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トライ・トライ 異世界でイケメンドエスな俺様貴族に拾ってもらいました  作者: リィズ・ブランディシュカ
第1章 チヨ、拾われる
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02 千代、拾われる



 ぜんぜん、人が通りません。

 それに、お腹がすきすぎて力が入りません。


 ぐぐぐーう!


 でもお腹の虫はすこぶる元気!!


 恥ずかしいです!


 思わず顔を覆いたくなりました。


(でも人が通らないから、恥ずかしがる必要ないですけどねっ!)


 自分で考えていて悲しくなってしまいました。


 ぶるぶるぶる。


 冷たい地面に体をずっと投げだしていたので、寒気がしてきます。


 このままじゃ、シャレにならないです。

 本当の本当にピンチみたいです。


 異世界転移した直後に、空腹で行き倒れ、そこから干物に直行。


 そんなの嫌です。

 ものすごく。

 乙女が辿って良い結末じゃないですよ。


(誰か助けてください!)


 叫びたいけど、声を張り上げるほどの元気が湧きません。


 あいかわらず地面と密着したまま。


 私は「ぐぐう」となるお腹を押さえながら立ち上がろうとしますが、足に力が入らなかったので、またすぐにばったり。


 心なしかお腹の虫まで元気がなくなってきたみたいです。


 うぅっ。


 私はこのまま、どこかも分からない所でのたれ死んでしまのでしょうか?

 千代(状態:ミイラ)に決定なんでしょうか?


「誰かぁ…」


 涙が出てきました。

 目がものすごく潤っています。

 ドライアイの人もビックリの乾燥しらず。

 湿度百パーセントです。


(こんなよく分からないところで、一人ぼっちなんて嫌です!誰か本当に助けて!)


 そのまましばらく絶望の未来予測に抵抗しながら涙していましたが、そこに人の気配が近づいてきます。


 まさか、誰かが気がついてくれたのでしょうか?


 視線を上げると、緑髪の、繊細そうな風貌の青年が目の前に立っていました。


「大丈夫かい? お嬢さん」


 曇りですが、宙から太陽の光が降り注いでいるかと思いました。

 その人の背後から光が差し込んでるように見えます。


「とても辛そうに見えるけど、平気?どこか痛い所は?何か嫌な事でもされたのかい?」


 こちらを心配そうに見つめているその人は、とても優しそうな雰囲気を纏った人です。


 見ているだけで、敵ではないという事が一目瞭然。


 安心して体の力が抜けてしまいます。


 私は何とか声を出そうとするけれど、うまくいきません。


「ーーっ」


 どうやら体力を使い果たしてしまったみたいです。


 そのせいで、喉が枯れ枯れ。


 思うように言葉を出す事ができませんでした。


 しかし、それでも何となくこちらの言いたい事が分かったのでしょうか。


「可哀想に、とても大変な目に遭ったんだね」


 その人は労わるような視線を向けてきます。


 その身なりの良さそうな人は、にっこり笑って私に手を出したしました。


(もしかして、助かったのかな?)


 天が味方をしてくれたんでしょうかっ?



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