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人類最後の地 Ⅰ熱暑の北極

作者:島石浩司
 百数十年前、多くの旧都市が崩壊していくなか、大陸の北で最後まで機能していたオタワという都市の住民が環境悪化と災害から北へ逃れ、海を渡り最北の島に辿り着いた。人々はその島の北極海に面する地に都市を再建するため懸命な努力を続けた。

 人々はその地で、まず文明に必要な電力を得るため滝を利用した水力発電所を造り、空調と酸素発生機を作動させ山の洞窟内を酸素と冷気で満たす事に成功した。人々は久しぶりに熱気と酸素不足の不自由な生活から逃れる事が出来た。さらにその電力を利用して山の麓に空調の効いた住宅ドーム、農場ドーム、工場ドームなどが建てられ、人々の生活を豊かにしていった。
 技術者達は更なる電力を確保するため、山の麓に安全性に配慮した高性能の原子力発電所を建設した。有力な大国が滅亡した最終戦争以来、2百年間途絶えていた原発電力が甦り、その豊富な電力を利用して次々と巨大ドームが建設された。幅数百メートル、高さ数十メートルに及ぶ広々したドームの中にはオフィスビル・高層住宅・商業施設が建ち並び舗装道路に電気自動車が行き交う、21世紀の人類最盛期ニューヨーク等の大都市で見られたような生活が再現された。昔の映像でしか雪を見た事のない人々のためにドーム内に人工雪を降らせ、スキー場やスケートリンクが造られた。インターネットが再構築され、人工知能による電気設備・工場生産の管理がされ、各種ロボットにより人々の生活はさらに快適さを加えていった。周辺地域から人々が流入し、ドーム都市の人口は十数万人の規模に達した。

 しかしその豊かな生活は原発建設から八十年後、突然失われることになった。絶対安全と言われていた原発が、ある夜何らかの原因で暴走・制御不能となり原子炉爆発が起こった。その原因は、部品の老朽化、あるいは人工知能の異常、あるいは外部からの侵入者によるテロだったと言われている。電源が切れ暗闇のなかに残されたドーム内の人々が翌朝見たのは、破壊された原子炉から立ち昇る白煙だった。
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