ていない今は、さらにゲージの回復が遅くなっている。
そこで、今1番必要なのは、この黒獣を追い払うもしくは倒すことが出来る何か。
その何かを解き明かすピースが、さっきの光を最後にパチリとハマったのだ。
「月の神獣がいるなら……太陽もいるんじゃねぇの?」
そういう事だ。
共有エリアということは、1つのエリアを共有している2つのエリアボスがいると捉えられなくもない。
事実、エリアの山頂側に1つ小規模な山が存在した。
まぁ、怪しいわな。
ただ、月の神獣のように深化する可能性を考えるとあまり行きたくはないのも事実。
あんな化け物を更にもう一体相手にするんじゃ、命が何個あっても足りない。
だがそもそも、黒獣一体でさえ命が危ういのだ。ここまで1人だけで生存できていたのが奇跡というものだろう。
そして今更ではあるが、ぽっかり空いた腹が気になってきた。
巨大な爪に抉り取られたとはいえ、こんなに綺麗に無くなるものなのか……
出血とかで死んだりしないんかな。
うーん
それにしても気にしなければならない点、判断しなければならないことが多すぎる。
そもそもなんで急にこんなエリアに湧いたかもまだ分かっていないのだ。
うーむ
「楽しいけど、一息つきてぇ」
こんなにずっと神経をピリピリさせていれば疲労するのは当たり前というもの。
この調子では、危機を脱し街に到達する前に過労死してしまいそうだ。
どうかここで倒れてくれ。
地面に伏せたままで動かない黒獣。
どう対応すればいいのか、最適解が見えない。
俺が取れる選択肢は割とある。
刺激して黒獣が起き上がり、また戦闘が始まるのが最悪のパターン。
だが何もしないまま時間が経過するのもNG。俺は早くこの戦いを終わらせて寝たいのだ。昨日も一昨日もほぼ徹夜だし、今日も徹夜となれば健康に被害が出てしまう。
流石に生活に影響が出るほど長時間は待ってはいられない。
それにリス地を設定せずにログアウトしたらどうなるのかも分からないのだ。また初期地点から始めさせられたら困った所では済まない。
疲労による寝落ちからの最初から再スタートとかいう事態なった時にはもう心が折れる。
少し悩んだ末、ひとつの結論を出す。
「うん、ちょっかいかけてみるか。」
UIを操作して、初心の刀に切り替える。そして持ったまま月環樹のいちばん高い所に登り……
投げる
〘「投擲Lv1」を獲得しました〙
お、なんかスキル獲得した。
そして黒獣にも上手く刀がぶっ刺さった模様。
特に、戦闘終了アナウンスが流れたり黒獣が起き上がったりすることも無く、ただそのサイズ縮んでいくのみ。
一回り小さくなったまま、地に伏し続ける。
へぇ
「刺さると縮むんすか」
じゃあもう一本投げてみっか。
もう一本の初心の刀を装備。再び投げてみる。
再び黒獣に刺さる。
今度は縮むは縮んだが、その縮み方が尋常ではなく、2本目が刺さった瞬間、額のデカい目玉サイズまで縮んだ。
投げた2本は、そのまま地面に落下し刺さる。
そういや、さっきも届いたので「投擲Lv1」は使わなかったが試運転のために使っても良かったな。
もう一本刺せば、死んでくれんかな。
「投擲Lv1」使って刺すか。
終ノ光刀を装備する。
ん?なんか目玉が動き始めたな。
地面にぐったりとしていたのが、1mほど浮き上がる。
そしてゆっくりとさらに宙に浮き、段々と空に近づいていく。
途中までゆっくりだったが、 10mほど真上に浮き上がったあとに、進路を山頂方面に変え、まるで彗星のようにものすごい勢いで飛び始めた。
あ、逃げてます?
ここで逃がしたらまた戦うのか……
だるいな。潰す。
「「投擲Lv1」発動」
にがしませーん。
星のように飛ぶその目を、スピードから位置を先読みすることによって、終ノ光刀をドンピシャで投げる。
Lv1のスキルとは思えないほどのスピードと正確性で投擲されたその刀は、漆黒の目を貫き━━━
━━━━光と共に爆ぜた
おー、汚ねー花火だなぁ(感嘆)。
死んだかな?生きてたらどしよ。
まぁその時はまた終ノ光刀で貫いてやろう。
「あ、投げたから武器ねーや」
のちに、『過去最高に思考停止してたな』と振り返る瞬間である。
拾いに行くかぁ……
そして彼は落下地点へ歩き始めた。
〘共存エリア『月環樹の頂き』のエリアボスとの戦闘が終了しました〙
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【BATTLE RESULTS】
【WIN】
撃破ボス:【弓月ノ神獣】【朔月ノ深獣】
報酬:無し
評価:G-(最低値)
貢献%:25%(ソロ)
称号┐
【異端】
【神への叛逆】
【世界を敵に回した者】
【禁忌】
【死を持って償え】
【破戒】
【反システム】
【大罪】
【旧人類】
備考:禁忌を犯したな。死を持って償え。
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〘*ワールドアナウンス*共有エリア『月環樹の頂き』のエリアボス【弓月ノ神獣】の初討伐が確認されました〙
〘*ワールドアナウンス*クリア人数1名/クリアプレイヤー:【U】〙
〘※このアナウンスは秘匿されます〙
〘緊急アナウンス:システムエラーを発見、秘匿に失敗しました〙
2話か3話くらいに言及してありますが、NEOはノンジャンルです。
あと、神獣とか大それた名前しといてこんな腑抜けた終わり方なのには理由があります。
人間だって癌で死ぬけど、人間が死んだら癌も死ぬよねって話。ちなみにこれはシステム目線の比喩です。
主人公は脳死しているので、まだ変なことに気づいてません
何言ってるかわからんでしょ。たぶん5章くらいに種明かしあります。たぶん。
追記
今期アニメのせいで執筆が……陰の実力者昔から好きだったから、しっかり超優良アニメなの嬉しすぎる。
更新ペースが落ちるかもしれないという報告




