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1話ー2 叔父からの提案

「ただいま」


玄関の扉を開け、玄関をくぐって、自分の部屋へと直行する。


俺の部屋の机に鞄を置いてから時間を見る。学校に出てから11分くらい時間が過ぎていた。


いつも通りの時間に帰ってきているな。


リビングに向かうと、そこには母さんがいた。


ただ、もう1人いるはずのあの人がいない。


アレ?あの人どこに行った?


いつも見かけている人がいるのだが珍しく、今は不在。

今日は今日はどこかに出かけてるのか?


母は台所で夕食の準備中。時間は17時過ぎ。ご飯を作る時間だ。


いつものようにソファでゴロゴロしようと思ったが先客がいた。


リビングにはもう一人いた。リビングのソファには見覚えのある人物が腰かけていた。

その人物を俺は知っている。


「久しぶりだね、流星君」


叔父の秀さんだ。

母の弟で、母より一つ下の弟にあたる。


母と秀さんは二人きりの姉弟はずだ。

ほかに兄弟がいたと今更言われたら驚愕を通り越して俺は呆れるだろう。


多分、そんなことはないが母方の親戚は母の父の親族以外には会ったことがない。

それに母の両親ー俺の祖父母とは会ったことがないのだ。


どちらも俺が生まれる前には亡くなっている。

確か、母さんが高校生の時に母の母ー祖母を亡くしたと聞いていた。

あっ…今は関係ない話だな。


叔父さんの仕事はどこかの学園の学園長をしているとは知っている


確か、叔父さんの仕事はどこかの学園の学園長――そう、能力学園とかいう日本有数の学校だったような…二十代という若さで学園長になったという話を聞いたことがある。


普通、学園長って教育現場で長年働いたベテランしかなれないんじゃなかったっけ?なんかおかしくね?


ま、詳しいことは知らないけど分かりやすく言えばすごい人ということだ。


普通ならあり得ないらしいが俺は教師の昇進方法なんてそんなに知らない。

学校によって昇格方法が違うのだろうか?

なんかの試験で合格するとかだったけ?

ちなみに学園長ということは学校で言う校長だ。


そんな人が、今日はなぜかこの家にいる。この時期は学園長どころか先生ですらめちゃくちゃ忙しいはずなずだ。


特に今の時期は今年度卒業する3年生と来年度の新入生の準備で忙しいはずだが、どうしてここにいるんだ?

サボってここに来たのだろうか?


今日は平日だ、休日ならまだしも今日は能力学園も授業があるだろうと思うが振替休日か?


それに珍しく家にいるので何か用事でもあるだろうか

俺に用事?

それか単に母さんに会いに来たのか

どちらかだろう


「久しぶりですね。叔父さん、この時期は忙しいじゃないのか?仕事は大丈夫?」


俺は心配して聞く

仕事から抜けてきたわけではないと信じている


「確かに私は今忙しいが秘書に押し付けたよ」


おい、それ逃げてきたんじゃないのか……?それでいいのかよ。秘書さん、大変だろうな……って、秘書って叔父さんの奥さんじゃなかった?

叔母さんよく許したな。


いや、たぶん、許可なんか出てないな。

こっそり抜け出してきたんだろう。許可なんて貰ったとは思えん。


俺が知っている叔母さんは厳しい人だ。家族に甘いが叔父さんには厳しい。


親戚の集まりで、叔母さんが正座した叔父さんを叱ってた記憶がある。あれ、怖かったなぁ。


叔父さんの息子――つまり俺の一つ上の従兄弟は、あれが「いつものこと」だって言ってたけど…それでいいのかよ。いつもって…駄目駄目じゃんって思ったよ。


いつものことでいいのかよとよく文句を言っている。

それを聞く俺の身になってほしいとそんなことを言っても無視する。


まあ、あいつ自身、何を考えているか分からないし、あいつに関しては放っておくとして仕事をサボってここに来た叔父さん。

いつも叱るあの叔母さんが許したのだろうか?

