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真、ふたりを連れ出す

 ビーちゃんとフーちゃんの抗議活動が活発だ。

「無駄な抵抗はおやめになって」

「我々はー、要求するーするーするー」

 ヘルメットにバンダナマスクで拡声器を振り回し、化石みたいな学生運動をするふたり。どこでそんな知識を得たのか。

 外が見たいと駄々をこねる姿は、遠い昔の娘の姿に重なる。あの子も我が強くて、座り込んで泣き叫んでいたなと思い出す。

 東京の学校へ行くんだと、直談判をくらったのは何回だったか。

 根負けして許可したが、それが正しかったのか、いまだわからない。向こうに行ったが最後、正月も顔を見せないでいる。

 あの子にとって田舎はつまらないのだろう。

 仕方ない、近くの公園にでも連れて行くとしよう。

「わーい、おでかけー」

「ビーちゃん、おとなしくしていましょう。トラッキーのヒゲをつかんではいけません」

「はーい!」

 ふたりはトラと一緒に猫用のケージに収まっている。トラが嫌がっているようにも見えるが、気のせいだろう。

 ケージを手に、近くの児童公園へ来た。ブランコと滑り台と砂場がある、どこにでもある公園だ。娘を連れてきたこともある。

 娘がいた時は大きくも感じたが、改めてみると、本当は小さかったのだな。

 半端な時間だからか、誰もいない。好都合だ。

 ケージを開け、トラの首輪にリードをつけようとしたが。

「リードは不要ですわ」

「トラッキー、ゴーゴー」

 トラの首の後ろにのっかったふたりが、ロデオよろしく飛び出していった。

 ぐにゃぁぁぁぁぁぁ

 全速力で走っているように見えるトラの鳴き声が、悲鳴にも聞こえる。

「さぁ、まずは滑り台ですわ!」

「逆走ゴーゴー!」

 追いかけようとしたが、滑り台のスロープから上って行ってしまった。

 はぁ、娘が急に走った時はすぐに足が動いたものだが、年はとりたくないものだ。

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