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MP10の落ちこぼれ魔道士、消費MPゼロスキル【尽きぬ泉】で無限に魔法が撃てたようです~元パーティーはもう知りません~  作者: 黒木菫


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クエスター、仲間を増やす ?

「なんで私たちがクラス1なのよ!」


パーティーのクラスが全て掲示板に張り出された。


俺たち"クエスター"は実技は満点だったものの、オレは基礎体力試験がボロボロ、筆記試験は良好だった。


一方マチは、基礎体力試験は良好だったが、筆記試験がボロボロだった。


「まあ、失格になったパーティーもいたし、合格になっただけいいじゃないか。」


そういって、クラス3の掲示板を見る。


最高点数はドロシー嬢の"ザ・ウィッチ"だった。


やっぱりすごいな、あの人。


「アンタたち、クラス1だったのね!」


この声はエティ。


しつこいな、この人も。


「私たち"プリティア"はクラス2になったわよ!」


「え?チーム名、"プリティア"になったの?」


興味はなかったが、まさかその名前になったとは思わず、つい聞いてしまう。


「いい名前でしょう。じゃんけんで勝ったのよ。」


嬉しそうにエティが言う。


「"プリティア"!なんて素敵な名前なのかしら!」


マチが思いもよらず食いつく。


食いつくのか。


「へえ、あんたこのセンスがわかるとはなかなかやるじゃない。あんた、私たちの仲間にならない?」


「そんな、人のパーティーメンバーを勝手にスカウトできるわけないだろ。」


オレは呆れていう。


「何、あんた、掲示板ちゃんと見てないの?」


エティが掲示板の一つを指さす。


「まあ、せいぜい頑張ってね。じゃあね。」


エティは言いたいことだけ言って去っていった。


「どういうことだろう?」


「さあ?」




オレとマチはエティが指差した掲示板を見た。


そこにはとんでもないことが書いてあった。


『合格者の皆様へ~本講座が始まる前の準備について~


本講座は3日後、始まります。


パーティーは最大4名まで組めます。


本講座が始まる前に各パーティーは4名になるまで、他のパーティーに挑戦状を出すことができます。


挑戦状を受けたパーティーは断ることができません。断った場合は不戦敗となります。


挑戦状を受けた場合、パーティーのメンバーをかけて同じ人数で模擬戦を行います。


勝ったパーティーは負けたパーティーのメンバーをスカウトできます。


スカウトされたメンバーは新しいパーティーに入るのを断ることもできますが、その場合は退会となります。


なお、挑戦状を出した側が負けた場合は失格、退会となります。


自分たちから他のパーティーに入ることも可能です。』




「「ええええええ!」」


オレとマチの声がおもわず重なる。


「つまり、例えば、ダイのメンバーが俺たちに挑戦状を出した場合、俺たちは受けないといけないってことか。」


「でも私たちはあと二人メンバーを入れられるってことよね。」


たしかにパーティーメンバーを増やすことにデメリットはない。ソロで戦うのは難しい。


「でも、相手がいやがったら、その人は退会になるっていうのも厳しいわね。」


「実際の冒険は命がけだからね。このルールなら弱い人、我を通す人は自然と淘汰されるよ。」


「チャンスね。私たちもできれば仲間を増やしたいしね。」


「そうだね。仲間は多いほどいい。」


「でもこのルールだと、二人のチームと戦えば、実質、片方のチームがもう片方を吸収するということになるわね。」


「そういえばそうだね。」


オレは少し考える。


「クラス3の2名のチームに俺たちが選んでもらえば、俺たちもクラス3になれるんじゃないか?」


「クラス1の私たちを選ぶクラス3がいればの話だけどね。」


マチが呆れて言う。


ふと見ると、早速パーティー間で交渉したり、広い場所では模擬戦が行われ始めていた。


「ちょっとマチ、こっちへ。」


「な、なによ!」


オレはマチの手を引いて、全体が見渡せて人目につかないところへ移動する。


「マチ、見て。」


俺たちは全体を見回す。


クラス3のパーティーはクラス2のパーティーを狙い打っている。クラス2のパーティーはクラス1のパーティーを狙い打っている。そしてクラス3の2名のパーティーや1名のパーティーは、自分を他のパーティーに売り込んでいる。


