入学・学園編 0話 始まり
初投稿です!
「能力」とは、人が生まれ持った才能、あるいは後天的な訓練や経験によって得た力の総称である。
スポーツ、学術、芸術、技術、リーダーシップ──すべては「物事を成し遂げる力」という意味で、広義の「能力」に含まれる。
人類はその能力を用いて社会を築き、進歩してきた。
ある者は戦術眼で戦場を制し、ある者は芸術で人々の心を動かし、またある者は知識で国家を導いた。
ときに能力は、歴史を動かすほどの力を持ち、時代の命運すらも左右した。
しかし、それと同時に、人間社会は「上に立つ者」と「下に従う者」に分かれていった。
それは単なる階級制度や経済格差の問題ではない。
「能力の差」こそが、個人の立場や生き方を決定づけていったのだ。
現代においても、その構図は変わらない。
優れた能力を持つ者は夢を叶え、社会的成功を収める。
一方で、能力を発揮する機会に恵まれなかった者、凡庸と見なされた者は、知られぬまま埋もれていく。
能力とは、人生を左右する“差異”であり、時に残酷な“運命”である。
──しかし、そんな人間社会に、ある日、異変が起こった。
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能力者──人外の力を持つ者たち
「能力者」とは、常人の限界を超えた特異な力を持つ者の総称である。
彼らの力は、従来の「能力」の延長線上にはない。
それはむしろ、人間の枠を超えた“異能”の体現者だ。
現象を自在に操る者。
空間を歪め、時を止め、肉体の限界を打ち破る者。
魔法のような現象を素手で発動し、視線一つで相手の行動を封じる者。
何トンもの物を持ち上げ、光速に迫る速度で移動し、精神を支配し、死者の魂に干渉する者すらいる。
もはや彼らは「強い人間」ではない。
その本質は、人の形をした“異形”の存在であり、神にも悪魔にも喩えられる。
ゆえに能力者は、人々から恐れられ、崇められ、忌み嫌われてきた。
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能力者の誕生と、世界の変貌
能力者が初めて歴史の表舞台に姿を現したのは、18世紀後半。
イギリスの片田舎に生きていた一人の少年が、“人外の力”を発現させたとされている。
彼は後に「始まりの能力者」と呼ばれた。
しかし、その存在はあまりにも謎に包まれている。
彼の出自、生涯、能力の詳細──それらは伝聞や宗教文書、絵画に断片的に残るだけで、真偽は定かでない。
全く情報がなく、存在ですら疑問視されている。
だが確かなのは、彼の出現以降、世界各地で同様の異能を持つ者たちが現れ始めたということ。
そして、能力者の力は、想像を遥かに超えていた。
国家の軍事力を凌駕し、社会構造そのものを揺るがすほどの影響力を持っていた。
産業革命が世界を変えたように、能力者の存在は、世界の在り方を根底から塗り替えた。
一人の能力者が戦争の趨勢を決し、経済を動かし、国の意志すら超越する。
その力はもはや“神の領域”とさえ言えた。
だが、それは同時に、新たな分断を生むことにもなった。
非能力者たちは、能力者に対し、恐怖・嫉妬・憎悪といった感情を募らせていく。
力を持たぬ者たちは、自らの無力さに打ちひしがれ、能力者との間に、越えられぬ壁を感じるようになった。
それはもはや“人間同士”の争いではない。
“人”と“力を持ちすぎた存在”の間に生まれた、決定的な断絶だった。
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力は祝福か、呪いか
能力者の力は、祝福か。それとも呪いか。
神がもたらした進化か。悪魔が忍ばせた災厄か。
この問いに、いまだ明確な答えはない。
能力者はなぜ生まれるのか?
何がその力を目覚めさせるのか?
その力は遺伝するのか、偶然か、必然か。
すべては謎に包まれたままだ。
科学はその本質を解明しようとし、宗教は彼らを神話へ取り込もうとした。
しかし、真実にたどり着いた者は、誰一人いない。
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そして、現代へ
現代社会においても、能力者は依然として特別な存在である。
その力は、軍事・医療・産業・スポーツ・芸術──あらゆる分野に進出し、時に国家すらも凌駕する。
だが同時に、彼らは恐れられ、監視され、時に差別や偏見の対象ともなっている。
この世界には、いまだ答えの出ない問いが残されている。
能力とは何か。
能力者とは何者なのか。
そして、彼らが導く未来は──希望か、破滅か。
その答えを知る者は、まだ、どこにもいない。
どうもルセイです。
自由人の能力者学園 1話
小説家なろうで初めての投稿になりました
この話を読んだことがあると思う人はpixivで読んだことがある人と思っています
内容は変更していますがこれから応援よろしくお願いします
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