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プロローグ6 不審物情報と銃声と覚悟

時間かかってましたマジで、時間がもっと欲しいデス。



 自分達以外の乗客が突如飛来した戦闘機に驚き窓の外を見ているのを横目で見ていたが、F22の機影が窓から遠ざかったのを確認しそのまま視線を犬飼(仮)に向けると、先ほどまで少しはあった余裕がなくなったようで動揺しているのが表情に見て取れた。


 【……どうやら……もう時間が無いようだな?】


 「ああ……今頃コックピットに飛行進路変更の勧告がされているはずだ………」


 「声に出してもいいのか?」と聞くと。


 「……疑って悪かった」と謝罪してきた。


 まあ、自分も同じような立場だったら同じ様に疑うので気にしないが……。 同郷とはいえ自称元自衛官とか言われても普通すぐには信じられないだろう常識的に考えて。 味方を(よそお)ったテロ共犯者の可能性もあるしな。なので、


 「理解はしている」


肩を(すく)めながらそう答えておいた。



 「状況とテロリストの目的は?」


 今後の対応を決める為に話を切りだすと犬飼(仮)は都合三秒ほど沈黙していたが、考えがまとまったらしくこう語り出す。


 「…予想される目的は……おそらくホワイトハウスへのテロ行為」


 「まあそうだろうな。でなければ戦闘機なんて飛んで来ないだろうし……」


 飛行進路がワシントン空港からホワイトハウス向けになっているんだろうとF22が現れた時点で予測は付く。



 「コックピットに銃で武装した中東出身系の男が一人」


 「単独犯か?複数犯の可能性は?」


 「………多分無い」


相手の歯切れの悪い回答を疑問に思い、


 「念のため聞くが、銃だけか?」と聞くと?


 「…いやコックピットに出入りした客室乗務員に確認した所……胴体に何かを巻いているそうだ…」


 …やっぱり……聴いた瞬間さらに歯切れが悪くなった。


うん、毒食えば皿までだ。最悪を想定して聞いてみよう。


 「………確認したいんだが…電子ディスプレイ付きで数字が表示されている……とか?」


 「……ああ」


声のトーンが落ちた…。


 無いと思いたい!無いと思いたいが!


 「もし……もしもなんだが……すでに数字が減っている……なんて事は?」


 「………ぁぁ」


さらにトーンが落ちた。


 最悪の予想が大当たりらしい。 犬飼(仮)がそう答え、そんなの最悪どころか最凶最悪じゃないか!と内心叫んだ瞬間!!


 『パンッ!!』


機内前方から乾いた銃声が鳴り響いた……。


 それを聞いた瞬間、弾かれる様に同時に席を立った二人は凄まじい勢いでコックピットを目指して走りだす。


 たどり着いたと同時に目に飛び込んで来た光景は、閉まっているコックピットドアの前で顔面を蒼白にした見覚えの有るスチュワーデスさんの頭に銃を突き付けた男の姿だった。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 テロリストの男は、スチュワーデスさんに銃口を向けつつコックピットにむかって、


 「ドアを開けろ!開けないと女を殺す!」と、スラング混じりの英語で叫ぶと、


 『ドンッ!』


 『キャァーーッ!!』


コックピットからの返事を待つ前にスチュワーデスさんをドアに叩きつけて悲鳴をあげさせた。


 それを見た犬飼(仮)は、瞬間的に頭に血が登ったのかテロリストに向かって突進しかけたが、自分が肩を捕まえ押し留めると冷静になったようで一言、


 「……すまない」


 バツが悪そうな表情で謝罪してきた。


 「気持は分かる」


 「そうか……」


犬飼(仮)は、少しだけ表情を緩めたが、直ぐに引き締め背広の内側に手をいれ拳銃を取り出してこう言った。


 「俺が囮になって注意を引き付ける。その隙に、テロリストの捕縛を頼めるか?」


 「……妥当だな」


 そもそもテロリストが人質を取ってる段階で此方は手段が制限される上に、テロリストだけを排除しようにも胴体に付けている爆弾と思われる物(手榴弾もいくつか胸のシステムベストに保持していた)のせいで迂闊に発砲も出来ない。銃弾が当たってもし爆発でもしたら本末転倒だろう。


 あとは頭部への一撃必殺しか無いがリスクを考えると銃は牽制にしか使えず選択肢は隙を付いての捕縛による無力化しかない。


 何故コックピットに居たはずのテロリストがドアの外にいるのかは、銃声を聞いた事でだいたいの予測はつく。多分こういう事だろう。


 F22のパイロットから進路変更の通信が入った事により旅客機のパイロットとテロリストの男との間に何かトラブルが発生。その後、パイロット側がなんとかテロリストをコックピットから追い出した。で、追い出されたテロリストは、たまたま近くに居たスチュワーデスさんを捕まえてパイロットを脅迫して今に至る……と、こんな顛末だろう。


 銃声が一発しか鳴らなかった事から考えて…最低限パイロットの一人は無事の筈だ。

最悪二人とも死んでいた場合、旅客機の操縦など経験のない自分達にはどうしようも無かったから助かった(一応犬飼(仮)にも確認した)。

そんな理由により…パイロットとスチュワーデスさんには悪いがコックピットに居られるより遥かに対処しやすくなっている。最凶最悪が、かなり最悪になったぐらいだが。



 ……もしもの話。万が一もう一度コックピットに入られたらそれで全てが終わる。


 コックピットの中で自爆されても終わり。


 爆弾のタイムリミットが来ても終わり。


 今頃パイロットは進路変更してるだろうけど脅されても殺されても進路を変えなければ、最終的に外のF22によって撃墜されて終わりだからだ。


 テロリストに、政府と交渉する気は無いだろう。

あったとしたらもっと早くにかつ複数犯でハイジャックしていたはずだ。


 さてと、時間も押している。考察はこれぐらいにして今は行動あるのみだ!


 犬飼(仮)とお互いの目と表情で意思を確認した後は、覚悟を決めた一歩を同時に踏み出した。



 事件は、クライマックスに加速していく……まだ見えないエピローグを目指して…………。

次で回想が終わると思います。

出来れば、感想とかアドバイスとかあったら嬉しいデス。

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