2話 入学
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叔父さんの話を承認して詳しい話を聞いてから早1ヶ月ほど経った。
見学については行けなかった。
その理由として、叔母さんがかなり忙しく、仕事をしていたからだ。
まあ、無理もない話だが俺が入学させられる話を叔母さんに話したらめっちゃ怒っていた。
マジで怖かった…鬼が現れたと思ったわ。
「何をしているのです?私に仕事を増やして自分は余暇を過ごすと?」
「ふっ…イエス!」
「仕事増やしますよ?」
「だが、断る。」
「それを断る」
「ぬぁぁぁにぃぃぃ!?」
って会話があって叔母さんに絞められた叔父さんは次の日、1日中仕事をさせられたわけで見学はできなかったのだ。
見学せずに入学が決まってしまうのは心配しかないが大丈夫なのか?
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時が過ぎ、春休みはあっという間に終わった。
約3週間の時間はあったが時間はすぐに過ぎてしまった。
もっと休みが欲しかったと思ったのはいうまでもないが実に悲しい。
時間の流れの早さを実感する頃、4月になって俺は高校生なった。
高校生活ー青春が詰まっているはずの毎日。
よくアニメが見ているような理想な学校生活を送れるのか、少しだけ楽しみにしていた。
が、そんな夢見たいな高校生活は送れないだろう。妄想を膨らませるような学園ではないんだよな…
俺が通うのは、「能力学園東京校」という学園。
どんな学園なのか、何をしればいいのか、叔父さんから話を聞いた。
……正直、話を聞いて気になることは多かった。多かったというか多過ぎた。
意味が分からないと言えるくらいには常識はずれ
どんな学園なんかネットで検索して情報収集としようと能力学園についての情報を集めようとしていたが情報が少なく、信憑性のない情報ばかりでよく学園に行こうと思ったくらいだ。
あの時に断れば良かったと後悔している。
「よくそんな学校に行く気になったな」と自分でも思ったくらいに学園は怪しく、謎がある。
納得できない部分も多かったが、「そういう学園だから」と言われてしまえば、諦めるしかない。
文句を言っても今更どうにもならないし…
今の時代、自主性が求められている一方で、能力学園はなんだか古い。
個人の意見だけでどうにかなるような世界ではない。
思っていた以上に、「常識が通じない」恐ろしい学園だということが、段々と分かってきた。
俺が知っている高校についての情報があまりにも活用できないほどに古い考えを持っていると言えばいいのだろうか?
そういう古い考えを持っているが古い考えを持っている学校とは比べ物にならないほどおかしいがな。
常識はずれなことをやっているのが常識と考えているのか?
どちらも正しく、実に異質。
個人の意見で何とかなる程甘い世界ではないし、思ったよりも能力学園は常識が通じない恐ろしい学園であることが分かった。
だから、断りたい。
だが、遅過ぎた。
「どこが恐ろしいのか」って?
そうだな……一言で言うと、「現代では考えられないことを平然とやってる」ってところかな。
もっとも、今の時代でもブラックな校則の学校は存在する。
修学旅行がなかったり、スマホの使用が厳しく制限されていたり。
それは田舎だからってわけでもなく、学校によるんだろうけど。
そんなことを言っても高校によって昭和のような校則が残っているところがあるから何とも言えない
……とはいえ、能力学園の“常識が通じない”っぷりは、それとは別格だ。
別に校舎内のスマホの使用を禁止しているとか恋愛禁止をしているわけではない。
今の時代に、スマホ禁止する制限は多少緩和しているが田舎とかになると結構厳しい。
旅行中にスマホ使用を制限している学校もあるみたいって話は聞いたことがある。
新幹線で「移動中にスマホを使うな」と言っている学校もある。
令和なのに古い校則の学校もある。
4時間以上の移動でも禁止している学校があるというのが理解できない。
でも、能力学園はスマホ自由だ。
今の時代の高校生にそんなことをするのか?
