表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
New Eternity Online -PSだけで往く新世界-  作者: Amane Rinne
月の神獣は山頂に吼え、深き何かはただソコに
10/79

#8 鬼ごっこしようぜ!part2 やっと観念したか!?じゃあ今からバトルな!!

1つ質問です。


割と自明ではあるんですが。

作品内でバンバンネタバレが進んでいくのと、読む側で考察の余地があるのどっちがいいと思います?


個人的には2つ目なんですが、伏線敷くなら綺麗に敷きたいので、凝りすぎて更新スピードが落ちる恐れが……


1つ目の場合は主人公がゴリゴリに考察しちゃいます

何とか熊の攻撃を捌きながらも、森の深部に突入していく。


木々の枝々を飛んだり跳ねたり渡ったりしながら逃げてるのだが、ツキノワグマも一筋縄では行かないようで、しっかり着いてきている。


というかスピード差のせいで割とすぐ追いつかれるから、クマの攻撃を弾いたり避けたりしながら進んでいく。


隙を見て攻撃したりしているのだが、まったくゲージが減らない。というか、変化はあるのだが、ダメージとして反映されないのだ。


「おらよっ!」



再び追いつかれたので、進路にフェイントをかけて熊を逆方向に慣性を持たせ、距離を離そうとする。

辛うじて当たらない引っ掻きに合わせ、避けながらその腕を剣で切り裂こうとする。



(しっかし、厄介だな)



何が厄介かと言えば、その皮膚、というより毛並みである。どういう理屈なのか知らないが、剣を刺すことが出来ないのだ。

なので、どの攻撃も撫でるようなものになり、高ダメージが入らない。



一応突破口、とまでは行かなくとも、ヒントは見つかっている。

俺が今使っている刀、このエリアのボスに対しての特攻を持っていると書いてあった。

ここまでの戦い(逃げ専)の中であんまりピンと来てなかったが、都度都度反撃をしていれば察しがつく。



「よい…しょっ!」


俺を噛み殺そうと、跳躍して飛んできたところを、進行方向

を急に切り返して避ける。

これまでの攻撃パターンから程度予測して、この位置まで誘導したんだ。クラっとしてもらうぞ。


俺が避けたその先には月環樹の巨木が根を張り構えている。時に、トラックのようなスピードで巨木に頭突きしたらどうなるだろうか?

普通のゲームならすぐにでも復帰するだろう。

なにせ、物理エンジンの完全再現のコストは計り知れないのだ。そこまで現実を再現することは難しい。


しかしこのゲームは普通では無い。

超現実に準じた物理法則を取り入れた、国家の手も入っている近未来ゲーだ。



そして次の瞬間に答え合わせの時間が訪れる。



「よし!読み通りださすが国のお抱えゲー!!」



高い運動エネルギーを持った熊が頭から高速でぶつかれば、もちろん熊になんの影響もないわけが無い。外皮が堅くても内側は堅くないだろ?


そしてその影響は脳震盪として現れる。


高レベルモンスターの高耐久を持ってしても免れない気絶(スタン)。たかが数秒されど数秒。


突破口を解き明かすには十分な時間!!



スキル発動!


