自称潜在力Sの女剣士とMP10 の魔道士
オレとマチは改めてあいさつをした。
「あらためてお礼をいっておくわ。あなたなかなかやるわね!今日はアタシのおごりよ!」
マチはそういって、笑顔をみせる。
「ありがとう、そういってくれるとうれしいよ。」
そういえば、前のパーティーのメンバーはこんなことは言ってくれなかったな。
「ところであんた、どんな魔法ができるのよ。基本魔法しか使えないとかいってたけど。」
「回復魔法、補助魔法、各属性魔法だいたいできるよ。でも全部基本魔法だけど。」
「全部?へえ、すごいじゃない。」
マチはポテトをかじりながら話す。
「でも、基本魔法ばかりだけどね。そういえば、君は鑑定スキルもちだって?」
「そう、世にもまれな鑑定スキルもちの一流剣士よ!ワタシのスキル【万能分析】にかかれば、ステータスや敵の弱点まで丸見えよ!」
「剣士なのに鑑定士なの?それにさっきジャイアントバットから逃げてたよね。」
「う!……そ、そう!いい?主人公というのはね、今の強さE、潜在力Sというのがちょうどいいのよ!アタシはまさにそれなの!」
「要はEじゃないか!」
思わず声に出た。
「そこはツッコまなくていいのよ!」
マチは顔を赤くしながらポテトを口に詰め込む。
「そう、天は二物を与えたのね。すくなくとも剣術はまだ使いこなせてないけど。」
マチは意味不明に遠い目をする。
「じゃあ、なんで1人でやってるの?その鑑定スキルがあればパーティーに入れてもらえそうだけど。」
「鑑定しながら前衛するのは難しいのよ!アタシは前に出たいのよ!なのにあいつらは後ろから後方支援をしろとかいって!だから追放、いえ、ワタシから出ていってやったのよ!」
チームプレイができない残念な子だな、とおもわずジト目になった。
……まあ、立場はオレと同じか。
「ハハハ……じゃあ、行き場所がないのは俺と同じだね……」
思わず乾いた笑いが出る。
「いえ、行き場所ならあるわ!アンタ、ワタシのパーティーに入りなさい!」
「は?君のパーティーって……君はソロじゃないの?」
「細かい話はいいのよ!ワタシに考えがあるわ!今晩やすんだら、明日もう一回、町の外へ出るわよ!とりあえず今日は食べるわよ!」
「……考えって、本当にあるの?」
「わたしに任せなさい!」
マチは自信満々にいった。
温かい食事が、久しぶりにうまいと思った。
◇
翌日、俺達はフィールドにモンスター・ハントにでた。
しかし、いきなりとんでもないやつと遭遇してしまった。
アイアン・ベア。
鉄のように硬い毛皮で覆われた全長3メートルはあるクマの魔獣。
Cランクの魔獣だ。
「マチ、やばい。そーっとだ、そーっと離れるぞ。」
オレはマチにそっと離れるように頷く。
「チャンスね、あいつの毛皮とか牙は高く売れるわ!」
「いや、どこがだよ!勝てるわけがない!」
オレは小さな声で彼女に突っ込む。
「ワタシの【万能分析】であいつのステータスを調べたわ。やつの弱点は氷結、攻撃力はすごいけど、あたらなければどうということはないわ!」
「無理だよ、オレの魔法じゃ倒しきれない。」
オレは彼女を説得する。
「ライト、あんた、補助魔法はどんなのつかえるの?攻撃力アップとか、防御力アップとか。」
「そういうのは上級魔法だから無理だよ。オレはせいぜい、身体能力をあげてすばやさをあげるくらいだ。」
そういって、そういうのはエティが得意だったなと嫌でも前のパーティーを思い出す。
「いいじゃない、それをワタシにかけなさい。限界まで!」
「え、でも…」
「いいから早く!」
「わかったよ。」
オレはマチに促されて、身体能力を上げる魔法「ドーピング」をかける。
数回かけて気がつく。
「あれ?まだ限界がこないんだけど…」
身体能力を上げると言っても、通常、受ける側に限界がある。 超人になれるわけがない。
が、このマチは。
「ふははははは、力が湧き上がってくるのを感じるわ!なにを驚いてるの!言ったでしょう、ワタシの潜在力はSだって!」
胸をはって、高笑いをする。
そのとき、アイアンベアがこちらに気づいた。
「マチが高笑いなんかするから!」
「アタシが前にでるから、あんたは援護よろしく!」
そういうとマチは風のようにアイアンベアに向かう。
「なんちゅう速さだ!」
思わず声に出る。
アイアン・ベアは立ち上がり、右手をマチに振りかざす。
しかし。
「ふふん、この程度!」
マチにはかすりもしない。
しかし、マチも剣戟でアイアンベアの毛皮を貫けない。
「今よ、援護して!」
わかった。
『氷弾』
魔力を帯びた氷の刃がアイアンベアに命中する。
ガァアアアア!
