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02

 足元には丈の短い草が広がっていて、遠くまで見渡すことがてまきるのだがヒトが住んでいそうな場所は見当たらない。


「ふむ。あっちか?」


 だけど俺には風魔法があるから問題ない。あいつ等は便利魔法と侮っていたけど、俺は風魔法の気配察知で街の方角に当たりをつけることができるのだから。


 ただ、特に狙いも定めずに適当に天界から降りてきたからここがどこなのか俺にはわからん。そもそも最近眠りから覚めたばかりで国の名前など知らんしどこに行けば栄えているかもわからん。


「まあ、どこだろうと俺が活躍することは変わらんけどな」


 なんせ今の俺は非常に気分がいいのだ。

 あいつ等の言葉にはうんざりしたが、それでも俺が天界を飛び出した時の驚いた顔と言ったら思い出しただけで笑えてくる。


「くっくっく。水神の間抜け面が忘れられんぜ」


 くっくっく…………?

 そういえば他の奴は驚いてたか?

 氷神と雷神のあれは驚いているという顔なのか?


 いかんいかん。

 あいつ等との会話を思い出したらまた無性に腹が立ってきた。


 その苛立ちを振り払おうと思って辺りを見渡し、俺はとある気配を感知した。


「おっ。ちょうどいいところに獲物がいるじゃねぇか」


 俺ほどの風の使い手になれば気配だけで遠くの魔物を捉えことができる。なんならそいつが今からなにをしようとしているかすら感じとれる。


 とりあえず見つけた獲物はペグマンティスだな。人と同サイズのカマキリ型の魔物だ。


 普通の人間なら目に見えるのがやっとの距離だろうが俺の気配察知なら余裕だ。まぁ、俺の目にもあんまりはっきり見えてないが。


「地上で普通の魔法を使うのも久しぶりだな。――スラッシュ」

 シュパン

『ーービギュ』


 目視では確認できていないが手応えがあった。もちろん今の魔法だって本気じゃないが、地上でも俺の風魔法は問題なく使えることがわかって少しだけ安心した。


「なにが便利魔法だ。俺が本当の風魔法を見せつけてやるよ」


 よし、当面の目標は決めた。

 まずは風魔法の素晴らしさを地上の者に見せつけてやる。


 それから酒をたらふく飲んで、あとは楽しいことをいっぱいする。


「はは。こりゃ幸先が良さそうだ」


 気分をよくした俺は草原を歩き続けた。




◇◇◇◇



「へへ。こんなところを一人で歩いてるなんて馬鹿か?」

「ははっ! こいつびびって悲鳴すらあげらんねぇでやんの!」

「お前がのこのこ歩いてきてたのは俺の風魔法のおかげでバレバレなんだよ。あきらめて金目のもんは全部置いていきな」


(……殺す。殺す殺す殺す。こいつ等が俺の信者じゃなかったら速攻で殺してやりたい!)



 はぁー!?

 ふざけんな!


 お前等の気配なんてお前等が気がつくずっと前から気づいてたわボケー!


 それでもこの林から人の気配がしたからわざわざ俺様から近づいてやったのに何ふざけた事言ってんだ!


 しかもなんだその格好!?


 盗賊か!?

 そうなのか!?

 ふざけんな!

 お前等みたいなのがいるから俺の信者がまとめて馬鹿にされんだよ!



「おい、いつまで固まってんだ。さっさと金を出せ」

「俺等もそんなに気は長くねぇぞ〜?」

「お前が死んだところで魔物に殺られたってことになるだけだしな」



「……地に伏せろ。プレス」

「「「あ? あがぁ!」」」


 こいつ等には教育が必要だ。

 風の信者としての正しい立ち振る舞いが。

 さらに風魔法の真の使い方も。


「そして、俺への接し方もな」

「ひぃ〜、待て、やめろ! 頼むからこの訳のわからん魔法をさっさとどけてくれ!」

「訳のわからん魔法だと? これはエアプレスという列記とした風魔法だ。お前等程度では指一本動かせんがな」

「そんな!? こんな風魔法を俺達は知らねぇ! すまなかった! だから早くこの魔法を解いてくれ!」



 情けない。

 傷つけられているわけでもないのにぎゃあぎゃあ騒ぎやがって。


 それに地に伏せさせているがいっこうに気が収まらん。そもそもなんでこんな奴等が俺の信者なんだ?


 必要か?

 こんなクズが。


「……やっぱり殺すか」

「!? た、頼む! なんでもするから!」

「……エアインパクト」


 ドバーーーーン


「はぁ、やれやれ。俺が優しい神でよかったな。だがまた同じような事をしているのを見つけたら今度は殺すぞ」

「「「…………」」」


 返事がないと思ったら、盗賊共は根性を見せることもなく地面に埋もれて気を失っていた。


「まぁ、たまたまだろ。たまには風の信者にもこういう奴はいる。それに火の信者だろうと水の信者だろうとこういう輩は一定数はいる」


 俺は自分に言い聞かせるように何度も頷いた。


 うんうん。

 あるある。

 たまたまだ。

 よし、忘れよう。

 次は立派な俺の信者が現れてくれるはずだ。


 そして俺は前向きに歩きだした。


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