「これは早い者勝ちね。よし!じゃあ、クラス3の二人パーティーを狙うわよ!」


「いや、どこからくるんだよその自信!負ければ退会なんだよ!」


なるほど、勝てない相手を見分けるのも冒険者では必須のスキルだな。このルールだと必然的に自分よりクラスが下のチームと戦おうとするだろう。


見ると、向こうの平原で見た顔があった。


ダイとエティが二人のパーティーに勝利したみたいだ。


彼らは決して弱くない。


自分には関係はない。


しかし、気になる。


「マチ、あの二人に話を聞いてみよう。」


「いいけど、もう勝負ついたんじゃないの?」


オレはそういうマチを連れて二人の元へ向かった。



着くと、二人の冒険者が言い争いをしている。


一人は重装備の剣士で、見るからにタンク役だ。全身鎧で覆われているので顔は見えない。


もう一人は異国風の、紫がかった髪の支援魔導士のような女性だ。


「ほら、もうお前は負けたんだからあっちへ行けよ!」


重騎士の戦士がいう。


声からして、この人も女性か。


「『お前は』ってあなたも負けたじゃないですか!」


「私のことはいいから。お前は新しいパーティーで元気でな!お前がいなくてせいせいするよ!」


「なっ!こっちこそ!あなたがいなくても新しい人たちとやってやりますわ!」


言い争いはしているが、二人とも感情をぶつけ合っているだけで、目が潤んでいる。


「あ?なんだお前ら?見せもんじゃねえぞ?」


重騎士の人がこちらに気がつく。


「あ、ごめん、そんなつもりじゃなかったんだけど。君たちが戦ってたパーティー、以前の仲間だったんだ。だからちょっと気になって……」


「そうなんですか?あの人たちって、どんな人たちなんですか?」


異国の支援魔導士風の人が、心配そうに聞く。


「うーん、そうだね……」


オレは昔の彼らとのやりとりや、クビになったいきさつを話す。


「オーマイガッシュ!そんなところには行きたくありませんわ!」


悲鳴を上げる女性。


「しょうがないだろ、ミコ、お前が負けたんだから!」


「クノ!あなたが何も考えずに鎧を着るからこうなったんでしょ!」


ミコと呼ばれた女性は、半泣きになりながら言う。


「要するに、さっきの"プリティア"とかいうパーティーに負けて、あんたがスカウトされたわけね。」


マチがあきれたようにいう。


「まあ、そうなんですが……」


ミコと呼ばれた女性が答える。


「だいたいお前らなんなんだ。私の仲間にしてほしいのか?考えてやる。こっちも一人になったところだ!」


クノと呼ばれた重騎士の女性がいう。


「あんたがアタシたちの仲間になるならわかるけど、なんでアタシたちがあんたの仲間になるのよ!」


「まあまあ。オレは魔導士のライト、こっちが剣士兼鑑定士のマチだよ。よろしく。」


「私は巫女という支援タイプの魔導士で、名前もミコです。で、こっちの鎧がクノさんです。クノさん、あなたちょっとその鎧を脱ぎなさいな。」


こっちの人のほうが話が通じそうだ。


「チッ!わかった!『鎧脱パージ』」


そういうと、なんと鎧が消え去り、黒髪の武闘家風の少女が現れる。


「な、なによそれ!かっこいいじゃない!もう一回やってよ!」


マチが食いつく。


「お、おう、お前わかるか!これはアイテムボックスのスキルの応用だ。」


クノという少女は褒められて、ちょっと嬉しそうに答える。


「相手のことを何も考えずに重装備化して、いきなり鈍重魔法ウエイトをかけられて、なにもできずいきなり『クッ、殺せ』とか言ってたのはどこのどなただったかしら!?」


「うるせえ!お前の身体強化ドーピングが遅かったからこうなったんじゃねえか!」


「で、ミコさんがダイたちにスカウトされたわけですか。」


「ええ、それで一日やるから、自分たちの仲間になるか、退会するか考えろと。」


ミコがため息をついて言う。


ふうむ。


武闘家兼重騎士のタンク役。そして支援タイプの魔導士。


そして、ダイたち。あいつらもいい加減うるさいから、そろそろ決着をつけないといけない。


「マチ、この二人に仲間になってもらうというのはどうだろ?」


オレはクノが鎧を着たり脱いだりするたびに目を輝かせているマチに声をかける。


「いいけど、この人、その"プリティア"ってやつらのところに行くのよね。」


「だから、まずクノさんが俺たちの仲間になる。それで3人パーティーになる。それからあいつらに挑戦状をたたきつけるんだ。」


「おい、勝手に話を進めるな!お前たちが私の仲間になるっていうなら考えてやってもいいが。この足手まといと一緒にやるのももういやだからな!」


クノがそっぽを向いていう。


「はあ!?私こそあなたなんかもうごめんですわ!」


またしてもいがみ合う二人。


「聞いてくれ、二人とも。俺たちも困ってるんだ。このままじゃあ、みんな敗退だ。クノさん、ミコさん、あなたたちの力を貸してほしい。」


オレは二人に頭を下げる。


「オレはそんなに強い魔道士じゃない。でも、タンク役のクノさんと、支援役のミコさんがいれば、最高のパーティーになれる気がするんだ。」


「「ま、まあ……おあなたがそこまで言うなら。」」


二人の声が重なった。


「ほんとうか!」


オレは思わず顔がほころぶ。




ダイ、エティ、ヨウジ。


そろそろあいつらとも、決着をつけないといけない。


いつまでも絡まれるのは、正直うんざりだ。


そろそろ、ちゃんと区切りをつけよう。




オレは静かに、しかし確かに闘志を燃やした。



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