【Wonderful days】
♣♣♣
目が~涙腺が~!
……たまにはそんな泣ける話が聞きたいですね~。
ムリか。グチだし。
目から涙は出ませんが鱗ならボロボロ出せるような言葉を贈れたらと思います。
では元気いっぱい張り切って次のハガキ!
ハイ! ラジオネーム【つばめ侍Ex】さん!
またおまえか! ってねー。ストレス溜めすぎぃ!
あ、ごめんねーいるかわからない新規のリスナーのため説明!
【つばめ侍Ex】さんは超超超常連さんなんですよー。もうホント、毎週ハガキ七枚は来てるからね。一日一モヤってか!
この番組開始当初からハガキ来てるからねー。だからだいたい五年くらいの付き合いかな? 十数回はハガキ読んでるんじゃない? 大量のガマぐっさんぬいぐるみが家に並んでるのは圧巻だろうなー。
思い出しちゃうなー最初の頃の試行錯誤感……これ、泣けてくる流れじゃない? リスナーのみんなも公式SNSで思い出呟いてよー。
きたきた! ……『五年もやってるクオリティじゃない』『グッディさん丸五年テレビで見てないっすw』『早よ終われ』……みんなツンデレなんだから~。
今コメント寄せてくれたアカウント見覚えありまくり~。番組開始当初からリスナーでしょ~。読み上げてないのも含めてねー。なんだかんだ言って聞いてくれてるんだなー。
それじゃ【つばめ侍Ex】さん! この流れで泣けるの頼むよー!
「僕の故郷の話なんですけど」
挨拶も無しかい! 常連感出てるねー。まぁ君と僕の仲だ。許そう!
「僕の故郷、だいぶ田舎だったんですが最近開発が進んで大きなショッピングセンターとか高層マンションとかどんどん建ち始めちゃって、なんかもう見る影もなくなっちゃったんです。カエルがうるさかった畦道とか、夕暮れ時にコウモリが飛んでたりとか、獣道で飛び出すヘビとか」
カエルにコウモリにヘビ……もうちょっと素敵な例出そうよ。いや自由だけどね。君のね。
「山の谷間に沈んでいった夕陽が今ではビルの間で、虫たちはどこかへ引っ越して歌は聞こえない。道を照らすのは星じゃなく街灯や自販機になって……まるで知らない土地なんです」
それそれ! 情緒的なことも言えるじゃーん。
「一番ショックだったのは秘密基地とか作って遊んでた山がゴルフ場になってたことですね。子供の頃自由に走り回ってた場所が、誰かの所有地だったことを思い知らされましたよ。
当時一緒だった奴らとも連絡取ってないし、きっともう秘密基地の合言葉なんて誰も覚えてないんだろうな……」
秘密基地かー。僕は東京出身だから無縁だったなー。羨ましいと思う反面、虫とかちょっと苦手だからなー。
でも合言葉ってのはすごくいいね! 響きがさ、やっぱり子供心をくすぐるよ。
山! 谷! とかトラトラトラとか……これは違うか。
当時流行った言葉とか意味のない造語でも、心通った友達同士でしか伝わらない何かっていいよねー。
こう毎日暑いから勝手に夏の風景で想像してるけど、虫網持った子供たちが山を駆け回る様子はなんだか経験したことないのにノスタルジーになるなぁ。
「便利になるのはいいことだけど、やっぱり思い出も大事じゃないですか。見たことが無い景色を自分の故郷だとは言いづらいです。
友達とも別れて、離れた地で働いて、疲れるばっかりで、そんな日々の中でふと思い出す景色がもう現実には存在しないなんて悲しいですよ。子供の頃に戻りたいっていつまでも思っちゃうんですよね。
グッディさんはそんな気持ちになることありますか?」
ちょっとちょっと、ホントにしんみりするヤツじゃーん。君のハガキっていつも電車での腹痛とか隣人宅の騒音とか、ありふれたヤツだったから油断してたよー。
子供の頃に戻りたいか……あるよ! あるある!
僕は都会育ちで山や原っぱで遊ぶようなことはしてなかったけど、鉛筆転がしバトルしたり消しゴム弾いたり、隠れて漫画持ち込んで学校で回し読みしたり、他にもたくさん。今でもできることではあるんだけど、大人になったら楽しめないことばかりだね。
対して【つばめ侍Ex】さんの遊びはもう再現ができない。似たような場所はいくらでもあるだろうけど、それは思い出の景色とは違うだろうしね。故郷だから意味があることなんだろうね。
あの頃に戻りたい……それは叶わない願いだけど、だからこそ美しくもある!
夕陽が照らすのはアスファルト。虫の合唱は車の騒音に。自販機の光が強くて空は真っ黒に塗りつぶされた。
かつての景色は消えてしまったけど、かつての思い出は消えてないよね。だから今が悲しいんだ。君が思い出を忘れてしまった時、その時こそが、故郷が消えてしまう時だよ。君自身が君の故郷さ!
そして誰かの故郷でもある! かつての友達を探してみようよ! 彼らもまた君の故郷だ!
集まってすることは一つ。みんなで消えてしまった景色を悲しんで! 悲しめば悲しむほど、君たちの中の故郷は大きくなっていくよ。
その後かい? 残っていれば昔の写真とか見せ合ったりできればいいね。
写真が残ってなければ絵を描けばいい。へたっぴでもいいじゃない。伝わればいいのさ。
その絵をいつか君の奥さんに見せて、子供に見せて、孫に見せて……もちろん君の思い出のエピソードも話しながらさ。
語り合う心の中の景色は少し違うかもしれないけど、みんな同じ場所のことを思い描いているんだ。どうだい? 故郷は消えたりしないだろう?
もちろん風景や風土がかけがえのないものなのはわかるよ。でもそれだけじゃなくて、君と、君の過ごした素晴らしい日々を共にした誰かもまた、君の故郷を彩るかけがえのない一部だと僕は思うよ。
そんなこと聞いてるんじゃないって?
元の景色が消えてしまったことは事実だもんね。僕が今言ったことはただの慰めだよ。
子供の頃、目に入るすべてが自分の世界だと思ってた。でも君の遊んだ山、田んぼの畦道、秘密基地……そのどれもが誰かの所有物だった。
大人になったから気付けたこと。大人になったから悲しい。大人になったから子供に戻りたい。
でも、その気持ちだってかけがえのないものだよね? 子供の頃はこんな悲しみ抱かなかっただろう? 美化したって言い方は嫌かもしれないけど、大人になったからこそ昔が美しいんだ。
時代は止められないね。でも動かしてるのは人だから。これからのかけがえのない日々を作るのも人だから。君や、僕らだからね。
たまにはいいよねーエモーショナルでノスタルジーな話も。
ノスタルジーで思い出した。来週テレビに出まーす! いえーい!
さっき丸五年見てないって呟いた奴! 絶対見ろよー! 五年ぶりのご尊顔でノスタルジーな気分にさせてやるからな!
来週金曜のお昼のねー……番宣するな? いいじゃーん、ちょっとくらい!
ま、待って! マイクオフにしないで! わかった! わかったから!
はいはい、それじゃ次の曲ね。
【ガーティギャリー/To the 夏】
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■■■お知らせ■■■
次回、明日9/12の7~8時頃に更新します。
書き溜めたストックが底をつきそうなので、更新ペース落ちるかもしれません。




