愛してる
「ねぇお姉ちゃん!もうちょっと深い所まで行こうよ!」
「うん、行ってみよっか。」
―大丈夫。覚悟はできた。
「ちょっと待てよ彩葉、陽夏!!そっちは岩が多くて足場が悪いんだぞ!」
「大丈夫だよ、航太。私が陽夏ちゃんを守るから」
「うわっっ―」
陽夏ちゃんが落ちそうになった瞬間私は陽夏ちゃんを思いきり引っ張った
―陽夏ちゃんごめんね
そう言って私は笑った
ドボンッッ
陽夏ちゃんを引っ張ったことで私は川の中に落ちた―
川の中は夏なのに冷たくて昼なのに暗くて
何だか今の私にピッタリで
ああ、なんだか眠くなってきたなぁ
そんなことを思いながら私は目を閉じた――
「……は いろはっ!!」
誰の声だろう…この声好きだなぁ
目を開けるとそこは真夜中の教室で目の前には航太がいた。
「航太…?どうしたの?」
「どうしたの?じゃねーよ!お前こんな時間に何してんだよ!ほら、帰るぞ!!」
なーんだ今までのことは全部夢だったのか…
やっと陽夏ちゃんを救えたと思ったのに…
「ん?ねぇ航太は私に怒ってないの?陽夏ちゃんの代わりに私が生きちゃってるのに…」
「陽夏は死んでねーから大丈夫だ!」
「てことは、私は陽夏ちゃんを救えたのか!!
神様ありがとうー!!」
そんな私を見て航太はさみしそうに笑った
「やっぱりお前も過去に戻ってたのか…」
「やっぱりってことは航太も?」
「あぁ、お前が頑張ってたのも全部知ってる」
「航太も陽夏ちゃんに生きててほしかったんだもんね過去に戻るのは当たり前か。」
「おう。陽夏にも生きててほしかったけど俺はお前にもっと笑って毎日を過ごしてほしくて過去に戻ったんだ」
航太の話によると陽夏ちゃんが死んだ時に自分の責任から逃れるために私のせいにしてしまったことで私がうまく笑えなくなってしまったことに責任を感じていたという内容だった。
「俺はなずっとお前に笑っててほしかったんだ
だけどお前を苦しめてたのは俺だったんだな」
そう言うと航太は悲しそうに笑った
「航太、確かに私は苦しんだ。だけどそのお陰で過去に戻って大切なことを確認できたの。
私ね、どんなに嫌われても航太が好きなの」
そう言うと航太は笑いながら
「俺も好きだよ」
そう一言言って涙を流した。
「男のくせに泣かないのー!!」
「ちょっ!恥ずかしいから見るなよ!
俺水道行って顔洗ってくる!!」
教室を出る前航太は私の方を向いてこう言ったんだ
――「ずっとずっと愛してる」