班の仲間たち
見た目小学校の1年生~3年生。
容姿は、色白で、きしゃな体つき。
髪は黒髪ロングで、真っ直ぐ下ろしている。
前髪も、目の上辺りで切り揃えられていて可愛らしい。
その目は、二重で、期待に満ち溢れ、きらきら輝いている。
服は、薄ピンク色の長袖のワンピースをきている。
足元には、白いレース付きの靴下と、スニーカー。
女の私から見ても、可愛らしい女の子だった。
その時、また眩しい光が発生し、もう一人、合流したらしい。
なぜ、合流したかと分かるのかというと、彼(少年)には、見覚えがあったからだ。
「ごめん。遅れた。」
少年は息を切らしながら言ってきた。
「転送直前に、美月がこの班に所属してるって気付いて、慌てて班の移動希望を出したんだ。」
と急いで言う。
「なんとか、ぎりぎりセーフでよかったよ。」
少年は、優しそうな目を、少女に向けて、微笑んだ。
私は、彼(少年)を知っている。
クラスの同級生に確かにいた。
名前は、中出 一樹 くん。
確か、医大に進学したと母から聞いたことがある。
地元の主婦の情報網は、なかなかすごい。
体育館にいた時だって、たくさんの女の子に囲まれていた。
独身の医者なんて、クラスの女性にとっては有望株なのだ。
それだけではない。
端正な顔立ちで、背も高く、性格も穏やか。
こんなイケメンが、人気じゃないはずがない。
「えっと……望月……さん?はじめましてじゃないけど、喋るのは初めてだよね?」
彼が話しかけてくる。
当然、喋るのは初めて。
彼は、イジメを止めずに、みてきた傍観者の一人だったのだから。
直接的なイジメはしない。ただ、イジメには気づいている。
私は、傍観者も、イジメの加害者だと思っている。あの状況で、一人でも話しかけてくれる人のいる心強さを、傍観者はしらないだろう。
世界が敵にしか見えない絶望の中にいる人にとって、それは一筋の希望となるのだ。
「……はじめまして。」
実際は『はじめまして』ではないのだが、そう返答していた。
今の私は、ものすごくひきつった顔をしているに違いない。
ただ、私は違和感に包まれていた。
彼も、少女と同じく現在の25歳の姿ではなく、少年の姿だった。
私立に行かない限り、中学も皆同じところに進学になるので、彼の姿は中学でも知っている。たぶん、中学3年生くらいの姿だろうか?
もう、つっこみどころが多すぎて、何から突っ込んだらいいのか分からない。
私の班に移動してきた理由もそうだが(少女がいるからと聞いたが)、なぜ少年の姿かも分からない。
そもそも、少女が誰か記憶にないのだ。仮に私が忘れているとして、イジメを知っていたのならば、私の班には来ないだろう。
そして、少女を知っている素振りをみせる、中出くんと少女の関係性も謎だった。
「……」
私が黙ってじっと、少年を見つめているのに気付いてか、少年は少し顔を赤くして答えてくれた。
「あ……この姿、変だよな。一応、16歳の頃の俺なんだけど……。えっと……美月が若い身体で……参加するって聞いて……美月だけなら浮いてしまうし……あっ……美月は幼馴染みで……」
と歯切れが悪そうにいう。
話しながら、ちらちらと、少女をみている。
少女を見つめる彼の目は、穏やかで優しい。
そんな彼の様子を、私は黙ってみていることしか出来なかった。