許したわけではなく、逃げた?ってことがあるかもしれない。

どうせ、逃げてきたんだろう。

サボりで決まっている。


今日ここにいるってことは、何か理由があるに違いない。じゃないと、またあの叔母さんに怒鳴られて終わる未来が見える。


ただ、逃げただけだったらすぐに叔母さんがこの家に来るだろう。


おじさんが逃げる場所なんて把握されているはず…


「母さんに用事があったの?」


俺がそう尋ねると、答えたのは叔父ではなく、台所の母さんだった。


「違うわ。私ではなく、貴方よ。流星」


「……は?」


母の言葉に目を瞬かせる。

え、俺に用事?なんで?

あっプレゼントとかそういうやつか?

志望校に合格したお祝い的な?

と思ったけど、母と叔父さんの顔からしてどうやら違うかも。


期待していたがプレゼントとは違うんだろう。なぜかそう予想してしまう。


「流星が高校生になるタイミングだろう?私の学園に推薦しようと思ってね」


「……はあ?」


今なんて言ったこの人?


意味がわからない。能力学園の推薦って、そういう制度があったのか?っていうか、なんで俺を?


推薦をコネとか考えたことないぞ。なんで親戚の学園長から推薦を今貰うんだよ、おかしいだろどう考えても。


身内に贔屓し過ぎじゃないか?


ない高校もあるかもしれないけど

俺が知っている範囲では推薦がない高校はないと思うが知らない


ですが、違いましたってこと?


それに今やるのは遅すぎる。

俺は志望校に合格しているためと言っても今更別の学校の推薦をされても困る。


なんで今なんだよ、あまりにも遅すぎるわ。

言うなら数ヶ月前に言ってくれ、学園長の仕事が忙しいから言えなかったとしてもさ。


こっちは志望校合格しているんだよ。


とりあえず、今は俺に能力学園に推薦しようとしているのか理由を聞くとしようか。


「何故俺を?」


「君のお姉さん――芽衣奈ちゃんも能力学園の卒業生なんだよ。知ってたかい?」


なんで姉貴が出るの?


「え?」


知らなかった。というか、マジで? 姉貴が能力学園に通ってたなんて聞いたこともないんだけど。初めて知ったぞ。


いや、その名前に姉さんは元能力学園の生徒だったんだ・・・知らんかったわ。


「いや・・・え?」


能力学園の卒業生なんで知らない

なんちゃら学園なんちゃらに行っていたとは知っていたが当時の俺はどこの学園に行っているのかなんて聞いてなかった。


当時は興味なかったし、聞いていたとしても覚えいない。


なんせ、姉の高校なんて興味なかった。姉がどこに通うが当時の俺では文句を言っても意味ないからな。姉貴が選んだ選択を幼稚園児が我儘言っても何か変わることなんてないし…


「アレ?知らないのかい?」


驚いた様子の叔父。知ってると思ってたのか。知らん

姉が能力学園に通っていたと俺が知っていると思ってみたいだ。


まるで知っているかのように話を進める気だったのだろう。


すみませんが知りませんでした。ってか、本当に通っていたんかい。


「姉が高校生のときの学校名なんて、俺が幼稚園児の頃の話だし、正直記憶にないですね。流石に10年以上前の話は・・・寮に入ったって話だけは、なんとなく覚えてますけど」


あの姉が高校生に入学した頃って今から10年以上前の話だ。姉との年の差は11歳差。

姉が卒業した年は俺が7歳の時になっていたから…小学1年生の時か。

そこから3年前と考えると姉が入学した時はまだ俺は4歳。


幼稚園の時の話だから流石に覚えていない。記憶力に自信あるんじゃないって?ないないない


流石に10年以上前のことは知らんわ。姉が学校の寮で暮らしていたのは覚えている程度。寮生活になって姉がいない生活を送っていたことは記憶にある。


そう言えば、姉が高校生で寮生活を送ることになった時に俺は「行かないで!」姉に抱きついて泣いていたような・・・うわっ黒歴史だこれ


今考えると恥ずかしいな。思い出さなければ良かったな。10年以上前の昔のことは覚えていないとしても思い出しただけで恥ずかしくなる。


母と叔父は俺の反応を見て、納得したように頷いた。


「秀、この子がまだ幼稚園の頃だから当時のことをあまり覚えてないと思うわよ」


「・・・どうやら姉さんのいう通りみたいだね。その反応では覚えてないみたいだ。」


「芽衣奈ちゃんが高校時代の話をあまりしていないのか。少し驚いたよ」


姉が自分のことを話すタイプだってのは同意するけど、高校のことだけはマジで聞いてない。


学園ってどんなところ?と聞く機会はなかった。

いつの間にか大学生になったね〜くらいしか話していなかったような・・・


姉が大学生の頃が覚えているんじゃないか?

