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狂気に飲まれるな

 オレは無言で引き金を引いた。近くに居る斎藤の兵士を撃った。


 パスッパスッパスッパスッパスッパスッパスッパスッパスッパスッ。


 サイレンサー付きで以前、狩りで使った時はこれでもうるさいと言われたがこの乱戦の怒号の中では誰もオレに気付かずただオレの付近の人がバタバタいきなり頭から血を流して倒れていく。その異変にいち早く気付いたのが竹中半兵衛だった。


 「あの男の周りが可笑しい。味方がどんどん倒れていっておる!これ以上の追撃は損害が大きい。退けぇ!」


 斎藤の兵士は引き出したがオレはもう状況が分からず、斎藤の兵を、竹中半兵衛を、歴史が変わっても良い。と思いながら必死で撃つ。

 ぱっと見で千吉さん、源蔵さんが息をしてないように見え、あと数人が倒れているが息はしてる様に見える。ぜってぇー許さないぞ。

 後一人で竹中半兵衛の周りに兵が居なくなる。後一発ってところで制約がある20秒が来て引き金を引いても弾が出なくなった。


 「くそくそくそくそっ!!!!!!糞竹中!!!逃げるなぁぁぁぁぁぁ!!!!絶対お前は殺してやる!!!何が何でも殺してやるっっっっ!!!!」


 オレが狂気に飲まれている時、慶次さんが駆け寄ってきてグーパンチを貰い我に返った。


 「剣城ぃぃ!!!狂気に飲まれるな!!!それに最初言った事も忘れたかッ!!!!!!!俺は最初、何て言った!!?前に出過ぎるなと言っておろうが!!!お前の為に来てくれたこの漢達を見よ!!!」


 「剣城様!お戻り下さい!これ以上はこちらも損害が多過ぎます」


 「ああ・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ─────」


 人の生き死にを間近で感じ現代では味わう事がない感情。見る事のない刺し傷。感じる事のない敵意。

 オレは気が付くと思いっきり泣いて思いっきり吐いた。その後木下さん達が来てオレは気が付くと城に帰っていた。どうやって帰ったかも分からない。村の人達も城下に来て八兵衛村長に声を掛けられた。


 「剣城がワシらの村に来てワシら村の皆と知り合って今も村を発展させようとしてくれてワシらは剣城を誇りに思う。亡くなった千吉と源蔵は残念だが戦とはこんなもんだ。

 千吉も源蔵も木下様の弟様が来た時、剣城を助ける為に1番に駆け出したんだぞ?『剣城に恩を返せる時がきた』って」


 「死んだら意味が無いでしょう!!!!またこれからもっともっと村を発展させて皆でバーベキューしようと約束したのに・・・約束したのに・・・。オレが動けなかったせいで・・・」


 「本当に死んだ事は残念だが二人の顔を見てみろ。千吉は食いしん坊だったから少し肉が食いたそうな顔はしてるが源蔵も苦しい顔はしてない。後悔はしてないって事だ」


 「ちょっとよろしいかな?」


 「あっ、沢彦さんどうも」


 「拙僧は戦は嫌いだ。嫌いじゃがワシは信長殿が武を以て日の本を制すのが一番の天下泰平の近道じゃと思うて色々教えた。

 織田の兵も農民も斎藤の兵も農民も死ねば皆同じ平等じゃ。悲しむ事は結構。

 生前のその者の人徳で悲しむ者が多いか少ないかだ。

 ただ悲しみ怒りに暮れ復讐の道に進む事は、狂気に飲まれ負の連鎖が生まれる。

 斎藤の兵にも家族が居るだろう。向こうは向こうでこちらを憎むであろう。じゃが仇討ちまで考えてはいかん」


 なんでオレの考えてる事分かったんだ?未来装備バリバリで、オレ一人で竹中半兵衛を襲ってやろうとしたのに・・・・。


  「眼を見れば分かる。信長殿も昔そうじゃった。どうしても仇討ちをしたいと言うなら拙僧に止める権利は無いから好きにすればよろしい。

 じゃが、終わりなき殺し合いの螺旋が続くと心得よ。未来がどうかは拙僧は分からぬが今は戦国の世ぞ」


 オレは周りを見渡す。怪我をしてる人、無事帰れて安堵してる人、オレと似た狂気に落ちそうになってる人、そして心配してオレを見てくれてる人。


 「剣城様、申し訳ございません。私が矢になんか当たらなかったらこんな事に・・・。それに剣城様が開発してる村の人がたまに言ってるバーベキューとやらを私も食べてみとうございます」


 普段ポーカーフェイス・・いや、性格までポーカーフェイスのお菊さんにまで気を遣われてしまっている。それにバーベキューは食べ物じゃない件。


 いつか竹中半兵衛は織田に来る筈だ。殺しはしないが一発だけ殴ってやる!!!糞が!!千吉さん、源蔵さん、マジでごめん!!オレが家族の人、面倒見るから!絶対に!!!

新加納口の戦い 1561年 12月


概要


織田家対斎藤家の戦い。美濃攻略を急ぐ織田信長は正月前に織田家家臣、芝田剣城(生年月日死没不詳)が開発した装備を持ち約6000人にて進軍。迎えるは斎藤家約3500人。

家臣 竹中半兵衛が指揮を持ち両軍は加納の地にて開戦する。当初は新しい装備に織田軍優勢かと思われたが斎藤家の竹中半兵衛の策に嵌り敗戦濃厚となる。

そして本来、城番だった木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)の奇策を以て危機を脱したと言われている。この戦の資料は信長公記に記載がなく、織田信長の事蹟を編年的に叙述した戦記「総見記」1685年(貞享2)ごろに完成(著者 遠山信春)に書かれているのみである。



エピソード


・織田軍劣勢の一報を聞いた木下藤吉郎は弟、木下秀長と藤吉郎と昔から仲の良い川並衆の奇策により信長を救ったとされている。その中の記述で芝田剣城が開発した消えない火を兵に持たして行軍し複数の兵の援軍が来たと錯覚させたと言われている。ただ何人かの負傷者、死亡者が出たのも事実である。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] 消えない火というより、燃えない火、当時の人にはどちらも似たようなもの? [一言] 20人程度で撤退?と思ったが100人程度で1/5殺られたらにげるね。 半兵衛はワンパンで済むのか?
[良い点] 剣城サンがダークサイドに落ちなくてよかったですね。 [気になる点] 今後竹中半兵衛との確執は、どんな形になるか判りませんが間違いなくおきるでしょうね。 剣城にも軍師か補佐が必要になる時期に…
[一言] あ~~相良油田は牧之原で御前崎より静岡(今川館)寄りでこの時今川側で三方原の戦いが終わり長篠の合戦後に徳川なんで相良油田はいくらなんでも無理無理だよ~。
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