アイアンベアは雄叫びをあげる。効いてはいるが致命傷にはならない。
『氷弾』
『氷弾』
『氷弾』
『氷弾』
『氷弾』
ガ、ア……
「ちょ、アタシの出番が…」
マチが声をあげるが、オレの魔法でアイアンベアは完全に凍りついていた。
「やりすぎよ!アタシの出番がないじゃない!」
「でも、このままじゃどうしようもないから、最後はマチがとどめを刺さないと……」
「それもそうね!じゃあ、アタシがとどめをさすということで!」
マチは上機嫌に魔獣にとどめを刺す。
「いえーい!」
マチがハイタッチを求めてくる。
「ハハ。」
オレも笑顔でハイタッチを返す。
しばらくして、マチがふと思い出したように口を開いた。
「ねえ、さっき気になったんだけど。あんた、またMPがゼロになってたわよ。それでもずっと魔法が打ててたわよね。」
「……そうなのか?」
「そうよ。【万能分析】は嘘をつかないわ。あんたのスキル【尽きぬ泉】、やっぱりただものじゃないわね。」
マチは腕を組んで、じっとオレを見る。
「……正直、まだよくわからないんだよな、自分でも。」
「まあいいわ。追々わかるでしょ。それより、これどうやってギルドまで運ぶの。」
オレは3メートルはある魔獣を見て苦笑いをこぼす。
「ギルドの人を呼んでくるわ。報酬は山分けでいいわね、5分5分。」
「いいの?とどめを刺したのは君だろ?」
「なにいってんのよ、二人で倒したんだから当然でしょ。」
マチは当たり前のようにいう。
前のリーダーは一割しかくれなかったなあ……
これが仲間というやつか。
「ありがとう、マチ。」
「なによ、変なやつね。」
マチは照れたようにそっぽを向いた。
◇
「おい、これあの二人が倒したらしいぞ。」
ギルドの前でバラされたアイアンベアの巨体を見て、見物人がざわついている。
「しかも、保存状態も完璧じゃないか。氷漬けのまま運んできたのか。」
「おう、お二人さん見事だったな。これが報酬だ。」
オレたちは、銀貨の詰まった袋を受け取る。
「やったあああ!」
マチとオレは再びハイタッチする。
「やるじゃねえか、若いの!」
それを見ていたベテランの冒険者やギルドの人たちが拍手をしてくれる。
オレは冒険をしてはじめて誇らしい気持ちになった。
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そんな二人のやり取りを遠目で見ていたものたちがいた。
「ねえ、ダイ、あれどういうことよ!」
エティが悔しそうにつぶやく。
「知らねえよ!偶然だろ、きっとあのパートナーの女剣士がすごいんだろ。」
ダイはいまいましそうに吐き捨てる。
「で、どうすんのよ!あのシルバって人も、ちょっと愚痴をいっただけでクビにしちゃったし。」
「しかたないだろ、あいつ使えなかったんだから。そんなに向こうがうらやましいなら、アッチにいけよ!」
「はあ?うらやましくなんかないわよ!」
言い争う二人を見て、ヨウジはため息をつくしかなかった。
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