鬼畜すぎるだろって俺が思うくらいにはやばい高校もあるからな。
俺の学校はそう言うスマホの使用制限はなかったが令和の時代でも考え方が昭和みたいな考えをしている学校もあるんだなと他人事を俺はしている。
まあ、話を戻すとしよう。
厳しいのはスマホ禁止とか定期テストの難易度が高いとかそういうものではない。
実力主義のため、上下関係が他の学園と比べて別の意味で厳しい。
先生の命令を必ず聞けと近いもので、実力の高い生徒の命令を実力の低い生徒は必ず聞かないいけないという体験したくないことをさせられる。
社会人なったら我慢強さが必要になるから実力主義もある意味正しいが失敗したらとんでもない罰が下されるかもしれない。
今の時代、やったら批判されるようなことをするってわけだ。
怖いよ…
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春休みの間は、中学の友達と遊んだり、ゲームしたりして過ごした。
3週間以上もある春休みは、冬休みよりずっと長く感じた。
まあ、実際に長いしな。
1.2年生の在校生よりも1週間長かった。
みんなでゲームをして、勝ったり負けたり。
楽しかった思い出の一つだ。
ところで、俺が本来目指していた志望校は――残念ながら、入学を取り下げられた。
数ヶ月間、頑張って勉強してきてようやく勝ち取った推薦が無駄になり、無と還った。
泣きそうな気分。
俺の努力は、一体どこで報われるのだろうか。
報われる日は、来るのだろうか。
あることを祈る。
いや、あることを望みたい。
何もなかったら意味がないというやる気が生まれなくなる。
とりあえず、今は前向きに考えるしかないな。
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能力学園の制服は政府――あるいは学園側から支給された。
「買った」ではなく「貰った」のだ。驚きだろ?
普通は制服専門店に行って、試着して購入するものだけど、能力学園では違うらしい。
政府から支給された。
制服を無料にもらうことが出来るのだ。
中学生の制服ですらお金を支払う必要があったというのにそれが必要ないというのは能力学園の異質さがどれほどなのか分かる。
ちなみに、制服は青と白を基調としたブレザーで、かなり目立つデザインだった。
一般的には黒色が多い。
青色のブレザーの学校もあるが青色のブレザーを制服にしている学校は今は少ない方だろう。
黒が多いはずだ
しかもネクタイは無し。校則でネクタイ着用は“自由”らしい。
……そんな校則あるのかよ。
でもまあ、ネクタイをしている高校は少ないから普通か。
「春休みって、短いよな」
カレンダーを見ると、明日が入学式。
つまり、明日から俺の高校生活が始まる。
入学式が明日なんて鬱になりそうだ…
寮に持っていく荷物の準備は既に終わっている。
能力学園は寮生活が基本で、俺も例外なく、寮暮らしだ。
家から通うこともできるがそれは家から能力学園までの距離が短い家庭だけ。都外から来ている人はいるため、ほとんどの人は寮生活を余儀なくされる。
服、本、生活用品……持っていく物が多くて大変だったが、仕方ない。
「流星」
母さんが俺の部屋に入ってきた。
なんで入ってきたんだよと思ったら部屋の時計を見ると、18時を過ぎていた。
なるほど、夕飯か
「ご飯よ」
「ああ、分かった。今日は何?」
「ラーメンよ」
「ラーメン……まあ、いいけど」
嫌いじゃないけど、春休み最後の夕飯がラーメンとは意外だった。
いつもより少し豪華だし、よしとしよう。
制服を脱いでハンガーにかけ、母と二人で食卓につく。
父と姉がいない夕食には慣れていた。
最初は寂しかったけど、もう慣れた。
姉はすでに就職していて、一人暮らし中。
働き始めてからは会う機会も減ったし、マンションの場所もよく知らない。
父は警察官で、帰宅はだいたい夜遅く。
公務員って忙しいんだな……なんて、他人事みたいに思っていたけど、実際はかなりハードな仕事だ。