「『乱斬(ミダレギリ)』!!」



刀身が先から根元まで輝いている、【終ノ光刀(ツイノヒカリ)】による多数の斬撃が熊を襲う。



「こっちも読み通りだ!特攻ってこういうことか!」



スキル発動が終わり、終ノ光刀(ツイノヒカリ)の刀身の輝きが消える。そしてまた、根元から少しずつ輝き始めている。


さっき、ダメージが通らないと言ったがそれは少し語弊がある。

ダメージを与える術が無かっただけであって、実際は変化の蓄積が、この刀の輝きによって行われていた。

その蓄積こそが、ダメージに繋がる基盤になるはずだ。

……俺の読みがあっていればの話だけど。


この刀は、輝きのゲージ、つまり特攻ゲージが無ければ、初心者武器と大差ない攻撃力の無力な武器である。


だが、ゲージ性の特攻に大きな意味があるのだ。



そして、さっきのスキルによって、その変化の蓄積がもはや隠しきれないレベルまでに到達した。



のっそりと熊が起き上がる。


「逃げながらの下準備にしちゃあ十分な成果じゃねぇか?」


自慢の銀色だった(・・・)毛並みが、所々黒い毛が覗く、汚れたような毛並みになっている。


今までの、ゲージを消費した攻撃と今のスキル。その攻撃の跡、つまり傷口の毛が黒色に変化している。

恐らく、銀色の毛並みに、こいつの耐久力が乗っているのだろう。

事実、前までの攻撃の蓄積で黒くなった場所をスキルで攻撃した時、しっかりとダメージエフェクトとポリゴンが出て、僅かではあるがゲージが削れた。



「どうだい熊公。レベルが全てじゃねーんだぜ?現に危ういんじゃねぇかぁ?ノーダメの種が割れちまったもんなぁ?」



ここからが本当の戦いだ。今までは、ダメージを与える方法が不明だったから逃げに徹していたが、攻撃手段を作れたならこっちのもんだ。


あとはチクチクにしてやんよ。鹿みたいになぁ。



このゲームのAIは優秀と聞いているので、もしかしたら「激昂」みたいな状態がある可能性を考え、ついで程度に挑発しながら起き上がった熊との睨み合いを続ける。


幸いというかなんというか。この森林の中で、割と開けた場所に出ている。勝負を仕掛けるならここだ。


間合いを測りながら見合う。

緊迫。

全身の神経が研ぎ澄まされる。このレベル差だと、一撃カスっただけでも戦闘不能だ。ノーダメージで削り切る…!


永遠とも思えた緊張の糸が刹那ブツンと張り切れる。起爆剤は熊による、跳躍からの噛み付きの予備モーション!


(……来るっ!)



大砲が如く襲い来る熊の顎を横に飛んで回避する。即時に飛んできた横殴りの引っ掻きをパリィで逸らす。


穿刃(ウガチバ)


弾き(パリィ)によって生み出された怯みモーション。そこに最もスキル硬直の短いスキルを、【終ノ光刀(ツイノヒカリ)】の特攻ゲージを消費しつつ撃ち込む。

長いスキルモーションは命取りだ。しかし、短いとはいえ硬直は硬直。

解けた頃には再び、俺を貫かんとする豪爪が迫る。普通に避けても間に合わないので、脚力(・・)強化スキル「跳躍Lv1」を発動し、あえて熊の方へ跳ぶ。

横薙ぎの巨腕を避けながら、顎に縦で回転しながら蹴り抜く。ダメージとしては反映されずとも、多少脳を揺らしているだろう。ダメージとして反映されなくても、リアリティの高さから出来る、上等な攻撃手段だ。



終ノ光刀(ツイノヒカリ)の特攻ゲージを消費しないとダメージが入らないのは厄介だが……」



このレベル差でも……!



蹴り抜いた勢いのまま一回転し、仰け反りながらも噛み砕こうとしてくるのを再び顎を蹴り、急降下で離脱。

あまりの勢いに、地面に打ち付けられそうになるが、空中で即座に体勢を立て直す。

ギリギリではあるが、「跳躍」の効果時間内に着地し、そしてそのまま地を蹴り、脚力強化によって高速で肉迫する。



確かに俺の数倍もの大きさで、俺を一撃で屠れる力を持ち、俺が認識しても避けられない様なスピードを持ち、俺の攻撃を通さない堅さを持っている。


「だがなァ!!」



接近してくる俺を確認した熊は、先程と同じく横薙ぎで対応しようとする。だが、その腕が届く前にジャンプをする……フリをする。



(読み勝ったァ!)