まあ、その頃は自我は流石にあっただろう。


え?4歳時点で自我ないのって?個人差ってやつですよ。5歳の時の記憶は多少あるけど・・・その前は「ん?記憶にないな」って感じに思い出すことができない。


「まあ、あの子は自分のことをよく話す子だから流星に話していると思っているみたいけど高校時代の話はあんまりしていないのよね。私とあの人も話していないけど」


母さんたちの高校生の頃の話なんて知らないな

父さんは父の姉の伯母さんのせいで京都から東京に通うことになって「あの時は驚いたよ〜」的な話はしていたという存在する記憶があるけどそれが妄想か分からない。


妄想であってほしいなんて言わないが


「姉さんも話していないのかい!?そりゃ能力学園のシステムを流星君が知らないわけだ」


能力学園のシステムってなんだよ

他の学園と何か違うシステムでもあるのか?


ただ、叔父さんは母の話に驚いていた。俺が能力学園のことについて知っていると思ったようだ。


知りませんでしたね、興味なかったので…

そして、叔父さんはお茶を飲んで姉貴の話をする。


「君の姉さんが卒業した能力学園は政府が管理している。国立学園ね。」


「そして、私はその学園長を長年やっているんだ。」


「能力学園の生徒会長をやってもう30年近く、学園に関わっている。学園のシステムの改善に努力しているが校則とか色々と複雑な関係で大変だね」


「昔と比べたらマシなんだが…それでも根本的な解決にはなっていないんだ。」


「情報量多すぎて理解が追いつかないんですが・・・・・・」


あんた生徒会長をやっていたのかよ。父さんたちの後に生徒会長になったとかは知らないがさらりとすごいことを言っている…


「根本的に解決できない理由は能力学園の古い伝統的な風習で能力至上主義なんだ。」


「または実力主義の学園。古くからの風習で、学園長になっても変えるのが難しいんだ。だからこそ、君の姉さんは君を推薦したんだ」


最後はなんだよ。あと、無理だろ。

姉貴のほうがずっと実力で上で強かったし、頭も良かった。東大卒の姉にできなかったことを俺にやれって、どういう理屈だよ。


ってかあの姉貴が生徒会長になるとかどんな学園だよ

ってか改善されていたとか言っているがとんでもねえ学園だろ。


あの姉貴が高校生時代となるとかなり荒れていた時の話だろ?ヤンキー顔負けのあの怖い姉貴が古い伝統を終わらせることができなかったのなら俺じゃ無理だ。


「その話は辞退します。あの姉さんすらできないのなら俺だって無理ですよ。」


なんやら面倒事があるみたいだが俺がやらなければならないことか?


あんたの息子たちにやらせばいいだろ。


話の内容は分かる。


叔父さんの話からして今の時代に合わないような校則から変えたいと言いたいのだろう。


だが、仮にその学園に入学したらとんでもないことが俺を巻き込んでしまいそうだから断る。


「いや、君ならきっとできる」


なんだよこの全幅の信頼。困るってば、そういうの。


あと、話のスケールが大きくて情報処理できないのに期待されては困るわ!


俺じゃ無理無理。


「母さん、なんか言ってよ。これ、最早新興宗教の勧誘レベルなんだけど。」


「そして、俺を助けてくれ」


最早、新たな宗教勧誘だろもうこれ。学園の伝統を変えたいと1人の生徒に任せるような問題のレベルじゃないだろ。


「新興宗教勧誘ではないわよ。それに私からもお願いするわ」


え?なんで??母まで俺に期待しているの?

なんで俺の味方じゃなくて叔父さんの味方なん?

