料理のぬくもり
とある国の、美しいお姫様に仕えている、一人のメイドさんが居ました。
彼女は、綺麗で美しいものに目がなく、お姫様のあまりの美貌に、
お城で働きたいと、申し出たのでした。
その王国は、王様の愛する奥様がなくなってしまって、
すっかり活気がなくなっていました。
王様はわかりやすくしょんぼりして、何も手に着かない状態だったので、
誰も、仕事の話など、する気になれなかったのです。
以前は優しくて、温厚な方だったので、余計に誰も、声を掛けられなかったのです。
メイドさんが一目ぼれしたお姫様は、ただただ、朝が来たら起きて、
時間になったらご飯を食べて、スケジュールをこなし終え、
夜が来たら、悲しさを超えた虚しさとともに、眠りにつくだけでした。
何を考えているのか、一切分かったものではありません。
そこでメイドさんは、せめて食事だけでも美味しく、
そしてお姫様を温かく包み込んでくれるものでなくてはと考え、
本格的な料理の勉強と、提供を始めました。
お姫様はずいぶんと長いこと、無表情で黙々と出された食事を平らげるだけでしたが、
ある日、ふと気がつきました。
「この料理、とても温かくて、美味しい」と。
凍っていたお姫様の心も、少しずつ、溶けていくようでした。
そしてついに、お姫様は自身の心で泣くことが出来るようになったのでした。




