****ギャラクシーな球体****(11)
あの後立花さんからの猛ブーイングが起こり、
白紙になってしまうのかと思いきや
「ほのちゃんや柚子ちゃんも一緒なら、
怖くないかも……」という
鶴(天宮さん)の一声で
計画はすぐ実行に移されることとなった。
というのも、
それを言ったのが金曜で
翌日土曜日の全員の都合がついたからである。
「ユーズー。次、ユズの番だよ」
「あ、うん。今行くー」
神に呼ばれて俺は固いソファから腰を上げた。
階段一つ分の段差を登り、
見るからに派手やかで
ギャラクシーな球体に指を突っ込んだ
――まあ言うまでもなくボウリングの球である。
そいつを抱えて歩を進め、
流れるような所作で投球すると
それはごろんごろん言わせた後にピンを静かに、
しかし全て倒しきっていった。
「よっしゃ!」
思わずその場でガッツポーズを決め込むと、
「……っふ、柚子ちゃんて男勝りなんだね。
でも格好良かったよ」
天宮さんが手で口元を
覆い隠しながら破顔一笑する。
天使さえ思わせるような甘い笑顔だ。
――そう、
俺たちは金曜日に遊びを計画してから
二十四時間を待たないうちに
それを現在進行形で実行している。
コースは男子三人の独断で決定したが、
金銭的な問題が絡んでくるため、
コースは事前に伝えてある。
この計画のために
LINKグループさえ作ったほどまでした。
それにしても……。
「天宮さん、
今日の服装すっごく似合ってるね!」
俺は言うに合わせて、
さりげなく天宮さんの隣へと腰を下ろした。
「そ、そんなことないよ……!
私なんか、だし。でも、ありがと」
申し訳なさそうに手を振り、
天宮さんは礼儀のために微笑んだ。
シフォン素地で作られたブラウスは
首周りに折り返しがあり、
それには花柄の刺繍があしらわれている。
袖口も一部がきゅっと締められていて
その先はふわりと膨らみ、
手の甲を半分ほど覆い隠していた。
トップスに対してボトムスは
素朴な碧色のショートパンツだった。
ゆったりさとぴったりの差が
全体的な引き締め効果を生み出しており、
美脚効果まで発揮していた。
本当に可憐で胸が弾みすぎるあまり
鼻息を荒げそうなほどなのに。
彼女はお世辞と思って頑なに
この手の褒め言葉を信用しない。
謙虚すぎるのも考えものだ。




