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新世界 ~幼年期~ ふぉーちゅうへん 葛藤=想い悩みに苦しみながら答えを得る為のプロセス。ただ一握りの人にとっては、ヨロコビラシイどんな人種かねぇ。

待たせてすいませんが……とりあえず、どぞ。



 我等が箱庭、聖域たる砂場において、俺は感動に打ち震えていた。


 ああ…何故これ程までの作品を創造してしまったのか……今まで生きてきた人生に置いても最高傑作と断言出来るだろう。自分の才能が怖い。


 「ねぇアーク。ルーとレナの作品も、もうすぐ出来ますよ?」


 「あぁ…」


 「アーク?」


 「あぁ……」


 「アーク??」


 「あぁ………」


 「いい加減に戻って来なさいッ!!」


 『ドッ!ギュルッ!』


 「ぶへッ」


 『ドサッ!』


 自分の作品を前にうっとりしていたら、耳元で一際高いエヴァ姉ぇの声が聞こえた瞬間、痛みと衝撃と共に世界は空一色のみになった。 主に俺の主観のみにおいてだが…。


 「ぐうッ…痛いです。特に左頬からアゴ先付近が……」


 「自業自得です。双子の作品の話をしたのに惚けるアークが悪いです。 それと痛いのは当たり前ですよ? いい角度で幻の左が螺旋(らせん)をえがく様に決まりましたからッ!」


 一撃を受けて大地に沈んだ俺を尻目に「目標に向かって、えぐり込む様に…打つべしッ!打つべしッ!いやー、いい仕事しました!」などと、わざとらしく手で額を拭う姿が憎らしい……。 わざわざ出ない筈の汗なんか出して芸が細かい所が、また小憎らしい。 ああ!憎しみのせいか?目の前が何故かだんだんと暗くなっていく…よ…う…な……。



 ―そしてアークに暗黒のとばりが舞い降りた―



 ――おおあーくよしんでしまうとはなさけ「いやッ!そんな振りとテロップいらないから!勝手に死んで生き返るシークエンスはノーサンキューですから!復活などしませんから!!」


 ふぅ、危うく勇者風にうやむやにされ(ほうむ)られるところだった。


 やはり…やっこさんは危険だ(相方として容赦しない所が)。 いつかある条件が整った時、私の???に立つな!ですよ?とか言いながら、やられる気がする!ノリとその場の空気しだいで。 例えば…今やられたように……断定は出来んが断言は出来る!


 俺が、絶対無い!とは言い切れない、起こりうる未来に戦慄し『むー』と思案顔をしていたら、先程のやり取りで機嫌が悪いと思ったのか、エヴァ姉ぇが砂場に降臨した俺の最高傑作を指差して話しかけてきた。


 「まあまあ。それにしても“いい”作品に仕上がりましたねぇ」


 話題を変える為のお世辞が混ざっているとはいえ誉められれば嬉しいもの。


 「ああ!会心の出来だ!砂遊びなんて本当に久しぶりだったから自分でも驚くくらい集中して創り上げてしまった……予想より遥かに!」


 「でしょうねぇ……」


 満足げに答える俺とは対照的に、エヴァ姉ぇの声はちょっと呆れ気味だったが……気にしない事にして作品を堪能するため改めて見つめ直してみよう。



 それは、いわゆる一つの…………空に浮かんでいるであろう城でしたマル。


 砂場の定番たる建築物を作り始めたら最終的にこうなった。


 きっかけは、砂だ。 この【極細粒の砂】という砂は、説明に嘘偽りなく、もの凄〜く細かくて手に取った時点ではサラサラなのに軽く力を込めたり圧力をかけたりすると本当に固まり崩れなかった。 いやいやびっくりだわ。


 それで夢中になっていじくっている内に、この世界の空を翔ぶなら何が必要かな〜、なんて考えていて、空に拠点があれば楽だなぁーと、思ったのが原因だと思われる。



 ムラムラしてやった。 反省も後悔もしないが……自重はしようと思う。 天才だと思われるのはいいが本当に子供か?なんて疑われたら面倒だし。


 ちなみに余談だが、ある程度大きくなって余裕が出来たら本気で創ってくれるわッ!と、思っていたりする。 ただし!自壊用の“あれ”無しでだがな……ほんとだよ?ロマンなのは認めるが誤作動が怖いですもん!


