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 金の切れ目が縁の切れ目だから、と言われたことがある。何とも悲しい言葉だ、金があるから縁が続くのか、拝金主義もはなはだしい、その程度のものなのか、こっちはその言葉にがっかりした。どの面さげて言ってんだか、鏡を見せてやりたいね。薄情者とは正にこのことであり、私とは真逆の存在だ、一緒にしないでいただきたい。金は大事だ、それは認める。だが、全てではない。金は時に幻覚を見せてくる、その幻覚が現実だと履き違えてはならない。金の切れ目が縁の切れ目、って、金と縁は種類が違うんだよ。比べることはできない。にもかかわらず、金がないから縁を切るとは、とても薄情だと思う。自分が薄情者ですと大っぴらに言っているようなものだ、恥だ。そんな人間だったのか、心底がっかりした。無視に値する存在だ。人生の美しさは換金できないのだぞ。穢れている自分を大人扱いして清い存在を子供とみなす、その傲慢さよ。こっちが子供なのではない、そっちが汚らしいだけだ、勘違いするな。寄ってこないでくれ、虫唾が走る。こっちが友人だと思っていてもそっちが友人だと思っていないのならそれは友人関係ではないということになる。薄情者が多すぎるのだ、人間とは案外大勢において薄情なものなのかもしれない。気持ち悪い。薄情者は気持ち悪い。いけしゃあしゃあと弱者を踏みにじりながら生きていて、自覚がないのだから始末が悪い。人生の勝者、なんて言うけど、勝つことがそんなに大切なのかね。なんでも勝ち負けに換算して考える、それは単細胞の考え方なのだよ。勝ち負けなどにこだわりたくない、だが、この社会で生きている以上、戦わずに、勝負せずにいることはできない、ここにジレンマがある。その金は、その稼ぎは自分ではない他のあの人も欲しいものであり、金は特定されないのだから誰のものでもない、法の下の平等、全員が等しく主権者である以上、その稼ぎをちょうだいするのは、なにもあなたでなければならない法はないわけで、資本主義の自由競争ではあなたからその地位と稼ぎとを奪うのも認められているのだ、あなたとしては戦わざるを得ないだろう。それが嫌ならその金を欲しがるあの人にあなたの持っている金を差し出すしかない。ああ、嫌だ。むやみやたらに戦うのは嫌だ。人間の本能とは、きっと元来戦いを避けるものに違いない。戦いたくないのに戦わざるを得ない、なんて、悲しい事実だ。人は争う。欲があるから。欲を無くすことはできない。工夫して上手く折り合いをつけて生きていくしかない。だがしかし、人間は、その欲のためなら他人を犠牲にすることもできるのだ、そういうものなのだ。気を付けなければならない、私は、欲望の螺旋に巻き込まれたくない、巻き込まれるくらいなら無欲でいたい、そんなことはできないのだろうが。私とて生きている、人生を歩んでいる、欲と、無関係、なんて、できやしない。せめて、欲に打ち負かされないようにしたい。欲のために他人を裏切ったり嘘を平気でついたり、したくないのだ。これは私の美学だ。美しく生きていきたい、醜いのは嫌だ。美しさの中にこそ、永遠があるのかもしれないではないか、永遠とは、人間が憧れるものの一つだ、私はそれが欲しいのだよ。欲しがらなければわからないだろう。だから欲しがったのだ。見せかけだけの、平和なんて、私は、いらない。

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