對・雪太郎戰(1ラウンドめ)
〈ピンサロの名は「狸御殿」ふと嗤ふ 涙次〉
【ⅰ】
孟悟仁- との對決。カンテラの長い一日が始まつた。約束の多摩川河川敷、孟-遷姫組は先に到着してゐた。じろさんのトヨタ・コロナ2000GTに、カンテラ・じろさん・テオが分乘、そして後部シートには窮屈さうに白虎が「詰め込まれ」てゐる。「龍」は牧野に跨がられ、天翔た。「遅イゾ、かんてら。時計ヲ持ツテヲランノカ?」-「だうやらあんた、日本の宮本武藏の故事を知らんらしい。遅れて來た方が勝ち、と日本では決まつてゐるのさ」-「? マアイゝ。デハ俺ノ式神ヲ呼ブトシヤウ」。孟の「式神」とは、* 笹雨雪太郎だつた。「なんだ、雪太郎か」-「俺ノ式神ハ原則トシテ現地調逹ト決マツテヲル。オ前ノ記憶カラ呼ビ出シタ此奴ガ、マヅオ前ノ相手ヲスル。云ツテ置クガ、ぱわーあつぷシテイルカラナ。肝ニ命ジテ對戰セヨ」
* 前々シリーズ第103話參照。
【ⅱ】
「久し振りだな、カンテラさんよ」-「何が得物だ?」-「こいつさ」。チャカである。見たところ、スーパーコルト・オートマティック。8連發だ。雪太郎の服の着こなしから見て、一丁しか持つてゐない。8發凌げば、勝機は見えて來る。雪太郎がせつかちに口火を切つた。だが- 剣で受けた感触は、普通の銃彈のものと違ふ。だうやらダムダム彈を使つてゐるらしい。ダムダム彈とは、彈頭の先端が剥き出しになつた彈。命中すると體内で炸裂する。いかなカンテラと云へど、再起不能必定だ。象の密猟などに惡用される為、使用は世界協定で禁じられた。(ぐわ、何だこのヘヴィな手應へは。傳・鉄燦よ、だうか8發撃たれる間、持つてくれ!)
【ⅲ】
「あゝ、見ちやゐられないよ! カンテラ殿、助太刀仕る!」。雪太郎のバックはがら空きだつた。じろさんそれを見て、羽交ひ締めを仕掛けた。だが、パワーアップした雪太郎は、身を捻ぢり、(じろさんの怪力をものともせず)強引に振り解かうとする。それでもじろさん、必死にしがみついた。
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〈我が素足ぢつと眺めて時を待つやる氣も何も沈みゆく俺 平手みき〉
【ⅳ】
然しだうやら(流石じろさんで)、ロックは決まつたやうだつた。最早銃撃のショックに耐へられないと讀んだカンテラ、叛撃に出た。彈道の乱れた銃彈を掻ひ潜り、カンテラの突き!「しええええええいつ!!」突きは雪太郎の急處を捉へた。雪太郎は緑色の血を流し、地べたにつつ臥した。
【ⅴ】
「サテ、コレグライニシテ置クカ。マダぞんび化スレバ此奴デ攻撃出來ルガ」-「負け惜しみを云ふな! 俺逹の勝ちだ!」。「ソレヂヤ次行ツテミヤウ」-「何!?」-「次ハ玄武ダ」。式神は數限りないのか。延々と續きさうな攻撃に、カンテラは、(此奴は飛んでもない奴に目を着けられたやうだ...)今更ながら、自分の不運を呪つた-
【ⅵ】
次回、玄武(さつき式神は現地調逹と云つたばかりなのに...)vs.白虎。お樂しみに。また。
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〈誰も彼も狢同じ穴に棲まうよ 涙次〉
PS: チャンバラは書いてゐて樂しいが、氣力を消耗させる。今日のところはこれで限界。一旦筆を休めさせて下さい。作者より。




