紙の舟から
溢れかえる物と 永遠とも思える穏やかさ
競争を説く人々の その唇に涎が垂れる
語るべく愛は無く 持つべく夢は無い
並べられた景色の中で どこへ行こうと言うのか
崩れ去った未来を粉にして 風にとまぎらせた
あなたは凍ったまま 笑顔で喋り続ける
密告は夜明け前に 河辺りの小屋で
裏切られたと叫ぶとは 随分と勝手な
そちらが勝手に信じたのではないか 日常
変化のない毎日は 何もかもを擦り切らせて
差し伸べる手もなく 渡るべく橋もなく
空は真っ青だ 何かを知ったかのように
空は真っ青だ 空は真っ青だ
「知りたくもない」
ユーモアは要りません 誤魔化しが多いから
シリアスに日々を送りたい そんな気分です
悲観の反対が楽観だなんて 笑わせますね
悲観の反対は怠惰ですよ そこのあなた
楽観は、特に大人の楽観は 危うい
崩れる組織の中から 逃げ出しなさい
逃げるのが負けなんて 固定観念は危険だよ
私の明日が分からないみたいに
あなたの明日も分からない
いつも いつも
「悲観論」
深い闇の中で 旧い友人に会う
彼は昔 希望と呼ばれていた
いまでは煤けて 色もない
話すこともなく 目を背けた
まだ、みちは続いている
まだ、みちは続いていく
「旧友」
不幸せな安い酒を飲んで 夜の街でタクシーを待つ
いまでも取り巻きはいるけれど 前ほど楽しくはない
貧困の中から脱出するには それしかなかった
成り上がりとくちさの無い人は言うが ダダ滑りよりはいい
敵は、自分から作るから その方が楽しい
穏やかさは必要ない それ程に優しくもないし
今夜も不幸の酒を飲んで 夜明けまでカウンター
幸せは嫌いだね 他人の幸せも、自分の幸せも
だからグラスに入れて 静かに飲むのさ
「不幸せな、酒」
あなたは夢を追いかける 私は現実に押しつぶされる
夢を見るには金が必要 現実を知るには、何もない方がいい
人を知れば世界が乾いて見えた 偽善なんて言葉よりも
本気の人たちの方が怖くて くるりと背中を向ける
そんなに生きる必要もなく そんなに生きたい理由もなく
暗い世界を照らすだなんて 太陽に失礼だろ
彼は昔から照らしている 世の中は、つまらぬ事の積み重なり
それを整理しようとして よけいに、複雑になる
信じるよりも楽な事 それは、信じないこと
そして、疑うこと それを忘れてまで、頼られたくもない
人にと嫌われてこそ 一人前
自分の意見を言えたのだから
街はセレブと貧乏人が すれ違う道さえないのだよ
それが、おしゃまな現実なのです
「愛の深さ」