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砂漠の紅華  作者: 馬来田れえな


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和解

メーレの都と

沈黙の砂丘群のちょうど

中間地点に

反乱軍は拠点を築いていた。


 私達が近づくと

 民兵があわてて武装する。


「国王軍の生き残りだ!」


「王も王妃もいるぞ!」


「俺たちは謀反で処刑されるのか!?」

 

「何とかして追い払え!」

 

「アルフォス様がいないのに

 どうするんだよ!?」

 

 もはや統率など取れていない。


 騒ぎ立てているだけだ。


 アディスが

 右手を高く掲げ

 告げる。


「お前たちは

 すでに指揮官を失っている!

 謀反人アルフォスは死んだのだ!

 このまま、反乱を続けるというならば

 このシュメシュはティファンの属国と

 されてしまうぞ!

 すでにメーレの都は、ティファン軍に

 制圧された。

 我らの地奴らに蹂躙される。

 それがお前たちの目指した反乱の

 結末だ!」


 反乱軍がどよめく。


 迷いが生じたのが明らかだ。


 彼らにはもう

 戦う理由がないはずだ。


 しかし、武器を手放そうとしない。


 なぜ?

 戦いを続ければ続けるほどに

 ティファンの介入は

 免れないことは

 彼らも分かっているはず。


 気が付いた時には

 シュメシュは消滅し、

 ティファン国の一部となっている

 結末しかない。


 「今この場で、

 お前たち全員の首を討つ!!!」


 アディスの言葉に

 反乱軍の兵士は

 凍り付いた。


「何を突っ立っている!

 さっさとひざまずき、

 首を差し出せ!!」


「アディス、待って!

 もう反乱軍に戦う意志はないよ。

 全員殺すなんて

 私が許さない!」


 怒鳴りかかってくる

 アディスを無視して

 私は大きな声で伝えた。


「反乱軍よ、武器を捨てなさい!

 今、降伏すれば

 一切の罪を問いません。

 気高きシュメシュのアディス国王にも、

 慈悲はございます。

 わたしが、王妃マリナが!

 あなた達の命を保証します!」


勝手な真似をするなと

暴れるアディスを

ハビエルが必死に抑えつける。


「武器を捨てなさい!!!!!」


 一人、二人、三人……

 ばらばらと

 兵士が武器を投げ捨てる。


 連鎖するように

 また一人、また一人

 武器を捨てる。


 彼らは大粒の涙を流しながら

 武装解除した。


 私は振り向いて

 笑顔でアディスに言った。


「ね?

 斬り捨てる必要なんかない。

 ちゃんと伝えれば

 必ず、分かり合えるんだよ」


 アディスが

 参ったなという顔で

 苦笑いをした。


 「マリナ様が

 反乱をお止めくださった」   

 

「もう闘わなくていいんだ……」

 

「マリナ様は慈悲の女神だ」


 兵士たちの涙は止まらない。


「みんな!泣いてる場合じゃないよ!

 私と一緒に

 メーレの都に帰って

 ティファン軍をぶっ飛ばさなきゃ

 いけないんだからね!!!!」


「おーーーーーーーーーー!!!」


砂漠に

雄叫びが上がる。


「なんてことでしょうか。

 軍隊まで、まとめ上げるとは。

 本当にマリナ様はシュメシュ王妃に

 なるべくして、この地に参られた

 お方だと申し上げるしかございませんね」


 ハビエルの言葉が

 私にも聞こえた。


 ちょっと照れ臭かったけど 

 正直まんざらでもない。

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