 さてと…そろそろ自分の作品ばかりじゃ無くルーとレナの作品を鑑賞せねば!兄として!兄として!大事な事なので二回いいました。


 一応ルー達の作っている所はちょくちょく見てはいたので、だいたい把握はしている。


 あれだ、砂場の定番中の定番。 山作ってトンネル開通である。やはり世界が違っても人間、やること考える事はそれ程あんまり変わんないなぁーと思いましたな。


 俺達がほんわか観ていると、遂にルー達も完成したらしくこちらへ振り返り「アークにい!できた!」「エヴァ姉ぇできたよ〜」と、可愛くも誇らしげな顔で報告してきた。


 「ああ、いい感じに出来たな二人共。上手だぞッ!」


 「ええ、アークの言う通り良く出来てますよルー、レナ」


 俺達の賛辞を聞いて二人は嬉しそうに笑う。うむうむ眼福眼福。


 暫く笑っていた双子だが俺の最高傑作を見て、騒ぎだした。


 「アークにい!アークにい!これおうち?!」


 「ああ!」


 「アークにい、すごーい!おしろみたい!」


 「そうだぞ!いつか兄ちゃんが創る予定の、もの凄っごく大きなお家のお城だッ!!」


 俺の言葉に驚いた二人は、


 「わあ〜アークにい、いいな〜すみたい!」


 「レナね!レナね!おおきいおうちできたらみんなでかくれんぼしたい!」


などと嬉しいことを言ってくれた。


 「よし!分かった!できたら必ずルーとレナも一緒に住んで遊ぼうなッ!」


 「「うん!!」」


 双子の元気な返事を聞いた俺は、テンションがうなぎ登りになって他に何かある?と聞いてみる事に。


 「んーじゃあ、おとうさんとおかあさんも?」


 「ああ!もちろん!」


 「おじいちゃんたちは〜?」


 「お爺ちゃん達がいいならね」


 テンションは上がり!


 「じゃあおへやいっぱい?」


 「おう!いっぱいだな!」


 更に最高潮になった。


 つん


 「お風呂は?」


 「もちろん!でっかいの作るぞーッ!」


 「おにわもー?」


 「かけっこしても大丈夫なくらい広くなッ!」


 つんつん


 「台所も?」


 「おおとも!ムチャクチャ使いやすいの作るぞーッ!」


 つんつんつん


 「…アーク」


 「ん?なに?エヴァ姉ぇ、さっきからつんつん、つんつん」


 自分を呼ぶ声に先程から左肩をつんつんしたのもエヴァ姉ぇだと思い何だよ!と思って文句を言いながら見ると、なんか驚いた顔をしながら右手人差し指で双子とは逆の方向、つまり自分の背後を指差していた。


 つんつんつんつん


 え〜と……エヴァ姉ぇとルーとレナは目の前にいて、…つんつんして無い。と、言う事は?


 ギギギッと錆びた音が鳴りそうな首で、ゆっくりと後ろを振り返ってみるとそこには…………笑顔がまぶしい我等のお母様がいらっしゃいました。



 「アーク?凄く上手ねこのお城」


 「あ〜……うん。苦労したよほんとアハハハハッ」


 突然な母の登場に…しどろもどろになりつつも無難に答えて何とか乗り切ろうとしたのだが……、


 「そうよねぇ……ところでアーク?こんな砂どうしたの?母さんが朝見たとき、ここには何も無かった筈なんだけど?それとこの小さなお客様は誰?紹介してくれるわよねぇ」


……無駄な足掻きでした。




まぁ……結果こんな事があり家族会議になったしだいである。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




 「さて、アーク色々聞きたい事があるんだが……いいかい?」



 回想と言う名の現実逃避をしていた俺に、父親であるラーク(通称)父さんが、こう言って話しを切り出し確認してきたので腹を据え覚悟を決めて返事をした。


 「うん。なにが聞きたいの?」


 「まずは…そちらの妖精族の女性の方の紹介からかな?」


 指名されたエヴァ姉ぇは俺と一瞬だけ目を合わせた後、翅を静かに震わせ自分の肩から目の前のテーブルに移動して話し始めた。


 「お父様、お母様、お初にお目にかかります。 私の名はエヴァロンギヌスと申します。見ての通りの者(妖精・偽)です」


 エヴァ姉ぇが名乗ると同時にドレスの裾を両手で左右掴みつつまるで洗練された淑女のように会釈(えしゃく)すると、俺の口からでは無くエヴァ姉ぇ本人が直接話すとは思っていなかったらしく、父さんと母さんは改まって挨拶を交わした。


