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MP10の落ちこぼれ魔道士、消費MPゼロスキル【尽きぬ泉】で無限に魔法が撃てたようです~元パーティーはもう知りません~  作者: 黒木菫


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冒険者パーティー養成学校、はじまる

追放されてから一週間。


マチと出会い、いくつかのモンスターハンティングをこなした。毎日がワクワクして楽しかった。


今朝もギルドでマチと朝ごはんを食べている。そのとき、マチがなにやらチラシを机の上にたたきつけた。


「ライト、アタシといっしょに冒険者パーティー養成学校に入るわよ!」


「え?」


オレはジュースを飲みながら、チラシに目をやる。


『領主直轄・冒険者パーティー養成学校 受講料無料 修了者には冒険者およびパーティーランクC認定』


「……なにこれ。」


「いいでしょ!モンスターハンティングの実習もあって、そこで稼いだお金から学費が出るみたい。しかも卒業したら冒険者ランクとパーティーランク、両方でCがもらえるのよ!場合によっては警備隊への就職もできるって!」


「警備隊……案外、ちゃんと将来のこと考えてるんだね、君。」


「うるさいわね!」


マチは顔を赤くしながら続ける。


「アンタだって、基本魔法しか使えないままだと大きな仕事とれないでしょ。アタシも、剣術の基礎を、いえ……剣術のさらなる高みを目指したいのよ!」


あ、この子、そもそも剣術まるで素人だったのか。


周りを見渡すと、同じチラシについて話し合っているメンバーも多い。そりゃそうだ。パーティーランクDとCの差は、実際かなり大きい。ソロでCをとれてもパーティーでCになれるかは別の話で、しかも学校なら命の危険もはるかに少ない。


「パーティーランクまでもらえるのは、たしかにすごいな。」


「でしょ!途中で解散したらダメだけど、卒業まで一緒にいればOKなの。アンタとアタシなら、うまくやれそうじゃない?」


そう言われると、素直にうれしかった。


アイアンベア戦以来、オレたちの連携はすっかり板についていた。マチが弱点を見つけ、オレが補助と魔法で畳み掛ける。シンプルだが、これが恐ろしく噛み合う。弱点のないやつは全力で避けるというのも、息ぴったりだった。


「うん、おもしろそうだ。」


「そうでしょう!じゃあ、一緒に申し込みに行くわよ!」


こうしてオレとマチは冒険者パーティー養成学校に申し込んだ。




-----------------------------------------------------------


「おい、ヨウジ、エティ、これを見たか!」


ダイが二人に冒険者パーティー養成学校のチラシを突きつけた。


「見たけど……まさかアンタ、私たちに入れって言いたいの?」


エティがいやそうに眉をひそめる。


「そうだ!これに入れば一気にパーティーランクがCになる。おまけに、ここで新しい仲間を探すこともできるぞ。」


「いやよ!めんどくさい!」


エティが腕を組んで即答する。


「だがな、エティ、少し考えてくれ。」


ダイが続ける。


「ライトがいなくなってから、魔道士を何人か入れ替えたせいで、今の俺たちの財布はかなりきつい。」


「だからアタシは最初から反対してたじゃない!」


「してねえよ!アイテム代を節約したいって言い出したのはお前じゃねえか!」


「……あいつに、もう一度声をかけるというのは、どうだろう。」


ヨウジが静かに口をはさむ。


「「絶対にいやだ(いやよ)!」」


ダイとエティの声が重なった。


「……わかった。」


ヨウジは黙って引き下がる。


「まあ、技術を上げながらお金ももらえるというのは、お得といえばお得ね。それにもしアンタたちと別れることになっても、冒険者ランクはCになるみたいだし。」


「はじめから別れる前提かよ!」


「そんなこと言ってないわよ!アンタが途中で逃げ出すんじゃないかと心配してるだけよ!」


「その言葉そっくり返してやる!」


怒鳴り合う二人を見ながら、ヨウジはぼんやりと思った。


ライトがいた頃、こんな口喧嘩は——なかったな。あいつはいつも、気づけば間に入っていた。オレがやっていたのと、同じように。


それが当たり前すぎて、誰も気にしていなかった。オレも含めて。




-----------------------------------------------------------




「じゃあ、一緒に申し込みに行くわよ!」


ギルドの受付カウンターに向かうと、窓口の前に見覚えのある背中が三つ並んでいた。


ダイ。エティ。ヨウジ。


「……。」


オレは何も言わなかった。


「知り合い?」


マチが声を出しかけた。


「……まあ。」


「あー、そういうこと。」


マチは一瞬キョトンとしたが、すぐに察してくれた。


三人はまだこちらに気づいていない。エティとダイがいいあらそっている。ヨウジが受付に申し訳なさそうに立っていた。


オレたちは別の窓口へ静かに移動した。


「冒険者パーティー養成学校への申し込みをお願いします。」


「はい、お二人ですね。こちらにメンバーのお名前とパーティー名をご記入ください。」


パーティー名、考えてなかった。


あー、これか。あいつらが言い争っていたのは。


「どうする?」


おもわずマチに視線を送る。


「んー、難しいわね。」


オレは少し考える。


「”クエスター”ってどう?」


「探究者か、ありがちだけどいいんじゃない?覚えやすいし。」


マチは快諾してくれた。


「以上で申し込み完了です。入学式は来週の朝、ギルド前広場にお集まりください。」


「ありがとうございます。」


振り返ると、三人はまだ揉めていた。エティとダイの声だけが、ギルドの中に響いている。


「なんなのよ、ダイの考えた『サンバルオン』って!ださすぎるわよ!」


「うるさい!お前の『プリティア』こそ、男が名乗れるか!」


「行こう。」


オレはマチに声をかけた。


「……いいの?」


マチが小声で聞いてくる。


「何が?」


「あいつら、アンタの元パーティーでしょ。なんか言わなくていいの。」


「ほっとく。」


「え?」


「関係ない。それより飯でも食べよう。申し込み記念で何かおごってよ。」


「なんでアタシがおごるのよ!」


マチが声を上げた瞬間、ダイがこちらを振り向いた。


目が合った。


一瞬だけ。


オレは視線を切って、出口に向かった。


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」


マチが慌ててついてくる。


外に出ると、心地よい風が頬を撫でた。


後ろから、エティの声が聞こえた気がした。でも振り返らなかった。


もう、関係ない。



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