酷い


あと、これ宗教勧誘じゃねえのかよ。


「なんで母さんまで!!?」


「この裏切り者!」


「裏切ってはいないわよ。」


「なら、息子の味方くらいなってくれよ。なんで母さんまで俺に期待しているんだよ」


どうして俺の味方をしてくれなんだ!


「結論から言えばね、能力者の犯罪率が年々高くなってるのよ」


結論もクソもないだろ。関係ないでしょ今の話。


突然何を言うと思ったら犯罪率?それが今の話に繋がるのかよ。能力者の犯罪率高い=今学園に勧誘されているはイコールされないからな。


「いや、知らん」


確かにニュースでは能力者絡みの事件も見かけるけど……それが関係あるの?


まさか能力者の事件発生率について解決しろとか言うんじゃないよね?まさか、息子の俺に社会問題を解決しろとでも言うのですか?


「能力学園の実力主義のせいで、能力が弱い生徒が学園内で追い詰められ、卒業後に暴走するケースが後を絶たないのよ。だから、そういう風土を変えたいの」


「それを俺がやるって話にはならないだろ」


それは叔父さんに言えよ。間違いなく、俺に言うことじゃないだろ。


能力者の犯罪率を低くするために根本的な原因だと思われる学園に入学してくださいと言われた中学生がその話を受けますってならんわ。


そんなやべえ学園に入学するなんてあるわけないだろ。それとまずは学園の問題を中学生の俺を巻き込んで解決しようという考えを辞めてくれ。


「だから貴方なら変えるかもしれない」


「無理だわ」


うん、だからさ期待しないでって


なんだよその信頼


「言っておくけど変えるって言っても俺だけでは圧倒的力不足だよ」


高校生活3年間で解決できるとは思えない。


「まあ、犯罪が少なくなるのは嬉しい。」


俺が事件に巻き込まれる確率が少なくなるならいいかもしれない。


「俺は平和主義だからな。事件が少なくなることは社会にとっていいことだと思う。でも、変えると言っても逆に何をしればいいんだ?」


何を知ればいいのか分からない。


本来起きる事件が無くなるのもいいことなのは間違いないが俺ができるような内容ではない。


「流星君にやってほしいのは社会問題となるようなその悪循環の元を断ち切って、能力者たちがまともに社会で生きられる環境を作ってほしいからなんだよ。」


「無理がある。できんわ」


「君ならそれができると思っている。」


「俺が社会問題を解決できるような人だと見えるの?」


「君を何年ーいや、十数年見てきた私からの評価だよ。頼む、嫌なのは分かっているが君にしか頼めないんだ」


俺はまた頭を抱えた。なんで俺がそんな大役を背負わなきゃいけないんだよ。あと、話通じねえ。


「俺、そんなことできるとは思えないよ。自由にやりたいだけで、そんな大きなことをやるなんて考えていない。」


できたら運がかなりいいと思うほどに難しく道のりの長い話だ。


中学の同級生が同じ高校だったら協力して無双できないな。いや、そんな都合のいい話があるわけがないか。


「達成できるのか分からないよ?俺できるのか全く分からない」


学園長が頼むってことはそれほど難易度の高いミッションなんだろう。内容だけでも分かる。


「わかっているよ。でも君の姉さんも同じように思っていた。」


へえ〜あの姉貴がね〜


あの姉貴なら深く考えず、「やる!」と返答していると思っていたわ。


「でも彼女は学園の内部で努力し、生徒会長として少しずつ変えていったんだ。君にはその意思を継いでほしい。」


姉貴の意思を継げって…


母さんも叔父さんも、真剣な表情で俺を見ている。逃げられそうにないな…なんで俺の自由権損害されているだろ?


「わかったよ。やるからには自分なりに頑張ってみる。でも、無理だったらすぐに言うからな。無理ですって」


俺は承認する。

なんか断っても一生終わらないみたいだし、やるしかないだろうな、

本当なら断りたかったけどね。

そもそも通いたい高校と違う地方だし…


「それでいい。まずは一度学園に来て、実際の様子を見てみるといい。私の秘書が君の案内役をするから。」


え?叔母さんに丸投げするの?

話が急すぎて頭が混乱したまま、俺は頷くしかなかった。

次回は入学です


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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