****彼女を疲弊させているのは…****(14)
男女グループ交際の一件から数週間。
ようやく俺も天宮さんの
グループに馴染みつつある。
新学期明けこそ夏真っ盛りで
かんかん照りの日々が続いたが、
九月の下旬ともくれば初秋に入っていて
過ごしやすい気候が……ということは全くない。
暦の上では十二分に秋を迎えた
今日この頃でも残暑厳しく、
なんなら真夏の日差しが
置き去りにされているほどだ。
それでも日頃はクーラーの利いた、
むしろ寒すぎてセーターや
ジャケットを着込みたくなるくらいで、
登下校時との寒暖差に悩まされている。
学校の空調管理室に
温度設定というものはないのだろうか。
節約を唱えるならまずは
適切な温度設定を行ってほしいものだ。
――などと、
俺がこんなことで憤りを感じているのも
今日はそれが裏目に出る憎き体育祭だからだった。
「あっづーい……もう、体育祭いやー!!」
そう叫んだ彼女は日差しを遮る
パラソルの下でさえ、ぐったりしていた。
心なしか顔色も優れない。
「まあまあ立花さん、そう苛々しないで。
ほら、これでも飲んで。
スポドリだよ、
カロリーオフだから気にしなくていいから」
「助かるわ……」
天宮さんの膝を借りていた立花さんは
のろのろと上体を起こし、
スポーツドリンクを受け取る。
キャップを開けると、ごくごくと喉を鳴らし、
ミニサイズのそれを飲み干した。
「っふぅー。
それにしてもなんだって毎年毎年、
この時期は莫迦みたいに日照りが続くねん」
全くだ。
ちなみに汗を拭きながら、
こまめに日焼け止めを塗り直す
彼女はどうやら肌が敏感らしい。
日焼けをすると皮が剝ける体質だそうから、
聞いているだけで大変そうだ。
「うーん、そうだねー……
でも、もう少しで昼休憩になる
みたいだからがんばろ?」
「うん、そうやね! うちがんばるわ」
天宮さんの宥めるような甘い台詞と
よしよしですっかり元気を取り戻した
立花さんだったが、
もう午前のプログラムに
彼女の参加する種目はなかったし、
なんなら午後も
全員参加の棒倒しくらいしか参加しない。
彼女を疲弊させているのは
やっぱり夏に取り残されたこの暑さくらいだった。