 「これはこれはご丁寧な挨拶ありがとうございます。 私の名はラークス・カイウォーカ。そっちに居るのが妻の」


 父が母に目配せして言葉を切ると、


 「初めまして、ラナス・カイウォーカですわ」


母は、すぐさま自己紹介をした。


 「さっそくで恐縮ですが…息子アークとエヴァロンギヌスさんは、どのようなご関係でしょうか?」


 うちの父さんの実直かつストレートな質問にエヴァ姉ぇは、聖母のごとき微笑を浮かべこう答える。


 「エヴァとお呼びくださって結構です。

そうですねぇ……アークと私の関係は…」


 「「…関係は?」」


 「信魂せし者が適切でしょうか」


 「ッ!?…契約者と被契約者では無いのですか?」


 「いいえ、全く違います」


 両親は、エヴァ姉ぇのその言葉に対しさらに質問していたが返ってきた答えを聞いた後は困惑顔で疑問符を浮かべていた。


 『エヴァ姉ぇどういう事?なんでこんなにも家の両親、困惑してんの?』


 俺は、エヴァ姉ぇに念話(魂間通信とは呼びづらい為)で確認してみたらこんな答えが返ってきた。


 『簡単な事です。 アークのご両親はアークと私が召喚契約をしたと思っていたらしく、それを私が否定したからです。 通常、妖精族と一緒に行動する場合は大抵、召喚という形をとるからなのですが、そうでは無いと否定された為、…じゃあ、なんなんだ?と困惑しているのですよ』


 『まあ実際、召喚契約なんかして無いのは本当だけどさ……それだと今後の説明どうすんの?エヴァ姉ぇ』


 『まあ見ててください。 ちゃんと納得させてみせますから』


 まあ、この場合エヴァ姉ぇに任せるのがベストだと理解してるし妥当でもあるので全て任せる事にしたのだが…やり過ぎないかちょっと心配だ。


 「お父様達が、困惑なされているのは、分かります。 ごくごく簡単な事です。 つまり私は息子さんに召喚された者……では無く、普通に出会って(死んだら誰でも“あそこ”で必ず会いますし)友達(パートナー)になった、という訳です」


 両親は、エヴァ姉ぇの説明にある程度納得したようだったが、最も気になっていた質問をさらに重ねた。

最初に言った【信魂せし者】とは何なのか?と。


 「ああ、あれは友達になって私自身が息子さんを気に入ってパートナーになろうと約束して【パス】この場合、魂間の簡単な繋がりと申しますか?をしていたので、ああいうもの言いになった次第という訳です」


 「なるほど…良く分かりました。つまり貴方とアークは、召喚や他の契約等に縛られた関係では無く、お互い気に入って友達同士になった…という事ですね?」


 「ええ、その通りの認識で間違いありません」


 「そうですかぁ…。良かった…本当に良かった」


 「ん?あなた?何故そんなに安堵しているの?」


 夫であるラークスの凄く安堵している姿を疑問に思いラナ(通称)はそう問いかけた。


 「ああすまん。説明しなきゃわからんな。 昔の事だが冒険者時代一緒に召喚魔法が一部盛んな【リネージ共和国】に行った事があったろう?」


 「ええ、確かに一度行ったわ。でもそれがなにか?」


 「その国で召喚魔法の研究をしていた人物と懇意になったのは知っているだろう?その人物から召喚魔法について一晩中酒を飲みながらグチ混じりに聞かされたんだが…その内の1つに幼い子供が召喚魔法を使った場合に起こる危険性と言うのがあったんだ」


 その言葉の意味を瞬時に理解したラナは、顔面を蒼白にし夫へ先を続ける様に促した。


 「それによると…幼い子供は精神的に弱い場合、召喚した相手に心が引きずられ変質する事がある、と聞いたんだけど……家のアークはそうじゃ無かった。だから安堵したんだよラナ」


 父さんの言葉にようやく安堵の表情を浮かべた母さんを見つつエヴァ姉ぇにそうなの?と聞くと『ええ。可能性はゼロではありませんが本当です』との答えが返ってきた。


 それから暫く沈黙がその場に舞い降りたのだった。








あ~なんと言いますかメール投稿全角5000字超えたので後編では無く中編になってしまいました(直し直し追加してたら膨れて収まらなくなりました)。

後編は今書いてますのでお待ち下さるようお願いいたしまします。


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