#10 オ二ごッコシヨゥゼ!p4Rt4 ユルサヌ
9と10どっちも短いから追加。
更新そのに
追記、誤字報告ありがとうございます
New Eternity Online。
そのゲームは発売からずっとVRMMO、そしてゲームというカテゴリそのものの業界を支配している。
その影響力は凄まじく、名前を知らないものはいない。
まさに社会現象と化していた。
そのネームバリューは計り知れなく、有名ブランドや大規模企業はこぞってコラボなどを試みた。
そしてその波は今や日本だけではなく全世界への広がりを見せている。
そんな超大作の作成には、超大手有名ゲーム会社が複数社、それに加え近未来技術の研究者及び開発者、さらには国家までもが関わっている。
その開発の意図は様々存在し、国家情勢や業界の盛り上げなども深く関係していた。
それら意図のうちの一つがとある新技術の実験場及び試験場としての役割である。
VRMMOというゲームジャンルにおいても、全世界的なテクノロジーの面においても、非常に斬新かつ革新的なとある2つの試みがこのゲームにおいて行われていた。
そのうちの1つが、擬似的な感情を持つAIについてのもの。
New Eternity OnlineのMOB及びNPCは全てこのAI、つまり擬似的な感情を所有しているのだ。
熊或いは熊の形をしたナニカは今、自身が非常に憤りを感じていることに驚きを隠せなかった。
己の中の憤怒の炎が、ココロの全てが、奴をコロセと訴える。
長い時間をかけ、ゆっくりと慎重に存在を侵食してやっとのことで奪い取ったこのカラダ。
弓月ノ神獣は元来、月の加護を受け、偉大なる月光の力を流用する非常に強力な守護者である。
その強大さは低位存在には計り知れず、その存在を乗っ取ったとなれば向かうところ敵無しと言っても過言では無い。
負けるわけが無いのだ。
少なくとも、昔1度滅びたニンゲンのような低位存在には。
だがこのザマはなんだ。
カラダの主導権を奪取したその時に最初に目に入ったニンゲン。
力を慣らすような軽い心持ちで殺すつもりだった。
そして実際腹部の半分を貫いた。
だがコレはなんだ。
そもそも最初に腹を貫いた時点で死んでいておかしくないのだ。
だがこいつは生き残り、更には追撃すらも弾かれた。
月の神獣の力を完全に扱えていないとはいえ、山を削り海を割った獣の力が乗った攻撃を弾いたのだ。
そして今も尚、奇妙な脚力の急増により、攻撃があしらわれている。
(…ナマイキダ)
そうだ。
もうこの姿にこだわる必要は無い。
今奴を殺すのに最適なカタチは……
その憤怒はソノの身を焼き変える。
「……なんだァ?」
急に攻撃の嵐が止む。後ろを覗くと、足を止め佇んでいる熊の姿が見える。
好機を逃すまいと距離を離し続ける。
「跳躍Lv1」が切れるまであと7秒。
走りながら観察していると、熊に唐突に更なる異変が起きる。
静止していた熊が途端、巨大化していた左腕を急激に萎ませ、両脚がその形を変化させる。
まるで偶蹄目のように。あぁ、プロングホーン?かなんかがこんな感じの脚をしていたな。
意図的に体を変化させることもできるのか。なにせこの状況にマッチした変化だ。
狙っているのだろう。
「跳躍Lv1」が切れるまであと6秒。
熊、と呼んでいいのか?熊の形をしていた黒いものが、まるでクラウチングスタートをするように、いざ走り出さんとするように、その体を整えるのが見える。
「跳躍Lv1」が切れるまであと5秒。
途端、全脳細胞が危険信号を出し始める。
明らかに届く距離では無いと判断する理性と、法則を超えてくると訴える本能が脳内で争う。
届くのか?自身の危険信号に対して思わず疑問が零れる。
黒い物が動きを止め、変化を初めてからこの数秒で200mは距離が離れた。
その距離は高レベルとはいえ少なくとも1、2秒は……
いや、油断は出来ないな。なにせLv200近いのだから、ステータス差を考えれば当たり前だ。
どう対処するかだが……
「刺すか。」
「跳躍Lv1」が切れるまであと4秒。
「跳躍Lv1」の効果を上手く使い、空中へ躍り出る。
「『穿刃』…ッ【天ノ叛逆】」
脚に力を最大まで溜めきったのか、遂にその力が解放される。蹄が地を蹴る勢いで雪が吹き飛び地表が削れる。
その目指す先は勿論俺だろう。
姿がブレ、元いた場所には大量に粉塵が巻き上がっているのが見えるのみ。
「アハハハハッ、ガチで届くのかッ!」
そして目の前に現れた。
しかしその牙は俺には届かない。
何故なら━━
黒の怪物が、刀から放出された太陽光とその刀身に穿かれる
1話で6秒しか進んでいないという前代未聞のゴミ小説です。




