「――とある神の悪戯により彼は女体化させられてしまいました!」
「それではぁ……
閑楪の身体についてなんですが、
とある神の悪戯により
彼は女体化させられてしまいました!
――まあ言うまでもなく、
そのとある神というのはボクのことなんですけどねぇ……」
神と名乗るそいつはまだ話したりないらしく、
さきほどのような軽い調子で語りを続ける。
「というのも楪、
君は誰かに願われて
その姿になってしまったんですよぉ。
しかしボクとて神の端くれ、
同情心くらい持ち合わせています。
ですから、もし君が条件を達成できるなら
即時男に戻してあげてもいいわけですよ
――意味、分かりますか?」
神は
「ボクは女の子の願いなら叶える主義でしてねぇ」
と挑発的な笑みを浮かべ、唇に人差し指を添えた。
一方的に突き付けられた理不尽な要求。
分かるのは、
従わなければ男に戻る術はないということだ。
「…………」
敵わない、抗えない。
そういう畏怖を与えるには十分すぎる脅しだった。
ただ跪かずに平静を装うくらいしかできない。
「でもよ、
それはいくらなんでも理不尽すぎやしねーか?」
と、健志がそう言った。
そう言い返したのだ、俺の代わりに。
「おい健志お前っ――」
俺が止めるよりも先に神の気に触れてしまい、
神の手が振り下ろされて罰が下された。
「っっっっぅゔゔ……」
健志は股間を押さえ付けて
痛みに打ち拉がれているようだ。
それから休むこともなく悲痛な叫びを漏らしていた。
「おい健志、健志! 大丈夫か?」
健志の身体を仰向けにしてみると
俺は呻き声の正体に気付き、
笑いを堪えるのに必死になった。
「お、おい、たけ、健志……
だいじょう、ぶっ、かよ……んふっふっふっふっふ…………」
ダメだ堪えきれない。
だって健志の奴、
神に罰を下されたというのに
愉悦の色を顔になしているんだからな。
掠れるような声で
「あふ、あふぅぅ……ふへへへぇ////」とか
涎垂らしながら変態言葉まで漏らしているし。
「ま、まさかそんな……
ボクは確かに尿道カテーテルの二、三倍は
激痛の走るものを与えたというのに、
耐えられる者がいるだなんて…………」
これには堪らないと神も頭を抱えていた。
神も相手を間違えたな、
健志はドMの中でもほぼ最強の変態野郎なのだ。
「うへ、うへへへ……
ねえ、もっと濃いのは?
ちょうだいよ、ねえほらほらほらほらぁああ!!」
床に伏していたはずの健志が起き上がり、
狩りをするハイエナのごとき目で、
手の平サイズの神に標的を定める。




