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 ここは広い。かつ、開けた場所だ。何でもできる、何でも言える。自由を謳歌するにはもってこいの場所だ。窓の外を引っ掴んで持ってくるとはここでの活動を指すのではないかと感じるが、どうだろうか。だがしかし、だからといって、何でもできるからといって、何をしても許されるわけではない。その線引きはしっかりしないと、手痛いしっぺ返しを食らうことになる。そう。よく言われることである、自由には、責任が伴うと考えて差し支えない。自由。人間が憧れる概念の一つだ。自由になれない、囚われるというのは、悲惨なのだ。心に翼を与えて、自由に羽ばたけと命じてみるがいい。心はきっと、あなたを見捨てるような真似はしないだろう。イカロスは、その翼でもって太陽を目指したのだろうか。それによって墜落したのだろうか。大いなる恵みをもたらす太陽を目指すなんて、粋なもんだ。彼は何故、太陽を目指したのか。勇者に乾杯、といきたいところだ。死んでは何にもならないがね。鳥になってみたい。鳥になって、大空を、飛び回ってみたい。人間は、縛られる生き物に違いないのだ。社会に、家族に、生活に、人間は、縛られるのだ。そして自由の意味を見失う。自由という名の甘い果実が、いつの頃からか、とれなくなってしまう。今一度、胸に手を当てて、考えてみる。自由はどこにある、と。見つかればいい。今のところは、今この場所、ここにのみ、完全とまではいかないまでも、自由が存在する。私の、悪く言うと、私の勝手なのである。何を書こうが、何を示そうが。しかし、しかしだ。何を書いてもいいとなると、逆に、何も書けなくなったりする。自由とは、実は、使いこなすことが難しい。一見単純に、簡単そうに見えるが、それが、言うなれば自由の罠、といったものだろうか、はまってしまうと深く落ち込むことになりかねない。落ち込まないように、心を、頭を、制御する必要がある。この身一つなのだ。自愛せねば誰が尊重してくれるというのかね。だいたい、人間という生き物は、かつてはそうでなかったにせよ、少なくとも今の段階では、醜い。成功して見返してやりたい、なんて、浅はかだ。我々人間は、他者に勝つために日々生き長らえているのか。断じて違う。人生における勝利とは、誰それが誰それより優れている、だからあいつは勝っている、とか、そういうものではない。正義とは、密やかなものなのだ。名も無いところに佇んでいる、それが正義だ。驕らず、高ぶらない。あなたの人生を、上辺だけの勝利に費やしてはならない。私は反対する。比べることが全てではない。そこにあるのは一時の優越感、その後の虚しさのみ。虚無の中身は虚無なのだよ。愛をもって、あなたのそばにいる人に感謝しよう。その人と共に、天の衣を編み上げよう。奇跡は、何度でも起こせる。やり直すことができるのだよ。昔の偉い人はこう言った、過ちを過ちとしないことこそが過ちなのだ、と。自分を省みることは、決して、恥ずかしいことではない。やるなら今だ。今この時、は、掴むことができない。時間とは未来と過去に大別される。今この時この瞬間。人間は、何度でも生まれ変わることができる。信じて踏み出してみるんだ。本当の敵はあいつではない、己の中に潜む悪魔だ。サタンには、誰だってなりうるんだ。悪への道は、案外平等に開かれている、その道の先にはサタンがいて、迷い込んだあなたを自分の仲間にしようと舌舐めずりして待ち構えている。気をしっかり持つんだ、悪に魅入られたあなたを誰が見たいと思うだろう。可哀想な犠牲者たちの、その列に加わってはいけない。あらゆる罠を見抜こうと、努めるんだ。私とて、サタンにならないとは限らない。未来は誰にもわからない。危機感を持つことなのだよ、大事なことはね。自分は大丈夫だ、と、早合点してはいけない、それこそサタンの思う壺である。サタンは巧みに矛盾を突いてくる。精神心理的に、あなたを打ち負かそうと、実は躍起になっていたりする。そうは見えないものなのだ。そうは見せていないからね。サタンは嘘が上手い。嘘をつく、という、醜い行為を醜いとは思っていない、それがサタンだ。決して心を許してはならない。ただ、あの人がサタンだ、と、一方的に決めつけるのもいけない、あの人がサタンであるとは限らないからだ、何せ、顔にサタンだと書いているわけではないからね。識別が難しいのだ、サタンか否か、は。隠れるのが巧みだし、サタンは自分で自分をサタンだとは思ってない場合も多い。他人とは距離を置くことだね、それが、いわゆる安全牌だ、傷つく恐れがない。サタンを発見しても、絶対にサタンであることを指摘してはならない、悪の前に裸で躍り出るようなものだ、攻撃してくださいという意味になるぞ。目を光らせ、耳を澄まし、心で感じる。悪を除外し、善を迎える。悪いことは言わない。善を愛するあなたであれ。愛しい人を守りたいのなら、喜んで盾になろう。あなたの存在は不変のものとなり、愛しい人の心の中で生き続けることとなるだろう。

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