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できもしないことをしようとしているのだとすると、私はとてもマヌケな存在であるということになる。信じるしかない。できると信じるしかない。信じるしかないのだが、大きな不安が心内にあることを認めないわけにはいかない。一寸先は闇。そこには落とし穴があるのかもしれない。しかし、進むしかない。後戻りはできない。時計は先にしか進まず、その針が逆に進むことはあり得ないからだ。時の流れに逆らうことは、可能ではないのだ。従順であらねばならぬ。奴隷のように、ではない、しもべのように従順に、ということだ。従うことの、美しさ。きっぷがいい。爽やかな風が吹く。肉のよろこびとはまた違う。人生の旨みはそこにこそあるのではないか。醜い行為を習慣づけたくはない、美しい行為をこそ、人間は、迎え入れるべきなのだ! ある人は言う、なぜそんなことが言えるのだ、と。お前の勘違いなのではないのか、と。しゃらくさい。この胸の熱さはここにしかないではないか! それが証拠でなくて何になるんだ! 美しさとは、いつも、良縁でいたい。美しさに嫌われたくはない。偽善はきっと、美しさの好みではない。だから、私は、偽善を捨て去る。少なくともこの場所においては。本音と建前、生活していく上では、時に建前を使わねばならない、本音だけでは生きていくことができない。そうであるし、ここにおいてだけは、本音を、本音だけを綴っていくことを、どうか、許して欲しい。唯一無二、絶対の存在がこの世にあるのなら、その存在が人の形をしているのなら、私は許しを乞う。悪かったのは、私です。どうか、許していただきたい、と。それは答えて言う、本心なのか、と。本心とは何なのか、嘘と真、ああ、嫌だ。嘘は嫌だ。醜い。醜い行為はもうまっぴらだ、人間とは本来美しい存在なのだ。きっと、そうだったに違いない。はるか昔は。昔と今と、人間のあらゆる本質が違ってしまっているのか。いや、元々のところは、同じに違いない。獲物が金に変わっているだけで、その社会的形態は大して変わらなかったりするんだ。獲れる男が勝利し、結婚できる。そして子孫を残せる。連綿と続く歴史の中で、変わらないものの一つが、人間は子供を作る、ということだ。醜い。何と醜いことか。子を残したい、これは、欲望だ。欲望のために生きているのか。なんとさもしい。自ら堕落するなんて、なんと人間の腐ったことか。子孫を残したい、というのは、欲望なのだ。理想は、そんな欲は捨て去ってしまえ、ということになる。私にもその欲はある。時に支配されてしまう。わかっていても、だ。自分の弱さに辟易する。子孫を残す、ということは、みんながみんな持っている欲だから正当化されがちだが、あくまで欲である。子供を残すためなら、人間は人間を裏切り、また、人間は人間を奈落の底に突き落としもするのだ。人間は人間を、子のために殺すのだ。それが醜いのだ。その罪は、裁かれない限り免れることはできない。みんながしてるから悪くない、では、断じてない。悪いこと、なのだ。人間が定める法だけがこの世界を、現世を支配しているのではない。天の法というものがある。人間には容易には理解できないことわりがある。我々人間は、生きているのではない。生かされているのだ。従順は、美しい。謙遜は、美しい。美しい存在は、素晴らしい。