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トライ・トライ 異世界でイケメンドエスな俺様貴族に拾ってもらいました  作者: リィズ・ブランディシュカ
第1章 チヨ、拾われる
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09 セカンドデンジャーイベント終了



 一呼吸ついていると、逃げたはずの子供たちがやってきます。


 その中で一際目つきのきつい男の子が、「仲間を助けてくれてありがとよ」とお礼を言ってくれました。


「一文無しの姉ちゃんには悪いけど、豪華な恩返しなんてできねぇからな。これだけで我慢しろよ!」


 その男の子は、チェイス君と言うみたい。


 名前を名乗って、小さな袋と何か硬いものを私に渡して、去っていきました。


 ちなみに捕まっていた女の子はチェルシーちゃんです。


 かっこよくてかわいいお名前さんたちですね。


 さてはてチェイス君は一体、何をくれたのでしょう。


 どんなものでも、今の私は何も持ってない状態ですから、一応くれたのなら有り難いと思いますけども。


 まず袋を開けてみます。


 ださがさ。


 なんでしょうね。


 白い粉です。


 匂いを嗅いでみたら、刺激臭が。


 うっ、気持ち悪いし、喉がつんとしますし、鼻水がでてきそうです。


 わずかに香辛料っぽい匂いがするので、どこかの料理の店からでたゴミなのかな。


 それでもう一つの硬い方は、なんと拳銃でした。


 ぶ、武器です。


「ふぁああああっ!?」


 思わずびっくりして、落っことしてしまうところでした。


 これ、ほ、本物なんですかね?


 テレビとかでしか見たことないやつですよ!


 使うつもりはありませんけど、貰い物を捨てるのも申し訳ないですし。誰かが拾って悪用するのも困ります。


 ど、どうしましょうか。


 私はひとしきり、オロオロ。


 でも、すぐにそれどころではないと気が付きました。


 遠くから、なんだか色々な足音が聞こえてくるのですが。


(あうう、すっごく嫌な予感がするよう)


「お客様を探せー。まだこの辺りにいるはずだ!」

「浮浪児とつるんでるガキを探せ。見つけたら俺に知らせろ! 俺をなめた事後悔させてやる!」


 追ってが二倍で、デンジャー200パーセントです!!


 こ、これはまずいです。


 本格的にやばいです!


 早くここから離れなくちゃ!


 あわあわしている私は、移動しようとしたけど、悲しい事に私には運がありませんでした。


「見つけたぞ! さっきはよくもやってくれたな!」


 追い付かれたのは警察さん!


 エフさんの方でしたらまだ安全と希望がありましたのに!


「あ、あうあう。その、見逃して下さいぃ」

「できるわけねぇだろ。ぼこぼこにしてやる!」


 ひいっ。

 暴力反対!


 私はとっさに、小さな袋に入っていた粉をまき散らそうとしました。


 でも、風向きが味方しませんでした!


 びゅうっとこっちに風が吹きつけてきます。


「うっ、げほげほっ。目がしみますううう! 喉が痛いですうう!」


 こっちに粉が全部やってきましたね。


 おかげで私は大惨事です。


「何やってんだこのガキ」


 警察さんの憐れむような声が、地味に心に痛いです。


 今ので、敵対心をなくしてくれたら良かったのですが、そうはいかなかったみたい。


「はっ言い様だな。そのまま大人しくしてろ。すぐ捕まえてやる!」


 こっちにじりじりと近づいてきますっ。


 私はとっさに拳銃らしきものを構えますが、やってみてびっくり。


 何をするつもりなんですか私!


 そんなもの撃ったら死んじゃいますよ! 人が!


 慌てておろそうとしましたが、緊張で体がうまく動きません。


「ほう、やる気か? 一体そんなもん、どこで拾って来たんだか。ならこっちも痛い目みせてやる!」


 拳銃らしきものを懐から出そうとしてます!


 あわわわわ、どんどん状況が混沌&物騒な方に!


(誰か助けてぇくださあああい)


 しょぼしょぼになった目から涙を流しながら、心からも涙を流します。


 目に香辛料がしみて、眼鏡キャラが眼鏡をとった時の「3 3」みたいな有り様になってますよ!


 こんな時、ヒーローみたいな人が助けに来てくれたら、いいのに。


 現実はそうはいかないですよねっ。


 香辛料の影響か、パンパンにはれてきた瞼で視界はぼんやり。


 喉もいがいがで、声も出ずらくなってきました。


 耳に粉が多くかかったのか、かゆくなって、腫れて、ちょっと音とかも聞こえずらいですっ。


 だけど、そんな私に背後から誰かが近づいてくる気配。


「ほう、面白い事をやってる人間がいたもんだ。どれ、ちょっと手助けしてやろう」


 自信満々にそういったその人物は、私が振り返る間もなく、行動。


 背後から私の拳銃を掴んで、なんとぶっ放してしまいました。


 ばーん!


 なななな、なんてことをしてるんですかっ。


 大層びっくりしていた私は、だけど警察さんがばったり倒れるだけなのを見て安堵しました。


 ぼんやりとした視界でしたけど、かろうじて血を流していないみたいです。


 拳銃さん、あなた玩具だったんですか。


 地面を何か丸いボールみたいなのが弾んでます。

 あれが弾だったのかな。


 驚かせないでくださいよ!


 私は、とりあえずお礼を言おうと振り返りましたが、声の主さんはもうどこにもいませんでした。


 変な人です。


 とりあえず、ぼうっとしてたら二の舞なので、早くここから逃げなくちゃ。


 でもこれで、もしもの時に警察さんとかに駆け込む選択肢、なくなっちゃいましたね。



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