公務員のことを考えると中学校の先生たちもかなり忙しかった。部活もあるから顧問として休日出勤もあったからな。大変なのは間違いない。
聞いた話じゃ時間外労働が月100時間を超えているらしい。一般のサラリーマンより超えているから聞いただけでもとんでもねえよな
そう考えると警察官も忙しいだろう。公務員のほとんどは忙しいからな。
だから、母と二人で食べる日がほとんど。
夕食のラーメンは量が多かったが、すぐに食べ終わった。5分もかからなかったと思う。完食した。
風呂に入った後、今日は早く寝ようと決めてベッドに入った。
意外とすぐに眠れた。緊張で眠れないかと思ったのに、案外そうでもなかった。
「寝るのって、意外と簡単なのかな……?」
そんな疑問を抱きながら、いつの間にか眠りについていた。
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「流星〜! 起きなさーい!」
危うく二度寝するところだった。
格好良く起きようとしたのに、普通に寝ぼけたままだったのが残念すぎる。
「ふわぁ〜・・・眠い・・・」
正直に言うともっと寝たかった。
しかし、今日は入学式。昨日ならまだしも今日から学校がある。
本当に嫌だね…眠いのに二度寝できないし…
今何時だ?6時半か。間に合うな
すぐに降りて俺は飯を食べた。
朝から焼き魚は食べるのに時間は掛かったがなんとか準備して間に合った。
「行ってきます〜」
「行ってらっしゃい〜」
家の玄関の扉を開けて俺は学園に向かって歩き始めた。
陽が眩しい…
「うわっ…光つよ…」
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今日は入学式。
俺はついに「能力学園 東京校」に入学する。
能力学園――それは政府が設立した、能力者専門の国立学園。
能力者しか通えない学園だ。
能力者ではない人は通えないため、入学できる人が限定されている学園。
設立した理由は、能力者同士の交流を促すため。
能力者の割合は、世界人口の1〜2割ほどだと言われている。
つまり、教室に40人いたら4〜8人が能力者ってことになるが、実際はそんなに能力者はいない。
日本は世界から見て少ないのだ。人口の1割程度で世界から見て人口の割合から能力者の数が少ない。
約100年前に能力者がたくさん亡くなった大事件があったらしく、大きくの人口が減って能力者の数が減ったのが原因らしい。
今は解決しているらしいがその影響は今でも受けているってことだ。
まあ、能力者であることを明かす人が少ないから、能力学園で偶然再会する――なんてこともあるらしいし
叔父さんからそう聞いた。
ただ、基本的に政府に能力者であることを明かす必要があるから今は能力者であることを明かさない人はほとんどいない。
自分が能力者であることを明かさない人は周りの人に能力者であることを教えないためだけに明かしていないようなものだ。
ちなみに、世界各国にも同じような学園が存在し、それぞれの国の政府が管理している。
日本には東京校と大阪校の2校があり、東日本と西日本で分かれている。
能力者は日本では人口の1割程度なのは先程あったように事実。
日本人口が1億2000万人くらいだから…そこから1割程度となると…大体…能力者は1200万人いるくらいか?
いや、もう少し多いから1400万人?1500万人?
どれくらいいるのかは知らないが1200万人よりは多いはずだ。
正確な数は分からないがな。
俺が東京校に入学するのは、叔父さんがこの学園の学園長だからだ。
大阪校には父方の従兄弟が通うと聞いている。
父の姉の子のことであるがまあ、大丈夫だろう。
なんで大阪校なのか分からないけど親の実家が近いから?
そう言えばあいつらどこの高校に入学するのだろうか
あいつらって誰?って?
中学の同級生である
ほら、春休みに遊んだとか話したじゃん
その友達だよ
え?ならお前はひとりぼっちかって?
・・・そうなりますね。
でも実際はどうだろ?
