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0話 アーフィリア・コズモス

 

「テストが終わったからといって羽目を外しすぎないようにしなさい。復習もしっかりやること。私からは以上、また明日会いましょう。山田、号令」


  山田の号令も待たず起立すると同時に教室を出る生徒がいる。普段であれば何か言うであろう先生はそれを見送りながらも特に何も言わない。今日がどういう日か知っているからだろう。


 ……まぁ、その生徒って俺のことなんですけど。っし下駄箱一番乗り!


  テストが終わった今俺を縛るものはない!俺は自由という名の翼を手に入れた。いざゆかん!アーフィリア・コズモス!


  アーフィリア・コズモス1週間前に世界初となるVRMMOがついに発売された。その注目度に反して初回ロッドは1万本。すべてのゲーマーそして普段はゲームをやらない人からも応募が殺到しとんでもないことになった抽選倍率を潜り抜け……いや、横を素通りして俺は手に入れることができていた。おっと、別にずるとかじゃないぞ?友人に貰っただけで。


 それにしても運がないよな、まさかテスト1週間前にサービス開始なんてさ。もう少しで夏休みなんだからそれまで待ってくれればいいのに。まぁ、わかってるよ?アクセス集中を避けるために早めに出したって。ってなわけですでにスタートダッシュに遅れてはいるがその遅れを取り返すためにも、というか早くやりたいから急いで帰らねば。良い子は学校では知っちゃだめだぞ?約束だ。悪い子は先生に怒られてください。

 

「はぁはぁ、いやぁ出遅れちゃったよ、コーラったら出るの早いからさ。少しくらい待ってくれてもいいじゃないか」


  息を少し乱しながらも俺追いかけてきて話しかけてきたこいつ、いつもは女子に追われる側である爽やかな(ガワ)をしている男……幼なじみの河飯悠里(かわいいゆうり)が文句を言ってくるが……


「っへ、文句を言われる筋合いはないな。どうせ女子に話しかけられてたんだろ?」


「まぁそうなんだけどさ、今更そんなに急いでも出遅れたことに変わらないでしょ?」


「それもそうだが……そういや、お前どっちでやるんだ?」


「女でやるつもり……というか女でやらないと荒れかねないから」


「くっ、俺があんなことを勧めたからこんなことに!」


  ほんとうに申し訳ないと思ってる、まさか友人が()()()になることにハマる何て……

 

 河飯悠里(かわいいゆうり)、学校では俺の親友でその爽やかな行けてる顔を生かし女の子をたぶらかす……実際にはたぶらかしていないかもしれないが、まぁ女子と縁がない俺からしたら敵でもある。だが、そんな彼はネット上では大人気のかわいい女の子である。というのにもマリアナ海溝より深い事情がある。昔俺が気まぐれでやらせたVtuberそれも女の子のアバター、いわゆるバ美肉で配信させたところちょっと抜けているところや素でかわいい言動をすると事がかわいいと瞬く間に人気配信者となった。本当に申し訳ない。でもまぁ本人は認めないがゆーり自身もかわいいと言われていることに喜んでいるみたいだしゆるしてくれるはず。


「えっと、当分の間は一緒にやらないんだよね?」


「その方が面白いだろ?PvPイベントとかもあるかもしれないしな、先生にもそう言ってあるし。」


「そうだね……イベントがあったら絶対負けないから!」


  そう言ってふんすっと気合を入れるが……うーん、ナチュラル可愛い。こいつはどうしてこう爽やかイケメンで行動がかわいいのか。そういうところが人気出るんだろうな。だが、リアルでは負けててもゲームでは勝つ。

 

  「お?言うじゃん、絶対俺が勝つ。それまで誰にも負けんなよ?」




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




  「確認!トイレ、行った!水、飲んだ!飯、ほどほどに食った!よしっいざ参る!ログイン!」



『ログインシークエンス……実行……異常なし…………ようこそ、アーフィリア・コズモスへ。異世界で生まれし旅人よ、あなたが訪れるは新たな世界。故に新たなる人生を歩むことができるでしょう。旅人よあなたの望む選択をしなさい』


「キャラメイクか、いいねぇゲームを始める前のこの瞬間がいちばん楽しい説あるな」


  全身緑色とか目の位置が鼻の横みたいな変なことは出来ないようになっているのか。お、現実の体を参考に出来るみたいだな。リアルで小さいのに大きなアバターにすると思考と動きのズレが出るみたいだし体は現実のものでいいな。身長160cm……いや、盛るのはやめておこう。虚栄ってとても虚しくなる時があるし……ね。


