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****夢ならばどれほど……****(2)


 目が覚めると異変が生じていた

 ――というのは幾度となく

 見聞きしてきたフレーズだろうが、

 敢えて言わせてもらいたい、


 ――俺は目が覚めると視界の隅に映った

 その光景に思わず目を見張った。


「あー、よく寝、たぁああっ!!?」


 その光景というのも、

 視界の端にぼんやりと映る己の身体のことだ。


 そこには、ふんわりとして

 だけれど確かに二つと数えられる程度の丘陵が並んでいる。


 俺は迷わずそれへと手を伸ばした。


 もにゅん。


 とにかく柔くて手に吸い付くかのごとく

 滑らかな感触が手に走った。


 ゴム鞠とはまた違った弾力と柔らかさがあり、

 ある意味揉み心地という点において

 こいつはゴム鞠を遥かに凌ぐと言える。


 もにゅもにゅもにゅ……。


「ふー、

 そろそろ心を落ち着かせて状況を整理しようか」


 俺は誰に言うでもなくそう呟くと

 さっと身を起こし、ベッドの淵に腰掛けた。


 座った状態から首下を見下ろすと、

 やっぱり身に異変が生じていることは確かだった。


 言うまでもなくふっくらした胸があるし、

 あったはずの一物は

 綺麗さっぱり消えてしまっている。


 しかし周囲を見回しても、

 ベッドやテーブル、エアコン、本棚と服箪笥、

 組み立て式の正電気こたつの配置は変化ない。


 時計の時刻は七時を示している。


 本当にいつも通りで部屋に変化はないようだ。


 環境が通常過ぎて、思わず安堵の息が漏れた。


 ……胸があるというのは

 幻覚か何かで俺はまだ寝ぼけているんじゃないだろうか。


 確かに寝ぼすけの俺が

 休日の七時ともいう早朝に起きているのは珍しい。


「そうじゃないかと思ってたんだよー

 はいはい夢オチねー」


 そうだ、

 ――いない歴=年齢の俺が見ている夢なんだ、これは。


 夢だと思うと何か考えるのもものぐさになって、

 俺は再びベッドへと身を落とした。


 昨夜、それも十時~深夜二時頃にかけて

 ギャルゲーをしていたのが良くなかったのだろう。


 今は八月中旬……

 しかし未終了の課題は山積みにしても、

 夏休みの真っ只中であることに変わりはない。


 そのせいで三大欲求の睡眠が不足し、

 妄想的幻想か夢に囚われてしまっている。


 それならば解決方法は一つ、寝ることだ。


 そう決め込み、

 俺は目蓋を閉じて安らかな眠りに就こうとした、 


 ――のだったが。






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