ジャンプしていればちょうど俺が居たであろう場所を、噛み砕かんとする(アギト)が見える。

さっき接近した時に、まだ跳躍の効果が持続していると思わせ、誘導した。

さっきと同じ轍は踏まないという心掛けの素晴らしいAIだな。正直賭けだったが……



勢いのまま、熊の脚の間をスライディングで滑りぬける。そして、そのまま熊の背後にあった月環樹の幹を蹴り、その反動で熊の後頭部へ到達。


「跳躍Lv1」の効果が切れていても、勢いをそのまま流用すれば壁キックだってできるのだ。


後ろに回り込んだ俺を見つけようと、体ごと後ろを振り向く熊。

だがそれは俺の思惑通り……!!!びっくりしただろ!?振り向いたら目の前に突っ込んでくる俺がいるんだからなァ!


確かにお前は強え。Lv差もステータス差も絶望的だ。


「だが!!そんな暴威、今まで何度も跳ね除けてんだよ!!」



今までは感じたことないであろう「痛み」を教えてやるッ

歯ァ食いしばれッ!!


「【天ノ叛逆】!」



特攻ゲージが再び溜まり、光を湛える【終ノ光刀(ツイノヒカリ)】。それが、【天ノ叛逆】の効果により、さらに光が強くなり、刀身が伸び、普通の人の身に余るような巨大な刃へと変貌した。


大剣とも呼べる大きさになった剣に、運動エネルギーを乗せて胸元の三日月に突き立てる!!




「グォァァァァァアァァァ!!!」




耳をつんざくような咆哮が空気を揺らす。急所であったのか、スキルの効果かは分からないが、なんにせよこいつのHPバーが大きく削れ、幸か不幸か、半分を下回った。


「よっしゃァ!このまま倒しきってやるよ!!」



体を覆っていた銀毛も、再三の攻撃で大半が失われ、今となってはほぼ真っ黒となってしまった。

体力が半分切ったことによる特殊行動が発生する可能性を考え、集中して構えながら熊を観察する。


……あれ?変だな。咆哮が止んだきり、動く気配がない。いや、正確に言うと、動いてはいるのだが、俺を攻撃したり、建て直したりする気配が見えない。

身を捩ったり、唸り声を上げたりして、なんというか、俺と戦ってる余裕が無いみたいな……


僅かな異変が加速していく。

体表に僅かに残っていた銀毛が、周りの漆黒に侵食されるように消え去る。



「……なんだあれ?バグか?」



体表が黒く染った瞬間、熊の全身がブレ出す。そのブレが少し収まった後には、辛うじて熊の雰囲気と形が読み取れるだけの異形となった。

目は無く、より巨大化した体と、未だにブレが残っている胸元。元の柔らかい毛皮は跡形もなく、のっぺりとした漆黒の体表が怪しげに光を吸う。


「どういう……」


ワールドアナウンスによりその正体が明かされる。




『エリアボス【弓月ノ神獣(ツキノワグマ)】に特殊状態〘深化〙が発現しました』


『エリアボス【弓月ノ神獣(ツキノワグマ)】が【朔月ノ深獣(ヨグマ)】への形態変化を開始』


『成功しました』


『あなたは深淵種MOBと敵対関係にあります』


『特殊シナリオ【異端】を開始します』

なんか自分で書いてて少し読みにくかった回。しっかり映像として映し出せば、割といいアクションしてるんだけど

自分の描写力が足りなかった。惜しい。



ちなみに、本来のツキノワグマはこんなに弱くありません。普通なら瞬殺の瞬殺もいい所です。じゃあなんで戦えてるかって?


別の何かに力を割く必要があったから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 考察する余地は欲しい 考察・朔月は物事の始まりという意味を持つらしいから、深化して深淵へと近づくごとに形態変化して最後には望月になるのかな。 弓月ノ神獣はアルテミスに何か関係があるのか知り…
[一言] 何故にツキノワグマ?ヒグマなら大きさも強さもわかりわかりやすくヤバイのに… 北海道人にとってツキノワグマは微妙でしかない…
[一言] まあ封印に力割いてたとかそんな辺りでしょ 山汚染でもされてるんか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