同じ中学の同級生が同じ高校に通うかもしれないし…でも、あいつらがどこに通うのかは教えてくれなかった。
春休みの最後に結局聞いても教えてくれなかったし…まあ、なんやかんやで登校して能力学園東京校に向かっている。
歩いてそれなりに時間が経った後に大きな建物へと着いた。
巨大ってほどではないか?いや、推薦を取り消された高校より倍くらいは校舎が広いから巨大か
「デカいな」
ここまで大きいんならたくさんの人が入学するのか?何人入学するのだろうか…
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学園に向かって歩いていると、やがて大きな校舎が見えてきた。
「ここが能力学園……」
正門には「入学式」の看板が掲げられていて、期待と不安が入り混じる。
不安がある理由はある。この学園には、「ランク制度」という制度が存在する。
S、A、B、C、D、Eの6段階。
ランクごとにクラスが分けられていて、入学直後に水晶を使って自分のランクを判定されるらしい。
これがまた、すごく実力主義の学園らしい。
伝統らしいけど、どうにも釈然としない制度だ。
文句を言ったところで、「伝統だから」と一蹴される。
本当に、この学園は常識が通じない。
ガラスのように繊細な俺のハート、どうか傷つけないでください。
ランクが低くないことを祈る。
学園の校門を潜って入ると新入生達はどこかへ向かっている。
生徒玄関に向かっているのではなく、別のところに向かっていた。
どうしてなんだろうかと思いながら俺も行くことにした。
体育館に集まった新入生たちの前に、試験官のような人物が現れた。
いくつかの水晶を並べ、説明を始める。
「これから、みなさんにはこの水晶に触れてもらい、能力の実力を測定します。表示されたランクに応じてクラス分けを行います」
ランクによってクラスが決まる――まるで現代の価値観を逆行しているようなシステムだ。
ランクを決める水晶があるとは聞いていたがまさか本当だとは…噂話の可能性も示唆されていたが違ったか。
俺の苗字は「海野」。
名簿が五十音順なら、呼ばれるのは早い方だ。
水晶に触れると、中にアルファベットが浮かび上がる。
その文字が自分のランクとなり、それによって配属先のクラスが決定する。
・・・・・・果たして俺のランクは――。
⸻
俺の指先が、水晶に触れた。
一瞬、ひやりとした冷気が手のひらを包む。だがそれは、すぐに熱に変わった。まるで俺の体温を吸い上げ、何かを測っているかのように。
次の瞬間、水晶の内部が——光り出した。
最初は淡い青。その光が脈打つように波打ち、やがて色を変えた。赤、金、そして深い紫へ。
まるで何色にも染まりきれず、全てを受け入れているような、そんな混ざり合った光。
「な、なんだあれ……?」
「色が……変わり続けてる?」
ざわつく声が背後から聞こえる。俺自身も何が起きているのか理解できず、水晶から手を離そうとした——だが、離せない。
熱も痛みもない。ただ、手が吸い付いたように、水晶から離れなかった。
そんな中、突然、水晶の光が収束した。
虹のように乱れていた色が一点に集まり、真っ白な輝きとなって静かに脈打つ。
まるで、全てを見透かしたかのように穏やかで、どこか威圧的な光。
——そして、声が響いた。
「測定完了。海野流星、ランクS」
その言葉と同時に、水晶の光がすっと消えた。まるで何事もなかったかのように、透明な球体へと戻っていく。
「Sランクです。おめでとうございます」
まさかの…Sランクだった。
信じがたいことに、あの水晶が示したのは、存在する中で最も高いランク・・・・・・最高ランクだったのだ。
高ランクになると思ったがまさか最高ランクになるとはな。
「まあ、いいわ」
最高ランクだろうが俺はこれからの学園生活を謳歌しればいいんだからな。
「高みを目指すのが俺に課せられた目的」
ささっとこの学園に入学した目的を果たして自由に学園生活を送るとしようか
2話投稿!
次回からようやく学園生活が始まります
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