「そういや、あいつ女アバターにするって言ってたし大変そうだな。リアルだと身長高いけど、女の子のアバターはどうせいつもの小さいやつだろうし」


  ゆーりの事は置いといて、顔はどうするかなぁ顔バレしないように()()()()()ですこしイケメンにするか……よし、こんなもんかな。


「次は、職業か……何があるんだ?えっと、うーん……いっぱいある」


  これ、何十種類あるんだ?賭博師(ギャンブラー)とかファンタジーに似つかない……いや、定番ではあるのか?ドラ〇エでも恒例だし。


『ふあぁ~』


「ん?」


『どうかなさいましたか?』


「いや、今あくびし『してません』」


「でも、確かに『してません』」


「あ、気のせいデシタ」


  ごほん、それにしても職業がこんなにあると悩むな、折角なら魔法を使ってみたいし、ネタ職業で楽しむのも面白そうだ。双剣士とかもいいよなぁ。でも、実際に使えるかわからないし一回体になじむかどうか試したいなぁ。いや、待てよ?やけに高度なAIだし、もしかすると……


「あの、ちょっと色々試したり、後から決めたりできませんかね?」


『そうですね…………案山子くらいであれば出すことが出来るためこちらで試すことも一応可能ですが、あとから……具体的には、街にある教会や叱るべき場所で職業に着くことも出来ます』


 お、まじか。言ってみるもんだな。


「なるほど、じゃあ職業は後から変えます」


『かしこまりました。それでは、ステータスも後ほど振りましょうか?』


「はい、お願いします」


 まぁそうだよな。今ステータス攻撃寄りに振ってやっぱ魔法使いやりたいってなったらあとから職業変える意味ないもんな。


『職業、ステータスを設定していないあなたは一般人と同じくらいの力しかありません。お気をつけ下さい』

 

  ふむふむ。


『それでは、新たな世界での人生と選択をお楽しみください』

 




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「おぉ、これが…………いや、、、すご!」


  目前に広がるのは中世ヨーロッパのようなこれぞファンタジーと言うような街並み。肌に感じるのは心地のいい風、そして風の乗ってものすごくいい匂いが漂ってくる。

  一言でいうなら、現実がそこにあった。もちろん街並みもとてもすごいがそれ以上にグラフィックの高さがやばい。


「新技術だとは言ってたけどすごいなこれ。ま、どうせ戦いには行けないしとりあえず街を探索してみるか」


「おぉ、すげぇ」「よっしゃ、モンスターはどこだ!」「まずはギルド行くか」「殺す、とにかく殺す!」「らっしゃい!らっしゃい!旅人さん方、串焼き1本100ルーンだよ。」「知らない町だ」


  他のプレイヤーも驚きの声を挙げながらそれぞれ自らの行きたいところに行くようだ。事前情報も多く出ていたから明確な目的をもって動く人が多いな。俺は事前情報ほぼほぼ入れないでいたからとりあえず探索するしかないし、お金がこっちではルーンということもお金の価値が円とほぼ同じという事も今知ったけど。


 ん?あれは……


「きゃっ」


「おっとセーフ、大丈夫?」

 

 NPCだと思われる幼女が人ごみに押し出され転びそうになったところをすんでのところで支える。


「あ、うん!ありがとうお兄ちゃん!」


 コミケでも幼い子が人ごみでけがをした事件なんかがあるみたいだし、コミケと同等の賑わいを見せているこの広場は危ないな。行く場所もないし手を貸すかな。


「ここら辺は人が多くて危ないから安全なところまで一緒に行こうか。」


「いいの?」


「あぁ、どうせやることもないしな」

 

「ありがとう!私、エミリー!あなたは?」


「俺は()()()旅人だよ。とりあえず人がいないところに避難しようか」

 

 狭い中走って行ったプレイヤーにぶつかり、危うく倒れそうになった女の子を改めてしっかりと見てみるが……うん、頭の上に名前が無いからNPCなんだろうけど、すごい技術だなNPCだとは到底思えない。


「エミリーちゃんはなぜここに?」


「えっと、なんか騒がしかったからお祭りやってるのかなぁって見に来たんだ」


「そうだったんだね、だれか大人の人と来たの?」


「ううん、一人!お母さんはおうちから出れないしお父さんは働いて、っきゃ!」


「大丈夫?ったく街中でしかもこんな人混みで走るなよ。ゲームだからとはいえ常識のないやつだな。人混みから早く抜けないと……」


 えっと、人混みがいないところは……どこだ?あれ、案内しようにも道知らないなうん。


「……えっと、エミリーちゃんをお家まで送ってあげようと思ったんだけどごめん、お兄ちゃん迷子だったわ、道教えてくれる?」


「……お兄ちゃん。」


  うっ、幼女の哀れみの目が痛い……幼女の純粋な瞳が……。


「……羨ましい」





  うん、なんか聞こえたけどスルーします。






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