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料理のぬくもり

掲載日:2026/06/02

とある国の、美しいお姫様に仕えている、一人のメイドさんが居ました。

彼女は、綺麗で美しいものに目がなく、お姫様のあまりの美貌に、

お城で働きたいと、申し出たのでした。


その王国は、王様の愛する奥様がなくなってしまって、

すっかり活気がなくなっていました。

王様はわかりやすくしょんぼりして、何も手に着かない状態だったので、

誰も、仕事の話など、する気になれなかったのです。

以前は優しくて、温厚な方だったので、余計に誰も、声を掛けられなかったのです。


メイドさんが一目ぼれしたお姫様は、ただただ、朝が来たら起きて、

時間になったらご飯を食べて、スケジュールをこなし終え、

夜が来たら、悲しさを超えた虚しさとともに、眠りにつくだけでした。

何を考えているのか、一切分かったものではありません。


そこでメイドさんは、せめて食事だけでも美味しく、

そしてお姫様を温かく包み込んでくれるものでなくてはと考え、

本格的な料理の勉強と、提供を始めました。

お姫様はずいぶんと長いこと、無表情で黙々と出された食事を平らげるだけでしたが、

ある日、ふと気がつきました。

「この料理、とても温かくて、美味しい」と。

凍っていたお姫様の心も、少しずつ、溶けていくようでした。

そしてついに、お姫様は自身の心で泣くことが出来るようになったのでした。

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