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2:子供時代

 私の家は都営団地の一室だった。

 目の前には少し大きめの公園があり、子供達が元気に走り回っていた。

 団地で行っている青空保育を受ける為に自宅そばの集会所に行き、お遊戯をしたり歌を歌ったりと楽しんだ。お祝い事の時に貰えるショートケーキが美味しかったのを覚えている。


 幼稚園…自宅の裏道に来る園バスに乗ってかなりはなれた幼稚園に通った。大きな菜園が有、春と秋の遠足、運動会、お遊戯会、花火大会、園内お泊まり、野菜の収穫等のイベント事が多くて楽しかった。興味無いのに知らない男の子が好きだという事にされてとても困った。

 この頃、一度帰宅しても幼稚園に遊びに行くので、一人で片道約3kmを歩いていた。元々歩くのは苦では無かったとはいえ、よく歩いたものだと思う。

 幼子が1人でふらふら歩けるというのは、治安も今と比べて良かったのだとも思う。


 小学生…弟が友人からテレビゲームをよく借りていた。私は横でそのプレイを観たり、絵を描いたり、近場の地域センターの図書室や少し離れた場所にある児童館の図書室で本を読んでいた。

 本を読むのは面白い。しかしなかなか知識が入ってこない。おかしいと思いながらも同じ本を最初から最後まで何度も読んだ。

 多少、交流する同年齢の人もいたが、女ボスを中心としたモノでなるべく関わらない様にした。馴染めず嫌がらせも受け、最初は凹んだが、慣れていった。先生方からは多少信頼されていたとは思う。

 父はPTA会長をやったり趣味の剣道に勤しんでいた。それまでも父が数度入退院を繰り返していた事や、両親の姉弟への溺愛ぶりがいたたまれなくなり、私は祖父母を頼った。

 父方の祖母と大叔母は母の粗探しで私を利用したので疲れ…少しずつ離れる様にした。

 母方の祖父母は受け入れてくれた。私が好きだからと唐揚げやプライドポテトを作って用意してくれたり、お茶を出してくれたり、居場所を作ってくれた。祖父はとても気難しい人だが優しい眼差しを持ち、祖母は人が良すぎる明るい人だった。嬉しい時も悲しい時も二人は私を支えてくれ見守ってくれた。二人の存在がなければ、私は今、ここにいなかっただろう。


 中学生…部活動に美術を選択。絵ばかり描いていた。姉はこの頃バイト先で知り合った年上の彼氏が出来ていたが、彼氏と何か有ると当たり散らしてきた。

 …姉と弟の痴態も何度も見せられた。見ないフリ気付かないフリをしたが気持ち悪かった。姉と体の関係を結んだ弟も、何かあると気絶する程、私に暴力を振るった。それを見た知人がショックを受けてしまった。

 苦痛がピークを迎え、私はメンタルを壊した。いつの間にか私の中には私ではない存在が出来ていた。私をいつも励ましてくれたルキとはこの時からずっと一緒にいる。

 家にいるのは苦痛過ぎた…ルキと話し、母親がパートから帰る迄は帰宅しない事にした。

 何度となく死ぬ事を考えていたが、母親の顔を思い出し、あの人の事を思い出しどうにか生きた。

 修学旅行でタロットを持って行き、指南書を読んでいたら占いを求められた。初めて占いをしたが、過去と現在がフルマッチしたとの事で恐れられた。


 高校生…不本意ながら女子校に進学。父の母校(私を入学させる為に男子校を共学校へ変更させた)への裏口入学を強く望まれたからだ。中学の担任からはそういう状況で書類は作成できないと言われ、何だかんだで私が望んだ希望校の受験が受けられず。都下で最も偏差値が低い女子高に進学となった。

 ここでも馴染めず殆ど一人で過ごした。図書室や図書館に入り浸っていたが、なかなか記憶が定着しない事にまたも違和感を感じていた。何故こんなに出来ないのか。

 高校の図書室でとある本を手にして驚いた。前世の自分について書かれている本を見つけたのだ。私はふしだらな女として記されていた。家族についてもだ。私は愚かだったがふしだらではない。愛した人は彼だけだ。けれど許されるものでは無かった。お互いの心は捧げあったが、身体を捧げた事は一度も無かった。来世に想いを託し願ったのだ。…それは愚かだろうか?他の図書も確認したが、一律、私は悪女と…毒の一族と記載されていた。

 結局、歴史は時の権力者や後世の人によって都合良く残されるのだ…その真偽を問わず。

 この頃から私は歴史内容を信じなくなったし、マスコミについても疑って見る様になった。

 高校時の知人にも色々と振り回される。思いだすだけで疲れるが、私の余計なオプションの事で擦り寄られた。

 彼女達以外の人にタロット占いをしたら良く当たると報酬でお菓子を貰ったのは嬉しかった。

 校舎も曰く有り、学校所有の施設も曰く有りの物件ばかりで学校イベントは疲れた。

 この頃から、私は殆どの時間をバイトに費やした。


 学生時代はこんな感じだ。

 どの場所でも優等生扱いされた。

 言いたい事も言えずにいた。私が我慢すれば回る様になるからだ。違うのに勘違いされて苦しむ事もあった。言い訳しても相手には届かない。いつか私の本当の気持ちを解って貰えればそれでいい…そう思っていたから都合よい人間扱いされた。

 悲しいが、自分で選んでしまった事だからと諦めた。

 …そう、過去世の記憶を持ちながらも、私は人間関係にまたしても失敗ばかりしているのだ。

 生きる事は修行…よくぞ言ったものだ。

 結局、身体(ラッピング)が良くても、中身(たましい)が足りなければ、人としても足りないのだ。

 都合良くつかわれる事にも疲れた私は、結局、友人らしい友人も作らず、成長していったのだった。

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